カンムリブダイは今年がいいみたい
ダイバーが徐々に動き出しているパラオではありますが、まだまだ日本国内のダイビングエリアとは、比べものにならないほどの少なさです。パラオ中のガイドが暇しています。(笑)
まあポイントは空いているので、そこはメリットと捉えましょう。
現状パラオは出発1日目の検査、入国後4日目の検査、日本帰国前日の検査と3回検査が必要ですが、ワクチンを3回打っていれば日本に戻ってからの自宅待機等は必要ありません。以前は2週間待機でしたから、それから比べたらかなり緩和されたことになりますね。
そんなパラオで最近面白いのは、カンムリブダイの集団産卵です。
もう「ご存知の」というレベルに有名になったパラオのカンムリブダイの集団産卵ですが、ここ数年の来島者減少で、魚たちがダイバーを避けなくなっています。
だからすごく見やすいのです。ストレスを掛けるダイバーが減ったために、人に対する警戒心が少なくなったためだと考えています。
多くても10数尾程度であまり大きな群れを作らないカンムリブダイですが、新月前の数日間、決まった時間に産卵のために数千から数万の群れを作ります。
この月齢のスケジュールは何も変わっていないのですが、主役のカンムリブダイたちの人に対する反応が、以前とあまりにも違い驚いています。
以前はダイバーを避けるように群れを形成し、産卵を行っていたのですが、最近の産卵シーンではほとんど人間を気にすることなく、目の前でドバッドバッと産卵を行ってくれます。
もともと体の大きなカンムリブダイが複数尾で下から泳ぎ上がってきて、目の前で産卵を行うシーンはかなりの迫力です。
この産卵イベントは40分くらいの短い時間で行われます。このタイミングを逃すと、カンムリブダイの「カ」の字も見当たらないくらい誰もいません。
群れを形成するために集まって来るタイミングでエントリーするのがコツで、最初は水底に近い水深で様子を窺うように泳いでいるだけのカンムリブダイたちが、徐々に水深を上げながら群れの密度を上げ、最後には水面へと泳ぎ上がりながら産卵を行うという、その一連の流れを1ダイブ中に全て見ることが出来るのは、このダイビングの魅力の一つです。
メインの見どころはもちろん産卵シーンですが、その前のカンムリブダイのオスたちの熾烈なポジション争いも迫力があります。
場所取りのため時には頭同士をぶつけて「ゴチン」という音が聞こえるほど、激しく争う様は自分の子孫を残すための必死さが伝わってきます。
さらに主役のカンムリブダイたちが産卵で無防備になっているところを狙うブルシャーク(オオメジロザメ)やカマストガリザメの存在。
群れの向こうからそっとスッと現れる大きな体躯には一瞬息を飲みますが、これもまた興奮するすごい迫力です。
今見ごたえのあるこの産卵も、将来またダイバーが沢山来るようになってしまったら、きっとまた人を避けるようになってしまうのでしょう。そう考えるとダイバーが少ない今がチャンスと思います。人が少ないパラオだからこそ、今しか今年しかできないダイビングがあります。
ちなみに6月24日からこのカンムリブダイの産卵を見に行くクルーズを龍馬で行います。まだ空きもありますので、興味のある方はご連絡ください!
秋野 大
1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身
ガイド会所属
パラオ在住25年。パラオ現役ガイドで最古参。「データ」が大好物で、なんでもかんでもすぐに分析したがる「分析フェチ」。
だいたいの魚は好きなのだが、やっぱりブダイのことだけは苦手。とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。
洋酒より焼酎。肉より魚。果物と酸っぱいものは見て見ぬふりをする。最近甘党。人生ビール党。
ミクロネシア・パラオ エリア情報
ミクロネシア・パラオ
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