カイメンの森
ただ気がつかなかっただけなのか、いや、確かに昔の八丈島には、こんなにたくさん見られなかったと思うのです。
いつの頃からか、妙に目に付くようになりました。
最初は茶色の海藻だと思っていました。岩盤の上に薄く砂や砂利を敷き詰めたような、一見何もない平坦な場所が好みのようです。過去に沈められた、古いコンクリートブロックの上にも、どんどん勢力を広げています。
魚影の薄い平らな場所でゆらゆらと揺れている風景は、どんなに透明度の高い黒潮ブルーの夏の海の中で見ても冬を思わせ寒々として見えます。
この茶色の海藻のような生き物が、実はカイメンの仲間だと教えられたのですが、いまだに名前は知りません。
一番多く見られるのは八重根ですが、他のポイントでも増えてきているような気がします。
こんなにたくさん生えている(と言って良いのか?)のに、名前がわからないだなんて。そもそも、カイメンの名前なんて、どうやって調べれば良いのでしょう? どなたかご存知の方、教えてください。
どこからどう見ても、魚影のギョの字もなさそうなカイメン畑ですが、いざ膝を付いて眺めてみると、いろんなサカナたちがカイメンと一緒に揺らめいています。
最近では、本当にカイメンにそっくりさんのカミソリウオ。今日もペアで揺れていました。ライトを照らすと少し赤く見えますが、ただの肉眼だとカイメンそのもの。
他にもキスジキュウセンやカマスベラの幼魚にとって、ちょうど良い隠れ家になっています。どちらも、このカイメンの中に紛れていると、なかなかその存在に気が付きません。ちょっとした揺れ方の違いで、「あっ。こいつサカナだ。」とわかります。
サカナだけでなくウミウシも。トウモンウミコチョウは、このカイメンが大好物のようです。
八丈島では、ほとんどのトウモンウミコチョウがこのカイメンの上で見つかります。と言うより、トウモンウミコチョウを探す時は、このカイメンの森で探します。
他の地域でもトウモンウミコチョウは見られていると思うのですが、このカイメンも同じように見られているのでしょうか?
枯れ果てた雑草が風に揺れている、そんな不毛地帯のような場所で、気がつけば1時間。いろんな生き物たちと遊べるカイメンの森。
皆さんが潜っている場所にも、ありますか?
水谷 知世
昭和40年代生まれ
兵庫県出身
一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)
伊豆諸島・八丈島
レグルスダイビング
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