夫婦で、親子で別種扱いされる魚たち(2)
先月はオスとメスの色彩があまりにも違うために、ちょっと前まで別種だとされていて、それぞれ別々の和名がついていた「トサヤッコ」を紹介した。(⇒夫婦で、親子で別種扱いされる魚たち(1))
しかし上には上がいるもので、オスとメスで別種だと思われていただけでなく、さらになんとその幼魚まで別の魚(種類)だとされていたという魚がいる。
例えるなら、「お父さんはゴリラ、お母さんはチンパンジーだと思っていたけど、みんな僕と同じヒト(人間)だったみたい。。。」的な驚きだ。(笑)
それどころか、この魚は「種」の上の階層である「属」を飛び越え、「科」のレベルで別種扱いされていたみたいなのだ。
しかも、それまで、オス、メス、幼魚、このすべてが別々の科にカテゴライズされていたのだ。。。^^;
例えるなら、「うちはペットとしてイヌとネコを飼っていて、お父さんはクマ、お母さんはレッサーパンダ、僕はスカンクだと思っていたけど、どうもペットを含めみんな僕と同じスカンクだったみたい。。。」的な驚きだ。(ちょっと違うか?笑)
これは2009年にDNA解析によって明らかにされたクジラウオ科魚類の話だ。
それまでこのクジラウオ科と近縁なグループとされながらも、形態がまったく違うため別の科として分類されていたトクビレイワシ科(リボンイワシ科)とソコクジラウオ科の魚がDNA解析の結果、すべてクジラウオ科の魚と同じ種類であることが分かったのだ。
しかも面白いことに、数少ない標本から性別を調べてみると、トクビレイワシ科(リボンイワシ科)の標本はすべて性成熟前の未熟な個体ばかり、ソコクジラウオ科の標本はすべて発達した精巣をもつオスばかりだったそうな。。。
さらにはクジラウオ科の標本も同様に調べたところ、性別が判明したものはすべてメスであった。(・_・;)
つまり、これまで別ものとされてきた深海魚の3つの科(トクビレイワシ科、ソコクジラウオ科、クジラウオ科)が、それぞれ一つの種類の幼魚、オス、メスだったというのだ。
先人は同じ種類なのに、それぞれのステージ(幼魚、オス、メス)ごとに科を設けてカテゴライズしてしまったのだ。(笑)
現在、まだ3科は別々に分かれてはいるが、すべてをクジラウオ科に統一するべく研究は続いているそうな。。。
原崎 森
(はらざき・しげる)
1970年8月26日生まれ
山梨県出身
八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。
鹿児島・屋久島 エリア情報
鹿児島県・屋久島
屋久島ダイビングサービス もりとうみ
〒891-4205
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- 2020.7:夫婦で、親子で別種扱いされる魚たち(2)
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