ガイドのつぶやき - 伊豆諸島・八丈島からThe Diving Junky Magazine

被写界深度との闘い

図鑑写真を撮る時の注意点。

 1. 被写体が背景に同化しないようにする。
 2. 被写体全体にピントが合っていること。
 3. 被写体全体を画角にきっちりと収める。
 4. 画角は横位置であること。
 5. 顔(頭部)は少しこちらを向いていること。

この注意点を頭に置いて撮ると、種の特徴がとても分かりやすい写真に仕上がり、図鑑写真の目的を果たすわけだ。その中で1と2の注意点が問題で、レンズの被写界深度の戦いとなります。

まず、被写体を背景に同化させないようにするには、絞りを開けて写界深度を浅くして背景をボケさせればよいわけです。しかし、それでは被写体全体ピントを合わすことが難しくなります。

では、絞りを絞り込み被写界深度を深くしてしまえば、難なく被写体全体にピントが合います。でもそうすると今度はバックにもピントが合ってしまい背景はボケにくくなってしまいます。この真逆の条件を両立させない限り目的は達成しません。

そこである程度絞り込み、被写体全体にピントが合うようにして、カメラアングルで被写体と背景との距離を置き背景をぼかしたり、背景を単一の色にしたり被写体の色と背景の色を反対色にしたり、ライト撮影に切り替えて背景を黒くしたりと考え撮影します。

それでも被写体によっては、とても難しくなってしまう種もいます。

写真のパンダツノザヤウミウシもそのひとつ。

ご存知のようにパンダツノザヤウミウシは一対の口触角と触角、それと二対の突起があり、そこに大きく開いた二次鰓がある。これらにピントを合わるため、すべての突起を同じ距離になるようなアングルを探し、そのアングルで背景がボケることも確認します。

更に白黒の配色は、露出が黒に合わせると白はオーバーとなり色情報がなくなり、白に合わせると今度は黒がアンダーとなり色情報がなくなってしまう配色なので、露出調整は難しくなります。

複数の突起のピント合わせから背景のボケ、露出調整までと、大変苦労する相手なのです。なので私は、被写界深度の狭い105mmマンロレンズより、被写界深度がより広い60mmマクロレンズが必須となるのです。そんなこんなで撮った二枚の写真。あなたはどちらがお好みですかね。

パンダツノザヤウミウシ
パンダツノザヤウミウシ
  • ※ピントを合わせた部分はシャープに写りますが、その前後にもシャープに写る範囲があります。この範囲のことを「被写界深度」と言います。絞りを絞ればその範囲は深くなり、絞りを開ければその範囲は浅くなります。レンズの種類でもその範囲は変わり、広角レンズは広く、マクロレンズは狭くなるという特徴を持っています。

加藤
加藤 昌一

横浜出身、獅子座
昭和30年代生まれ、気分は昭和50年代

1992年にレグルスダイビングを設立する。フィッシュウオッチングの草分け的存在。

飽くことなく潜り続け、水中生物は分け隔てなく撮り集めているため、膨大なフォト・ストックを有する。

ガイド業も第一線で活躍しているが、写真家としても注目され、「エビ・カニガイドブック」「ウミウシ 生きている海の妖精」「スズメダイ」「海水魚」を出版する他、さまざまな水中写真を図鑑や雑誌に多数提供している。

水中生物だけではなく、陸の生き物も大好き。特に爬虫類が大好き。

伊豆諸島・八丈島
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