泥臭いから面白い!

僕はタイの持つ二つの海、太平洋側のシャム湾と、インド洋側のアンダマン海の両方で潜っている。それぞれにショップを構えて、ちょうど異なるシーズンを半年ずつ引っ越しながら通年ハイシーズンで潜っている。これはとても恵まれた環境だと言えるだろう。

よく聞かれるのが『どっちの海が好きですか?』とか『どっちの方が面白いですか?』という類いの質問だ。これは非常に難しい、というか、はっきり言って答えられない。強いて言うなら『どっちも同じくらい好きです』だろう。両方ともが、我が愛するタイの海なのである。

しかし『それぞれどんな特徴の海ですか?』という質問なら喜んで答えさせてもらう。そういうわけで、今回は現在潜っているシャム湾、タオ島の海の特徴を説明しようと思う。

一言で言うと

『泥臭い・・・』

・・・って、なんかイメージ悪くないかっ!?爆

でも、これは本当の事で、良い意味で(←ここ大事!)めっちゃ泥臭い海なのだ。

タオ島

よくタオ島の海(シャム湾)が紹介される時にただ漠然と『ユニークな海』なんて紹介される。そこにはちゃんと理由があるのだが、なかなかそこまで突っ込んだ説明をする機会は無い。ここでは僕の考えるタオ島の海(シャム湾)がユニークな訳をちょっと突っ込んで(でも出来るだけ簡単に)説明してみよう。

・閉鎖海域
タオ島だけの地図を見てると分からないが、東南アジアの地図を見れば一目瞭然だ。数カ国にまたがる広大な海域がマレー半島とインドシナ半島とその出口にある島々によって閉じ込められている。ちなみにシャム湾は日本の国土の85%ほどの広さがある。

・水深
シャム湾が位置する場所は、もともと氷河期の水位が低い時にはスンダランドと呼ばれる大陸からの陸続きの一部であったが海面の上昇とともに水没した。その名残で湾内は平均深度が45m、最大深度が80mとかなり浅く、この水流の穏やかさの原因にもなっている。

・地質
氷河期に大陸内部から巨大河川チャオプラヤーが大量の泥や砂を運び埋積してできたデルタ地帯だった沖積層がベースとなっている。そこに花崗岩や石灰岩の地層の隆起があり島や隠れ根を形成している。

・内湾性
チャオプラヤー川から流れ込む淡水の影響で塩分濃度は3.05%〜3.25%とかなり低い。ちなみに日本の周辺の海は3.5%ほどらしい。南シナ海から流れ込む海水の影響で塩分濃度の濃い層もある。また、大陸から流れ込む河川の影響で栄養豊富な海域となり魚影がめちゃくちゃ濃い。

・海流
湾内には黒潮など大きな海流は流れ込まないため、他の海からの生物が流入しにくい。

・日周潮汐
およそ1日を周期とした珍しい潮汐で、1日に1サイクルしか潮の満ち引きがない。このため潮流が穏やかである。

などなど、この様ないろんな条件が重なってユニークと言われる海が存在するわけで、他の海ではレアものとされる生物が群れていたり、逆に他の海では普通種とされる生物がほとんど一匹もいなかったりし、穏やかなのにも関わらず目の前が見えなくなる程の魚群と一緒に泳いだりできるのにはちゃんと理由があるのだ。

透明度はあまり良くないけれど、サンゴも地味な種が多くてあまり華やかではないけれど、他の海には負けない、タオ島ならでは、シャム湾ならではの独特の強みを持っている、ようするに泥臭〜い面白さがあるという事。

是非、こんな泥臭くて面白いタオ島の海を楽しんでもらいたいと思う。

タオ島と言えば、逃げずに寄れる共生ハゼにも定評があるが、まずは砂泥底という生息環境が広大に広がり、仲間(繁殖相手)も沢山おり、餌も豊富、そして砂地に天敵となる種が少ないという、まさにハゼにとって天国の様な環境が整っているのだから、生息数も多く警戒心が薄くなるのもうなずける。さすがにゲストが指示棒でギンガハゼのほっぺをつんつんしているのに引っ込まなかったのにはビックリしたが・・・(←実話!)

下の写真はカメラを構えた僕に威嚇してくるフタホシタカノハハゼの黄色個体。かなり強気で後ずさりしないとピントが合わないくらい突っかかって来た・・・(^_^;

フタホシタカノハハゼの黄色個体

さて、僕にとっては10月がその年のタオ島の潜り納めとなり、来月の今日はもうインド洋側のカオラックへ引っ越ししている。つまりそろそろシーズンの変わり目という事なのだが、実はこの10月こそ僕が特に好きなタオ島のシーズンでもあるのだ。

自分が撮った今までで一番のお気に入りであるギンガメアジの群れに突っ込むジンベエザメの写真も10月に撮ったものだ。

今年のラストにはどんなドラマが待っているのかな〜。

来月の豪海倶楽部で紹介できるよう潜りまくろう!

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大村
大村 健(おおむら・たけし)

1973年、京都生まれ
ガイド会所属

18歳で大学のクラブでダイビングを始め、その後、バックパックを背負って海を潜り歩く旅を経て、20歳の頃に秘境・タオ島に出会う。以後、徐々に発展してきた島とともにダイビングにのめり込んで今に至る。現在、タイの2つの海を舞台に、海のポテンシャルをフルに引き出すべく精力的に潜り倒す日々を送っている。

タイ・タオ島 カオラック
Big Blue Diving

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タオ島店
17/18 Moo 1, Koh Tao,
Suratthani 84280, Thailand
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Fax : 66-77-456 772

Big Blue Diving Tao

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