ガイドのつぶやき - 鹿児島・屋久島からThe Diving Junky Magazine

20年前の曖昧すぎる記憶 – ピグミー発見時の顛末記

人の記憶なんてほんと曖昧で適当だ。

今年の夏前の話になるけど、水中で地元・屋久島の同業者Fくんが手招きするので行ってみると、それは昨年、新種記載され和名がついた「ハチジョウタツ」だった。
数年前からそのFくんはちょくちょくこのハチジョウタツを見つけていたようなのだが、僕は”屋久島では”初めての出会いだった。

”屋久島では”というのは若い頃の修行先である”八丈島では”頻繁に見かけていた魚だからだ。
そう、このハチジョウタツとはかれこれ15-16年ぶりくらいの出会いとなるのだった。
その頃はまだ僕の老眼もそれほど進んでいなかったので、当時「日本版ピグミーシーホース」と呼ばれていたこのハチジョウタツを見つけるのはむしろ得意中の得意だったし、よくネタにもしていた。
それがこちらに来てからは生息環境はよく知っているにも関わらず(でも屋久島はちょっと深い。。。)、見つけられずにいたのだ。^^;

ハチジョウタツ
ハチジョウタツ(ビデオからの切り出し画像)
21年かかってようやく新種記載された

「20年前にハチジョウタツが八丈で発見された時、俺も八丈島のその発見したお店に在籍していたからリアルタイムでその時のことはよく覚えてるんだよね。。。当時は俺も自力で何匹も見つけたりしてたんだけどねぇ。。。」などと教えてくれた若いFくんに対して昔のことを持ち出し、見苦しい負け惜しみを言ってしまった。。。(笑)
でも、よ~く調べてみると、何とその記憶はかなり曖昧だったことが分かった。。。(・_・;)

当時、このハチジョウタツを僕の師匠であるレグルスダイビングの加藤昌一氏が八丈島で見つけたのは1997年10月16日。
そして翌年1998年の春には神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏氏によって未記載種(つまり新種)だと同定された。

ちなみに僕が八丈島に来てレグルスダイビングで修行を始めたのは1998年の夏。
全然リアルタイムじゃないやん!!!!!(・_・;)

ただ、当時まだ若かった僕が体長8mm程度の日本版ピグミーシーホース(ハチジョウタツ)などは楽々見つけることができる目を持っており(つまり老眼ではないという意味)、よくガイド・ネタにしていたというのはホント!(笑)

それでは、いったい僕は何と勘違いしていたんだろうか。。。?
さらに調べてみると。。。
このハチジョウタツは当時、まだ国内では小笠原以外では見つかっていなかった「Hippocampus bargibanti(和名なし=有名な「本家・ピグミーシーホース」の事)」に対する呼び名として、レグルス・ダイビング内では「日本版ピグミーシーホース」と呼んでいた。

そして、この「本家・ピグミーシーホース」を加藤昌一氏が八丈島で初めて見つけたのは1999年12月。。。これだ!(笑)

本家・ピグミーシーホース
本家・ピグミーシーホース
本家・ピグミーシーホースの八丈島での初記録も加藤昌一氏だった

そう。。。僕はハチジョウタツではなく、本家・ピグミーシーホースの発見をリアルタイムで経験していたのだ。^^;
完全に勘違いしてた。。。
しかも本家・ピグミーシーホースの発見が先でジャパピグの発見があとだと完全に勘違いしていた。。。ジャパピグの方が先だったとは!

この本家・ピグミーシーホースの発見はハチジョウタツ以上にセンセーショナルな出来事で、当時小笠原以外からの初めての記録になる凄い発見だった。

余談だけど、この本家・ピグミーシーホースは着くウミウチワの色によって体色が変わるのだが、有名なのは赤色のピグミー。
黄色いウミウチワには黄色のピグミーが着くのだが、当時この黄色い個体を八丈で初めて僕が見つけて親方から懸賞金をいただいた事もあった。(レグルス・ダイビングでは初記録など珍しい生物を見つけたスタッフに懸賞金をくれた)
懐かしい。。。若かりし頃、必死でピグミーを探してゲストに見せていた駆け出しガイドの頃の自分を思い出した。。。(^^)

黄色いピグミーシーホース
黄色いピグミーシーホース(ビデオからの切り出し画像)
八丈初記録で懸賞金をもらった!懐かしい。。。

ちなみに多くのダイバーが知っているように、「ハチジョウタツ」はその標準和名がつくまで「ジャパニーズ・ピグミーシーホース(=日本版ピグミーシーホース)」の略「ジャパピグ」などと呼ばれていてそれが学名の種小名になったりしたのだが、実は当時のレグルスでは「ジャパピグ」などと呼んでいた覚えはまったくない。
いつの間にかどこの誰が言い出したのか分からないがこれが通称名になり、ついにはこの新種の学名になってしまったというのは面白い。

この件について親方に聞いてみると、当時から「ジャパニーズ・ピグミーシーホースとは呼んでいて、これを誰かが略した」と言っているけど、僕の中では「ジャパニーズ・ピグミーシーホース」と呼んでいた記憶すらなく、「日本版ピグミーシーホース」と呼んでいたような気がするけど。。。^^;

やっぱり、記憶が曖昧だ。。。(笑)

原崎
原崎 森
(はらざき・しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。

巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島・屋久島 エリア情報

鹿児島県・屋久島
屋久島ダイビングサービス もりとうみ

〒891-4205
鹿児島県熊毛郡屋久島町
宮之浦2473-294
Tel:0997-49-1260

http://mori-umi.net/
http://harazaki.net/

携帯サイト【QRコード】
QRコード

屋久島ダイビングサービス もりとうみ

バックナンバー
関連キーワード

BabyFinders7OリングPOL-058PT-059RXWRECKWWL-1はえものアオサハギアオリイカアカオビハナダイアカカマスアカグツアカゲカムリアカボシウミウシアケボノハゼアサヒハナゴイアザハタアデイトベラアミメハギアメフラシアヤニシキイサキイシガキカエルウオイソギンチャクイソバナイソマグロイトヒキハゼイトヒキベライナダイバラタツイボヤギミノウミウシイルカイレズミフエダイイロカエルアンコウイワシウシマンボウウチワザメウデナガウンバチウデフリツノザヤウミウシウミウウミウシウミカラマツウミヒルモウルトラマンオオウミウマオオミナベトサカオオメカマスオオモンカエルアンコウオキノスジエビオニヒラアジオパールミノウミウシオヤビッチャオヨギベニハゼオルトマンワラエビカイメンカサゴカシワハナダイカジメカスミチョウチョウウオカマスカンザシスズメダイカンパチカンムリブダイカンムリベラガイコツパンダガイコツパンダホヤガラスハゼガンガゼキイボキヌハダウミウシキザクラハゼキシマハナダイキジハタキツネベラキハッソクキビナゴキミオコゼキリンゴンべキリンミノキンギョハナダイギンガメアジクジャクケヤリクダゴンベクマドリカエルアンコウクマノミクラゲクロキンチャクダイクロホシイシモチグルクングレイリーフシャークゲッコウスズメダイコバンザメゴシキエビゴマフビロードウミウシゴルゴニアンシュリンプゴンズイゴールデン・ロッドサクラダイサビハゼサンゴザトウクジラシコンハタタテハゼシモフリタナバタウオシャチブリショウジンガニシラスシリテンスズメダイシロアザミヤギジンベエザメスケロクウミタケハゼスジキツネベラスジハナダイスナイロクラゲスベスベマンジュウガニセイタカアワダチソウセダカギンポセトリュウグウウミウシセホシサンカクハゼセボシウミタケハゼセンカエルウオゼブラガニソフトコーラルソメイヨシノソメワケヤッコソラスズメダイタカサゴタカノハダイタカベタキベラタコクラゲタコベラタテジマキンチャクダイタテジマヤッコタテスジハタタマギンポダテハゼダンゴウオチュウコシオリエビチリメンウミウシツノダシツノメヤドリエビテヅルモヅルエビテングダイトゲトサカトビヌメリナガサキニシキニナナガヒカリボヤナガレヒキガエルナノハナスズメダイナンヨウイボヤギナンヨウツバメウオナンヨウマンタニザダイニシキウミウシニシキオオメワラスボニシキフウライウオニシキヤッコニジギンポニセハクセンミノウミウシニホンイモリニラミアマダイニラミハナダイネッタイミノカサゴハシナガウバウオハタタテギンポハタタテハゼハチジョウタツハナゴイハナダイハナヤギウミヒドラハマグリハマチバラナガハナダイパラコードヒメエダミドリイシヒメテグリヒメホウキムシヒレナガネジリンボウヒレボシミノカサゴビゼンクラゲピグミーシーホースフィリピンクロミスフクロノリフタスジリュウキュウスズメダイフトスジイレズミハゼフリソデエビフロートブラックウォーターダイブブラックフィンバラクーダブラックマンタブリプランクトンベニウミトサカベニゴマリュウグウウミウシベニマツカサベニワモンヤドカリペアホホスジタルミホムラチュウコシオリエビホヤホンカクレエビホンダワラボロカサゴマダイマダコマダラタルミマダラハナダイマツカサウオマニュアルモードマメダワラマルハナシャコマンタマンボウミカヅキツバメウオミギマキミジンベニハゼミゾレウミウシミッドナイトダイブミノカサゴミヤビチュウコシオリエビムレハタタテダイメガネゴンベメギスSPモンガラカワハギモンスズメダイモンツキカエルウオヤイトハタヤセアマダイユビナガワモンヤドカリユリタツノコリュウキュウキッカサンゴロウソクギンポロープワクロ一期一会交雑種侵略的外来種内部波円周魚眼写真展卵保育台風婚姻色季節来遊魚孵化対角魚眼幼魚放散虫沈船浮遊系海牛海牛杯深海魚渦巻き状灯台生態行動産卵白化胞子嚢軽石魚眼レンズ

20年前の曖昧すぎる記憶 – ピグミー発見時の顛末記 < 鹿児島・屋久島から < トップ