ハナビラ ユキバナ
1ヶ月くらい前にFacebook友達の米田幸恵さんの下記の写真を見て衝撃を受けた。。。なぜ、海の中にお花畑?!すげー!!(・_・;)
久々に他人の写真を見て、僕もこれ撮りたい!と思った1枚だった。
いつもの事だが、撮るからにはまずはこの生き物の事をじっくり調べねばならない。。。
こいつの生態から言って、実際に自分が頭に思い描いているアイデアや構図で写真が撮れるものなのか?
見たこともない生き物なだけに、何も分からないのだ。
そもそも屋久島では見たこともない(認識していない)生き物なので、まずは自分のホームグラウンドで見つけなければならない!^^;
このお花をガイド・ネタにしている恩納村(沖縄本島)の同業者・片野くん(沖縄ダイビングセンター)に沢山写真を見せてもらい、生息環境やサイズなどを聞くとともに、自分でも調べてみる。
調べるからにはまずは種名を知りたいところなのだが、「どうせ未記載種だろう。。。」と勝手に思い、科レベルで分かればOKくらいに考えていたのだが、調べていくと種が特定できた!
しかも、なんと今年の5月に新種記載されたばかりの非常にタイムリーな種だったのだ。
そして、その学名がメチャクチャ素敵な名前だったので感動してしまった。。。(←ここがこの記事を書こうと思った理由)
その名もウミヅタ科(Clavulariidae) > Hanabira属の新属新種、Hanabira yukibana(ハナビラ ユキバナ)!
Hanabira yukibana Lau, Stokvis, Imahara & Reimer, 2019
論文によると、属名のHanabiraはポリプの触手の形がpetal(花びら)に似ていることから日本語の「花びら」を意味し、種小名のyukibanaはポリプの光沢が雪の結晶、そしてそのきらめきに似ていることから、snow flowerを意味する日本語の「雪花」が語源になっているそうだ。
素敵すぎる。。。(*^^*)
学名は基本的にラテン語を用いて命名されるのだが、これはどう考えても日本語!(笑)
仲良くさせていただいている鹿児島大学の研究者の方にこれは有りなのか聞いてみたところ、学名は、基本的にはラテン語、ギリシャ語、アングロサクソン語、ラテン語化した言葉から成るのだが、日本語を「意味をなさないラテン語」として充てることは可能なのだそうな。
それでも属名である「Hanabira(=花びら)」も種小名である「yukibana(=雪花)」も両方とも、日本人である僕らには和名のように聞こえてしまう。。。(笑)
いつもは難しいとしか思えない学名で初めて分かりやすい!と言えるものに出会った!(笑)
この素敵な学名はいったい誰がつけたんだろ?著者を調べてみたところ、なんと日本人ではなかった!
どうもオランダ人の女性研究者らしい。。よくよく調べてみると、なんとうちにも遊びに来たことがある琉球大学の准教授、ライマーさんの研究室の方だったのだ。(ライマーさんも著者の1人)
ちなみにこの生き物には、標準和名は提唱されていなかったので、当然、ライマーさんに標準和名の提唱も頼んでおきました!(^^)
でも、すでに和名のような学名なのに、ここからどんな和名になるのだろうか。。。?^^;
今回はいろいろな方から写真をお借りして並べてみたけど、本当に素敵な生き物だ。(^^)
うーん。。。撮りたい!!!!!
しかし、未だに屋久島では見つけられずにいるのだった。。。
原崎 森
(はらざき・しげる)
1970年8月26日生まれ
山梨県出身
八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。
鹿児島・屋久島 エリア情報
鹿児島県・屋久島
屋久島ダイビングサービス もりとうみ
〒891-4205
鹿児島県熊毛郡屋久島町
宮之浦2473-294
Tel:0997-49-1260
http://mori-umi.net/
http://harazaki.net/
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