WRECKの面白さ
3/22から3/26まで「パラオWRECK(レック)イベント」を龍馬でやりました。
沈船(Wreck)だけ潜るこのイベントは、ある種ちょっと異色な感じがしますが、好きな人たちにはたまらない、最高に盛り上がった5日間となりました。
パラオに来てまで沈船に潜るの?とたまに聞かれます。
最初は僕も、なんだかおどろおどろしい感じがして、WRECKは苦手でした。でも今は違います。
フィッシュウォッチングのダイビングとWRECKダイブとは、指向性が全く違い、それぞれ面白いと思っています。今月はそのWRECKの面白さについて書きたいと思います。
そもそも、WRECKってパラオでも以前から潜られているのですが、なんとなく天気の悪い時の「逃げのポイント」的な扱いを受けていて、ガイドもあまり勉強していない(以前の僕もそうでした)ので、ブリーフィングも「ここに船が沈んでいます。右回りに泳ぎながら見てまわります」って、これだけ。
船体をぐるりと回り、たまにいる魚を見て上がって来るだけ。これでは面白いはずがありません。
僕がWERCKを潜るときに興味を持つポイントは2つ。
1, 歴史遺跡を巡る面白さ
2, 船内、船外の探検
です。
パラオではWRECKとは、歴史遺跡と呼ばれています。
過去の歴史の中で、第二次大戦や別の事故などで海底に沈んでいる船には、それぞれ歴史やストーリーがあります。
この船はいつどこで作られて、その後どういった仕事をして、どういう経緯でここに沈んでいるのか。船のレイアウトや装備品、それらがどのように使われていたか、などの情報を事前にブリーフィングで知っておくことで、その船に対する興味が段違いに上がります。
知識を持って潜ると、「ただの沈船」だったものが、「確認の対象」となり、見るもの全てに興味を持てるようになり、40分のダイブタイムはあっという間に終わってしまいます。
また、その「確認をする作業」となるダイビング自体が、WRECK内外への探検となります。
普通のファンダイブやレックSPを持っている人、TEC資格を持っている人など潜り方やコースは様々ですが、安全基準を破らない範囲で、船内外を移動します。初心者チームでも、たまにはちょっと鉄骨の間を「くぐり抜け」みたいなこともします。
難しい船内探索は、有資格者のみとなりますが、そういう「ちょっと冒険」的なダイビングは、「チャレンジする」面白さがあります。
岩壁を登るクライマーの人たちが壁を上ることを「アタック」と言いますが、この言葉は難しいことへのチャレンジという意味で、WRECKダイブには「アタック」という言葉が当てはまると思っています。
初心者から上級者まで、それぞれ合った潜り方ができるWRECKダイブ。歴史遺跡を巡るイメージで、是非一度潜ってみてください。
ただし、事前の情報がないと面白くないので、そこだけはしっかり押さえるようにしましょう。
パラオには30以上WRECKがあります。その内ダイビングに適しているものは半分くらいかと思います。
最初は僕も苦手だったWRECKですが、今は面白いダイビングだと思っています。
なので是非皆さんにも知ってもらいたい。次回のパラオでは、チャンスがあればぜひ潜ってみてください。
秋野 大
1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身
ガイド会所属
パラオ在住25年。パラオ現役ガイドで最古参。「データ」が大好物で、なんでもかんでもすぐに分析したがる「分析フェチ」。
だいたいの魚は好きなのだが、やっぱりブダイのことだけは苦手。とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。
洋酒より焼酎。肉より魚。果物と酸っぱいものは見て見ぬふりをする。最近甘党。人生ビール党。
ミクロネシア・パラオ
DayDream PALAU
P.O.Box 10046 Koror Palau 96940
Tel:680-488-3551
Fax:680-488-2199
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