ガイドのつぶやき - 伊豆諸島・八丈島からThe Diving Junky Magazine

年末ジャンボの当たりはクジラ!

それは12月2日、私がナズマドでジャパピグ、つまり米粒くらいの大きさしかない日本版ピグミーシーホースをTG-3の顕微鏡モードで必死に撮影している時でした。

その瞬間から、八丈島のクジラ祭りが始まったのです。

写真がぶれないように、必死で壁に張り付いて、息を止めてジャパピグを目で追っていた時、背後からものすごい排気音と殺気を感じ、振り向かずにはいられませんでした。

見ると、目玉が飛び出そうになった、ものすごい形相の梅ちゃんが私にすぐ目の前にいて、スレートに何かを書こうとジタバタしているではありませんか。

何か事故でもあったのかと、こっちまでパニックになりそうになりましたが、ぐっとこらえて彼がスレートに何かを書くのを待っていると、2回くらい書き直ししたあと、「クジラ」の3文字。それこそ、こいつ口から泡を吹いてそのまま気を失うのではないか?と心配しながら、OKサインを出して見せると、次に「通った」と書いて見せ、ダッシュでエントリー口へと帰っていったのです。

さて、どうしたものか?

梅ちゃん、兄弟子の店で働いているスタッフですが、沖でクジラに遭遇したのはわかったけど、今から自分がその方向へ出向いたところで、会えるものなのか? 通ったってことは、行っちゃったってことで、同じ場所には戻ってこないでしょ? 特に今は「行っちゃったばっかり」なんだから。

でも、なんだかお尻のあたりがムズムズしてきたので、後悔しないよう、とりあえず沖へ出てみました。20分くらい沖でふらふらしてみたけど、やっぱりクジラなんていませんでした。

しかし、この日から島内同業者の間にクジラ・フィーバーが巻き起こり、ナズマドが凪の日にはゲストがいなくとも3本クジラ待ちをするツワモノまで現れました。

私は…と言うと、その後用事があってしばらく上京。みんなとのお祭り騒ぎには参加できず。

しかも、八丈島から戻ってきたその日に、ご近所ショップのメグちゃんが、ナズマドでバッチリなザトウ写真をゲット!

さらにその写真がNHKのニュース9で紹介されたのです。

ナズマドにはさらに大勢のダイバーが集まるようになりました。

正直言って、本来なら「今日はみんな何してるんだろ??」と年賀状書きや事務仕事に邁進する冬の閑散期、そんな12月に大勢のダイバーと一緒になって海で盛り上がっている、その雰囲気だけで楽しい。

昨日、12月20日、やっと私もお祭り会場に出かけることができました。みんな、ちょっとでも当たりを外さないよう、エントリー口から見張ります。沖の方でブローが上がるのが見えたらすぐにエントリーできるよう、器材をセッティングして待っているのです。

エントリー口から見張るダイバー

そして水中で待つ場所は必ず三角根。それほど大きくない根の頂上に、ダイバーが鈴なり。この広い海の中で、そんなにうまくこの付近を通過してもらえるものなのかしら?

通過してくれたところで、ほんの一瞬の出来事だろうから気がつかなかったら終わりだし。

クジラ待ちのダイバー

みんなが必死で遠くを見つめている様子が面白くて、その様子を撮って遊んでいました。

その時です。

みんなの背後にある、何もないはずの海の向こうから、黒い大きな丸いものがどんどん大きくなってくるのが見えたのです。

まさかの「キター!!」でした。まさかの、待っているダイバーよりも岸側通過。沖を見つめるダイバーたちは誰も気づかず、だったのでした。

向かってきたクジラは最接近したところで頭上を通過。

ザトウクジラ

そのあと私のそばに下りてきました。

ザトウクジラ

一緒に泳いでいる時間が、とても長く感じられました。実際、この間に撮った写真が12枚。見ることができてもせいぜい1〜2秒だろうと思っていたのに。

もちろん最後には引き離されてしまいました。

ザトウクジラ

もう追いつけない…と思ったところで、後ろを振り返ると、必死で泳いでくるダイバーの群れ。こんなに追いかけてきちゃって、元の場所にちゃんと戻れるのか!?と少し心配になりましたが、みんなで元の三角根へ。

三角根

興奮冷めやらず、撮った写真を見直す人、すぐに次のチャンスを狙って見張りの体制に入る人、人それぞれ。もちろんエキジットした後も大騒ぎ。

この感動をもう1度。このお祭りは年をまたいで、しばらく続きそうです。

水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング

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