南国通信 - パラオの海からThe Diving Junky Magazine

ヘレンリーフ

6月7日から14日まで龍馬でヘレンリーフに行って来た。

ヘレンリーフはコロールからおよそ600km南西、北緯2度のところにあるパラオ共和国最南端の環礁である。途中ソンソロール島やプルアナ島を経由しながら南下していく。ヘレンは南北30km、東西15kmの大きさ、この北側に300mほどの小さな砂洲の島がある。現在は居住を目的とする住民はいないが、この海域を守るレンジャーが5名常駐している。

今から20年前、この島は50mほど西にあった。しかし昨今の気象変化のため風が変り、砂が移動して島の位置がずれてしまった。もともと砂洲の島なのでこうした気象変化の影響は簡単に受けてしまう。それによって元々あった井戸が今は海の上という状況だ。

この島は5人のレンジャーのほかに野鳥が住んでいる。主にカツオドリやアジサシの仲間が多いようだ。渡り鳥が営地を移動する途中、営巣のために立ち寄るのだそうだ。我々が訪れたときもものすごい数のアジサシが島で営巣を行っていた。

レンジャー以外、滅多に人が訪れることのない島。その島に足を踏み入れるとまず驚くのはその騒々しさ。この鳥たちの営巣を行う鳴き声がこの島を賑やかす。大洋の孤島でも寂しさを感じないのはおそらく彼ら野生のエネルギーを近くに見ることができるからだろう。

ゆっくりと砂浜を北に向かって歩いていく。鳥たちの営巣地は主に島の中心部から少し北にある。主にここが鳥たちの子育てのエリアとなる。卵を抱える鳥、ヒナをお腹の下に入れて守る母鳥。脅かさないように出来るだけ砂浜の波打ち際を歩く。ガーガーという鳥たちの鳴き声に歓迎、いやおそらく歓迎はされていないだろうが、その鳴き声の騒音のなかを粛々と進む。

島の北端に白いアジサシの群れが数千という羽を休めているのが見える。赤道直下に近い場所で、自分が置かれているこの非日常の風景に少し感動する。視線を上げると海は鏡のように静かになっていた。空と海の境目が分からなくなる。水平線の辺りに環礁のサーフゾーンがわずかに見える。現実と非現実を仕切っているボーダーラインに思えてくる。「楽園」とはおそらくこういう場所のことを言うのだろう。島の北端に着いたその時、数千のアジサシが一斉に飛び立った。

ヘレンリーフ

" ヘレンリーフ " へのコメント

  1. 木部 真由美: 2014年10月28日 12:16 AM

    はじめまして、秋野さま。
    秋野さまのことはコロールでお見かけしたり、雑誌などで以前より存じ上げております。
    私もパラオが大好きで16年間で37回潜りに通っております。
    ダイビングももちろんですが、辺境の自然にもとても興味を持っております。
    私のようなビジターがヘレンリーフを訪れる方法はありますでしょうか?
    情報がございましたらご教授頂けますか?

秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身
ガイド会所属

パラオ在住25年。パラオ現役ガイドで最古参。「データ」が大好物で、なんでもかんでもすぐに分析したがる「分析フェチ」。

だいたいの魚は好きなのだが、やっぱりブダイのことだけは苦手。とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。

洋酒より焼酎。肉より魚。果物と酸っぱいものは見て見ぬふりをする。最近甘党。人生ビール党。

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