ゆうすけの豪海倶楽部The Diving Junky Magazine

人が来ない事での変化

12月は師走であるが、何が師走かと突っかかりたくなるほどの2020年。

今年はいかがでしたか?なんて聞きたくもないし、聞いてほしくもない。そんなこんなで今年が終わってしまう。今年は一体なんだったのだろう?

と、自分の目線でものを考えると冒頭の通りである。まったく腹立たしい。

しかしパラオの海として今年を見てみると、こんなに人が来なかった年は過去30年間を振り返っても、おそらく無かったであろう。

これは海に対するインパクトが少なかったとも言い換えることができる。そもそもパラオの夏はオフシーズンだから、当然この時期は人が少ない。

しかし、このまま鎖国が続けば、冬のトップシーズンもインパクトが無い状況が続く。これは僕にとっては大問題だが、反面、環境にとってはなかなか良いのではないかとポジティブに考えている。

事実、最近デクスターウォールというポイントでは、ソフトコーラルが急速に復活してきている。ここはもともとソフトコーラルが豊富で、そのおかげで亀たちの休憩場所となり、特に初心者には人気のポイントだった。

初心者に人気ってことは、流れないし、亀が多いだけなので、個人的には「ぬるい」ポイントだと思っている。だからあまり積極的に潜る場所でもなかった(もちろん初心者のお客様を案内しているときは潜りますが)。

しかし、今年の頭に潜って驚いたのが、このソフトコーラルが相当なダメージを受けていて岩肌があちこち出ているような状況になっていた。

おそらくダイバーのフィンが原因ではないかと思う。中世浮力が取れないまま水底まで降りてそこでバタバタフィンを動かし、それがナイフのように根元から削いでしまっていたのだろう。

それが先日潜ってみたら、痛んでいた場所に新しいソフトコーラルが復活し始めていた。

ソフトコーラルの成長の速さにはちょっと驚いた。3割くらいは戻っている印象。スキンヘッドだったのが、スポーツ刈りくらいにまで生えてきたような感じ、と言ったらわかりやすいか。

このペースなら、もう少し時間が経てば、以前のようなカーリーヘアのようなフサフサの草原のようなポイントに戻るのではないだろうか、と期待が持てる。あまり好きではなかったデクスターウォールだが、潜りたくなる理由が出来た。

そんな、人が来なくなったパラオの水中では少しずつではあるが、変化が出始めてきたように思う。

せっかくこの場所に残っているのだから、ダイバーとしてしっかりその変化を見つめ、それを発信することが、ここに残る人間の責任のように思える。

そんなことを考えながら今日もボートは、デクスターウォールへ向かう航路、ビーチ脇を滑走していくのであった。

デクスターウォールへ向かう航路

激しすぎる求愛

エクジット間際に水面付近で何かがバシャバシャやっているので、ウミガメが息継ぎをしているのかと思いきや。。。

ヒトヅラハリセンボンの求愛?
ヒトヅラハリセンボンの求愛?

2匹のヒトヅラハリセンボンが追いかけっ子をしていた。
一匹がもう一匹の口元や側面を噛み付いたりと何やら激しすぎる。。。^^;
そして、頻繁に一方が他方を水面に持ち上げるような感じで押し上げ、終いには片方は逆さにひっくり返されたりしてる。。。

同じ仲間のハリセンボンは1尾のメスを複数のオスが下から持ち上げるように中層から水面方向へ上昇して放卵・放精する。
また、オスがメスの体の側部を吻でつついたり、噛んだりする行動は、カワハギやフグの仲間でよくみられる求愛行動の特徴の1つだ。

ここから多分、これも求愛行動ではないかと思っている。
だとしたら、なんてアクロバティックな求愛!^^;

千葉県立海の博物館の川瀬さんに「こいつらの繁殖行動を追ってみては?」と言われたけど、実はヒトヅラハリセンボン、屋久島ではそれほど頻繁に見る魚ではないんだよね。。。^^;
個体数が少ないから逆にその生活パターンが掴めれば、個体識別して追うのは簡単だとは思うんだけど。。。

https://www.facebook.com/watch/?v=2771094076324426

14年経っても進展なしって。。。^^;

先日、久々に僕が主催する「ヘビベース!」という死にかけのヘビギンポのサイトに「GO TO THE SEA」の横田さん(https://www.gokaiclub.com/2020/08/yokota/6391)からの投稿があった。

真っ赤なヨゴレヘビギンポの雄の婚姻色写真だった。(⇒)
この魚は僕の知る限り、伊豆諸島、紀伊半島、四国など日本の太平洋沿岸で見られるヘビギンポで、伊豆半島での記録は聞いたことがない。
でも聞いてみると伊豆半島でも過去に記録があるそうな。。。

ヨゴレヘビギンポ(撮影地:八丈島)

ヨゴレヘビギンポ(撮影地:八丈島)

ちなみに我が屋久島では近似のアヤヘビギンポが幅を効かせており、ヨゴレヘビギンポが入り込む隙間などない。
これは本土・鹿児島でも同じ状況のようで、それに対して目と鼻の先にある四国・柏島ではヨゴレヘビギンポしか見られないというのだから不思議なものだ。

アヤヘビギンポ(撮影地:屋久島)

アヤヘビギンポ(撮影地:屋久島)

実はこの2種は過去にこの豪海倶楽部で紹介したことがある。

ヘビギンポ偏愛(6)ヨゴレヘビギンポ
ヘビギンポ偏愛(7)アヤヘビギンポ

2006年の事なので14年も前の話なのだが、当時の文を読むと

ヨゴレヘビギンポの婚姻色は赤、アヤヘビギンポの婚姻色は黒。今のところ伊豆諸島、小笠原、紀伊半島、四国などではヨゴレヘビギンポが、鹿児島県・坊津以南の薩南、琉球列島ではアヤヘビギンポが分布しているようだが、その分布の境界線がどこになるのかとても興味深い。はたして、2つの種類が同時に見られる地域があったりするのだろうか?

宮崎などあまり海の様子が知られていない地域の状況が気になる。。。

などと書いているのだが、その後何一つ進展はなく、その分布の境界線がどこになるのか?2つの種類が同時に見られる地域はあるのか?、ともにまったく分からないまま15年が経過しようとしている。。。^^;

宮崎界隈で潜っているダイバーの皆さま、情報提供よろしくお願いいたします。。。

夫婦で、親子で別種扱いされる魚たち(2)

先月はオスとメスの色彩があまりにも違うために、ちょっと前まで別種だとされていて、それぞれ別々の和名がついていた「トサヤッコ」を紹介した。(⇒夫婦で、親子で別種扱いされる魚たち(1)

しかし上には上がいるもので、オスとメスで別種だと思われていただけでなく、さらになんとその幼魚まで別の魚(種類)だとされていたという魚がいる。
例えるなら、「お父さんはゴリラ、お母さんはチンパンジーだと思っていたけど、みんな僕と同じヒト(人間)だったみたい。。。」的な驚きだ。(笑)

リボンイワシ

屋久島で撮影されたリボンイワシ

それどころか、この魚は「種」の上の階層である「属」を飛び越え、「科」のレベルで別種扱いされていたみたいなのだ。
しかも、それまで、オス、メス、幼魚、このすべてが別々の科にカテゴライズされていたのだ。。。^^;
例えるなら、「うちはペットとしてイヌとネコを飼っていて、お父さんはクマ、お母さんはレッサーパンダ、僕はスカンクだと思っていたけど、どうもペットを含めみんな僕と同じスカンクだったみたい。。。」的な驚きだ。(ちょっと違うか?笑)

これは2009年にDNA解析によって明らかにされたクジラウオ科魚類の話だ。
それまでこのクジラウオ科と近縁なグループとされながらも、形態がまったく違うため別の科として分類されていたトクビレイワシ科(リボンイワシ科)とソコクジラウオ科の魚がDNA解析の結果、すべてクジラウオ科の魚と同じ種類であることが分かったのだ。
しかも面白いことに、数少ない標本から性別を調べてみると、トクビレイワシ科(リボンイワシ科)の標本はすべて性成熟前の未熟な個体ばかり、ソコクジラウオ科の標本はすべて発達した精巣をもつオスばかりだったそうな。。。
さらにはクジラウオ科の標本も同様に調べたところ、性別が判明したものはすべてメスであった。(・_・;)

リボンイワシ

屋久島で撮影されたリボンイワシ

つまり、これまで別ものとされてきた深海魚の3つの科(トクビレイワシ科、ソコクジラウオ科、クジラウオ科)が、それぞれ一つの種類の幼魚、オス、メスだったというのだ。
先人は同じ種類なのに、それぞれのステージ(幼魚、オス、メス)ごとに科を設けてカテゴライズしてしまったのだ。(笑)

現在、まだ3科は別々に分かれてはいるが、すべてをクジラウオ科に統一するべく研究は続いているそうな。。。

夫婦で、親子で別種扱いされる魚たち(1)

魚にはオスとメス、または成魚と幼魚で色彩や形が違うという例はごくごく普通にある。
そのせいで昔は同じ種類なのに別種だとされていた魚も多い。

性転換中(?)のトサヤッコ

性転換中(?)のトサヤッコ

例えば伊豆諸島南部や四国、屋久島など主に日本の太平洋沿岸の黒潮流域で見られるトサヤッコという魚がいるのだが、昔はオスとメスで別種とされていた。
オスとは色彩がまったく違うメスにはクマドリヤッコという和名までついていた。

トサヤッコのメス

クマドリヤッコ???(笑)

キンチャクダイの仲間はメスからオスに性転換するのだが、トサヤッコもそう。
一番上の写真は多分、性転換中の個体の色彩だ。

性転換中の個体などめったに見かけないので、きっとほんの一時期だけの色彩なんだろうけど、こんなオス・メスの中間的な色彩の個体も当時は下手すれば別種にされかねなかったわけだ。(笑)
見た目だけで分類してしまうと、トサヤッコが2種類どころか、3種類に分けられてしまう可能性もあったのだ。

トサヤッコのオス

トサヤッコのオス

今はだいぶ分類も進んできて、こうした間違いも少なくなってきたのだろうけど、深海に棲む魚はまだまだ謎に包まれているようで、今だに同種なのに別種にされている例が多いみたい。
オス、メスどころか、成魚と幼魚とで別種にされていたり、「種」レベルどころかその2つ上の階層である「科」レベルで別種とされている魚もいるというからビックリ!(・_・;)
ここからが今回の本題なんだけど、長くなったので次回にまわします。。。^^;

海でも陸でも同じ習性(笑)

この仕事を始めて20年以上経つけど、四半世紀ぶりにのんびりとしたゴールデンウィークを過ごしてる。。。
減っていくだけでまったく増えない生活費にドキドキしながら。

外出を自粛することを「頑張ろう!」という言葉でよく表現するけど、もともと僕(とその家族)はあまりアクティブな方ではなく、どちらかというと引きこもり系。(笑)
なので特に普段の生活と変わったところはなく、頑張ってる感は皆無なのだが、さすがに健康にも悪いしダイエット中でもあるので夕方は外に走りに行く。

当然、今まで嫌々行っていたのだが、最近ちょっとした楽しみを見つけて、走りに行くのが億劫ではなくなった。
それはランニング中やその休憩中にiPhoneで撮る自撮り!
ネットで見つけた同世代のおっさんランナーがインスタにアップするランニング中の写真がめちゃカッコよく、「オシャレにカッコつけて走る」というコンセプトにすっかりハマってしまった。。。

あまりにもハマりすぎて、もはや走りに行っているのか、写真を撮りに行っているのか分からない状態。^^;
まぁ、写真を撮っている時間の方が長いことは確実だけど。。。(笑)
一度撮り始めるとなかなか満足できず、何度も何度も撮り直すのでなかなか終わらない。。。

もともと水中でも写真を撮りだしたら長くなり1ダイブ2時間超えは当たり前。
しかも撮るのはたった1-2被写体のみで、それにすべての時間を投入する。。。これが僕のいつものダイビングスタイル。
帰ってきてPCで画像をチェックすると、同じようなカットがずらっと数百枚並ぶ。。。(笑)
きっと他人が見たら全部同じ写真に見えるかもしれない。

これは撮っても撮っても、もっと良い写真が撮れるのではないか?もっと良いシーンに巡り合うのではないか?もっと良い表情を見せるのではないか?などと考え始めると、引き上げるタイミングを逃してしまうのだ。(笑)
これが今、iPhoneで撮っている自撮り写真でもまったく一緒!
僕のiPhoneにはずらっと同じような自撮り写真が並ぶ。。。

もしかしてナルシスト?
いやいや、ちゃうから!(^_^;)

自慢の出っ歯

一湊タンク下というポイントの-10m付近に広がるウスサザナミサンゴ群落の上はホンソメワケベラの大きなクリーニングステーションになっている。
最近、ここに大きなナンヨウブダイの老成オスが毎日のように来ていて、潜るたびに出くわす。

ホンソメワケベラのクリーニングを受けるナンヨウブダイ

こいつがまったく逃げないヤツで、近づいても目の前で気持ちよさそうにクリーニングを受けている。。。
老成のオスらしく、自慢の出っ歯は半端なくデカく、そこには藻が沢山生えてる。

動画を撮影しました。
この出っ歯を前に突き出しながら気持ちよさそうな顔をしていると、メチャ間抜け面で面白いので見てください。。。(^_^;)

https://www.facebook.com/watch/?v=230537184992483

ヒドロ虫の図鑑

昔からネットを通して「図鑑を作るから写真を貸してくれ」という依頼はよくある事なんだけど、最近は海外からの問い合わせも多い。
これも時代だと思う。

たいていは魚の依頼が多いのだが、ついにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!ヒドロ虫の依頼!!(笑)
シカゴにある博物館で働く研究者が5-6月くらいにソフトコーラルやヤギ類など刺胞動物の専門図鑑を出すらしい。。。
ヒドロ虫の生態写真はあまり見つからないみたいで(そりゃそうだ!)とても重宝されたようだ。
まさかコツコツと撮っていたヒドロ虫の写真が役に立つとは!^^;

ヒドロ虫ってこういう連中。
こんな事でもないと日の目を見ない地味な写真の数々!(笑)

カイメンウミヒドラ属の一種

カイメンウミヒドラ属の一種

クラバモドキ属の一種

クラバモドキ属の一種

スズフリクラゲ属の一種

スズフリクラゲ属の一種

ヤマトサルシアクラゲ

ヤマトサルシアクラゲ

「屋久島ならでは」の光景

唐突だけど、今年はもっと「屋久島ならでは」の生き物や光景を意識してガイドしていきたいなぁ。。。などと思っている。

それは屋久島に来た頃から意識はしていたものの、それを実践しているかというとかなり微妙だ。^^;
屋久島に来た当初は、現地ガイドとして他の海と屋久島の海との違いやこの海の他にはないユニーク性(特徴)を見出そうと必死になっていたこともあって、積極的に「屋久島ならでは(だと思われる生物や光景)」を紹介していた。(それが紹介できないようだと「現地ガイド」とはいえない!と強く思っていたのだ(笑))

それを最近はまったくしなくなってきたのには理由がある。

「~ならでは」というとその場所でしか見られない固有の生物を想像しがちだけど、海はつながっており、少なくとも同じ北半球の、同じ海流(日本では黒潮や対馬暖流のこと)に影響を受けている海域内において、そんな固有種なんてもともとありえない。
なので「~ならでは」の生物や光景というものは、そのほとんどが基本的には「一般的によく知られた生き物」がその中心であり(レアモノや珍種ではないということ)、それが他の海域に比べて異常に多いとか、この海では変わった社会行動をとってるだとか、この海では体色や模様がまったく違う一群が存在しているだとか、そういうものを指すことになる。

そして、たいていはそのほとんどは地味で、観察対象にはなっても、写真を撮るのは難しかったり、もしくはどうにもこうにも撮りようがないものが多かったりする。^^;
わざわざ高いお金を払って潜りに来てくれているお客さんの目的が今や「とにかく綺麗な写真を撮りたい!」とか「珍しい生き物や生態を撮りたい!」というところにあったりするわけで、お客さんのリクエストやニーズに応えるのであれば当然、被写体的に適していないものが多い「屋久島ならでは」の生き物や光景を紹介している場合ではないのだ。(笑)

またダイバーの興味は「極端に大きなもの(=大物)」か「極端に小さなもの(=ハゼや小さな擬態する魚、甲殻類やウミウシの類、浮遊生物もそう)」に集中する傾向があるように思うのだが、残念なことに大抵の「屋久島ならでは」の生き物はそのどちらにも入らないような中間的な大きさのものが多い。
中間的な大きさのものというのは小物のように探すのに苦労したり、大物のように突然現れたりする生物ではなく、いつも見られるいつもの普通種。
しかも、派手さもない。
言い方を変えると「屋久島ならでは」の生き物とは誰も興味を示さない中途半端な、一般的に言ってつまらない生き物たちなのだ。(笑)

つまり、お客さんのニーズに合っていないというのが、「屋久島ならでは」の生き物や光景をなかなか紹介できない理由だったのだ。

ヤクシマキツネウオの群れ
ヤクシマキツネウオの成魚がいつでも群れている光景はまさに「屋久島ならでは」の光景

そもそもダイビングは遊びなので、水の中で何をしても自由だし、自分が楽しいと思うことを大いにやればいいと思う。
僕も強制したり押し付けたりするのは避けたい。。。

でも僕自身は「屋久島の海」だけを仕事としてガイドする現地ガイドなので、もっと「屋久島の海」にこだわって、「屋久島の海」を紹介しなければならない立場なんじゃないの?どこの海でもできるようなことを提供していていいのか?などと真面目に考えてしまう。
海は少しでも離れればまったく違う顔をしており、そこで見られる生き物や光景は変わってくる。
わざわざお金を出していただいているのに、その違いを紹介しないのは逆に申し訳なく感じてしまうのだけど。。。(笑)

客商売なのだからお客さんのリクエストに応えるのが先決ではあるけど、自然に関わる現地ガイドたるもの、いつでもエコツアーガイドとかインタープリターとしての意識を強く持って活動する必要があると思う。
お客さんが受け入れようが、受け入れまいが、現地の海の特色を紹介することで、この海が、かけがいのない唯一無二の存在であることを啓蒙する姿勢は崩してはいけない。

今年は被写体にならなくても、「屋久島ならでは」を紹介くらいはしようかな。。。などと思ってる。
僕が指し示したものは「ぜひ撮ってみて!」と言っているわけではないので、ご注意を。(笑)

約20年前、八丈島の海ぐらいしか知らなかった僕が初めて屋久島の海に潜った時、毎回この光景が広がっているのを見て思ったこと。

「南の海ってキツネウオが常に群れてるんだなぁ。。。」

結局、この魚はキツネウオではなかったわけだが(=当時は和名なし=ヤクシマキツネウオ)、それよりもこの魚が南の島ならどこでも「常に群れている魚」などではなく、これは屋久島ならではの光景だったんだ、と知ったのは屋久島に移り住んでからの事だった。笑

ヤクシマキツネウオが群れる光景はまさに「屋久島ならでは」の光景だ。

どこの海で潜っても、まったく同じようにひたすらレアモノや小物探しをしたり、それとは逆に大物や群れを見に行くのも楽しいけど(人間は両極端なものに憧れる?(笑))、たまにはその海ならではの生き物や光景を見るのも自然の多様性や豊かさを知ることができて新鮮に感じるかも。。。!

という提案でした。
被写体にはなりにくいけどね。。。(笑)

あけましておめでとうございます!

あけまして、おめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。

ホシゾラワラエビ
ホシゾラワラエビ

20年前の曖昧すぎる記憶 – ピグミー発見時の顛末記

人の記憶なんてほんと曖昧で適当だ。

今年の夏前の話になるけど、水中で地元・屋久島の同業者Fくんが手招きするので行ってみると、それは昨年、新種記載され和名がついた「ハチジョウタツ」だった。
数年前からそのFくんはちょくちょくこのハチジョウタツを見つけていたようなのだが、僕は”屋久島では”初めての出会いだった。

”屋久島では”というのは若い頃の修行先である”八丈島では”頻繁に見かけていた魚だからだ。
そう、このハチジョウタツとはかれこれ15-16年ぶりくらいの出会いとなるのだった。
その頃はまだ僕の老眼もそれほど進んでいなかったので、当時「日本版ピグミーシーホース」と呼ばれていたこのハチジョウタツを見つけるのはむしろ得意中の得意だったし、よくネタにもしていた。
それがこちらに来てからは生息環境はよく知っているにも関わらず(でも屋久島はちょっと深い。。。)、見つけられずにいたのだ。^^;

ハチジョウタツ
ハチジョウタツ(ビデオからの切り出し画像)
21年かかってようやく新種記載された

「20年前にハチジョウタツが八丈で発見された時、俺も八丈島のその発見したお店に在籍していたからリアルタイムでその時のことはよく覚えてるんだよね。。。当時は俺も自力で何匹も見つけたりしてたんだけどねぇ。。。」などと教えてくれた若いFくんに対して昔のことを持ち出し、見苦しい負け惜しみを言ってしまった。。。(笑)
でも、よ~く調べてみると、何とその記憶はかなり曖昧だったことが分かった。。。(・_・;)

当時、このハチジョウタツを僕の師匠であるレグルスダイビングの加藤昌一氏が八丈島で見つけたのは1997年10月16日。
そして翌年1998年の春には神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏氏によって未記載種(つまり新種)だと同定された。

ちなみに僕が八丈島に来てレグルスダイビングで修行を始めたのは1998年の夏。
全然リアルタイムじゃないやん!!!!!(・_・;)

ただ、当時まだ若かった僕が体長8mm程度の日本版ピグミーシーホース(ハチジョウタツ)などは楽々見つけることができる目を持っており(つまり老眼ではないという意味)、よくガイド・ネタにしていたというのはホント!(笑)

それでは、いったい僕は何と勘違いしていたんだろうか。。。?
さらに調べてみると。。。
このハチジョウタツは当時、まだ国内では小笠原以外では見つかっていなかった「Hippocampus bargibanti(和名なし=有名な「本家・ピグミーシーホース」の事)」に対する呼び名として、レグルス・ダイビング内では「日本版ピグミーシーホース」と呼んでいた。

そして、この「本家・ピグミーシーホース」を加藤昌一氏が八丈島で初めて見つけたのは1999年12月。。。これだ!(笑)

本家・ピグミーシーホース
本家・ピグミーシーホース
本家・ピグミーシーホースの八丈島での初記録も加藤昌一氏だった

そう。。。僕はハチジョウタツではなく、本家・ピグミーシーホースの発見をリアルタイムで経験していたのだ。^^;
完全に勘違いしてた。。。
しかも本家・ピグミーシーホースの発見が先でジャパピグの発見があとだと完全に勘違いしていた。。。ジャパピグの方が先だったとは!

この本家・ピグミーシーホースの発見はハチジョウタツ以上にセンセーショナルな出来事で、当時小笠原以外からの初めての記録になる凄い発見だった。

余談だけど、この本家・ピグミーシーホースは着くウミウチワの色によって体色が変わるのだが、有名なのは赤色のピグミー。
黄色いウミウチワには黄色のピグミーが着くのだが、当時この黄色い個体を八丈で初めて僕が見つけて親方から懸賞金をいただいた事もあった。(レグルス・ダイビングでは初記録など珍しい生物を見つけたスタッフに懸賞金をくれた)
懐かしい。。。若かりし頃、必死でピグミーを探してゲストに見せていた駆け出しガイドの頃の自分を思い出した。。。(^^)

黄色いピグミーシーホース
黄色いピグミーシーホース(ビデオからの切り出し画像)
八丈初記録で懸賞金をもらった!懐かしい。。。

ちなみに多くのダイバーが知っているように、「ハチジョウタツ」はその標準和名がつくまで「ジャパニーズ・ピグミーシーホース(=日本版ピグミーシーホース)」の略「ジャパピグ」などと呼ばれていてそれが学名の種小名になったりしたのだが、実は当時のレグルスでは「ジャパピグ」などと呼んでいた覚えはまったくない。
いつの間にかどこの誰が言い出したのか分からないがこれが通称名になり、ついにはこの新種の学名になってしまったというのは面白い。

この件について親方に聞いてみると、当時から「ジャパニーズ・ピグミーシーホースとは呼んでいて、これを誰かが略した」と言っているけど、僕の中では「ジャパニーズ・ピグミーシーホース」と呼んでいた記憶すらなく、「日本版ピグミーシーホース」と呼んでいたような気がするけど。。。^^;

やっぱり、記憶が曖昧だ。。。(笑)

今年のマイブーム被写体(^^)

昨年秋の大きな台風でホームグラウンド・一湊タンク下の-15m付近にある大きなナガレハナサンゴの群体が破壊され、ポリプが生きたままの状態でその破片が付近に飛び散った。
そのせいで今年は、あちらこちらにニセアカホシカクレエビによる小さなクリーニングステーションがいくつも誕生した。

こうした複数のクリーニングステーションには、ニセカンランハギやタテジマキンチャクダイ、ゴマモンガラ、スジアラ、アカエソ、ハナキンチャクフグなどの常連メンバーが集まってきて、気持ちよさそうにクリーニングを受ける様子が毎日のように観察できている。

ハナキンチャクフグ+ニセアカホシカクレエビ
ハナキンチャクフグ+ニセアカホシカクレエビ
小さなハナキンチャクフグに大きなニセアカホシカクレエビが乗るシーンが一番のオススメ!

近づけばスグにエビはクリーニングを止めてしまうし、クリーニングを受けている魚も逃げてしまうため、なかなか撮るのは難しいのだが、ステーションが複数に分かれてくれたおかげで、ダメだった場合は他のステーションに移ってまたトライ!などということが可能になった。(笑)

なかなか普通のマクロ・フォト派ゲストさんには興味を持ってもらえないのが残念なのだが(笑)、僕的な今年一番のマイブーム被写体はこのクリーニングだった。
この付近を通るたびに、毎回、各ステーションをチェックしてた。(笑)
今年はこのスグ近くでホムラハゼが出たのだが、こちらの被写体の方が観察してても、撮影してても、ずっと面白いと思うんだけどなぁ。。。^^;

スジアラ+ニセアカホシカクレエビ
スジアラ+ニセアカホシカクレエビ
ハタ類のような大きな魚の場合は大きく開けた口の中にエビが入り込んでクリーニングするシーンが狙い目!

大小様々な魚がクリーニングを受けている様子をいろいろ撮ってみたけど、可能な限り寄って撮ったほうが絵になる。
クリーニングを受けている側の魚の目と口付近をクローズアップして固定。(魚の目玉は必ず入れたほうがいい)
あとはひたすら、そこにニセアカホシカクレエビがフレームインするのをひたすら待つ撮影方法がいいと思う。

15年越しの日本初記録「ヤクシマダテイシモチ」

これまで標準和名に「ヤクシマ(屋久島)」の名を冠した魚は次の3種だった。

ヤクシマイワシ
ホソオビヤクシマイワシ
ヤクシマキツネウオ

9/25に出版された日本動物分類学会の学会誌「Species Diversity」にて、標準和名に「屋久島」の名を冠した4種目の魚が生まれた。
その名も「ヤクシマダテイシモチ」だ。

ヤクシマダテイシモチ
ヤクシマダテイシモチ
屋久島では過去15年間に約20個体が確認&撮影されている

この魚はインドネシア、オーストラリア北西部、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ボルネオ島北部、フィリピン、台湾などに分布している魚で、日本国内では屋久島でのみ記録されており、これがこの種の日本初記録、そして北限記録になる。

この魚は屋久島では2004年(僕が屋久島に来た最初の年)に1個体見つけて以来、この15年間に一湊や永田などで4回(合計約20個体)も確認&撮影しているのだが、なぜか国内の他の海域ではまったく記録がない。
テンジクダイの仲間としては大型種で、色合いも金色と派手、背ビレも他のテンジクダイ類と比べても異常に大きいことからも、いれば目立つ魚だと思う。

ヤクシマダテイシモチ
ヤクシマダテイシモチ
金色の体色、大きな背ビレが特徴の大型のテンジクダイ

黒潮の源流に近いフィリピンや台湾では見られることからも、日本では黒潮流域の魚であり、まだ未調査とも言えるトカラ列島などには普通に生息しているのかもしれない。

特徴は第2背びれが異常に大きい事で、ハイフィン(=高いヒレ)・カージナルフィッシュと呼んでいる地域もある事からもそれは分かる。
下の画像のように若い小さめの個体は体側にラインがあり、これは興奮すると消えたりする。
こうした体側にラインのある若い個体は何か他のテンジクダイ(例えばキンセンイシモチなど)と混同されてしまっているかもしれない。

ヤクシマダテイシモチ
ヤクシマダテイシモチ
若い個体には体側に縦縞が入る場合が多い

そんなわけで、屋久島よりも北のエリアで黒潮流域の海域で秋になるとこの幼魚から若魚のステージが流れ込んではいないだろうか?
四国や紀伊半島、そして伊豆のダイバーの皆さま、ぜひ探してみてください。

フィリピンから台湾、トカラ列島、屋久島と続く黒潮を通じた海のつながりを強く感じる事ができるに違いない。

屋久島は「ウミガメの島」

屋久島でシュノーケリング

屋久島でシュノーケリング

今年の夏はファンダイビングの予約がほとんど入らなかったため、シュノーケリングや体験ダイビングを行うことが非常に多かった。
特にシュノーケリングの予約は例年に比べても圧倒的に多く、シュノーケリング・ブームを肌で感じている。。。

浅場で海藻を食むアオウミガメ

浅場で海藻を食むアオウミガメ

屋久島のシュノーケリングの売りはウミガメで、その遭遇率はほぼ100%と言っても過言ではなく、そんな事よりも何頭に会えるか?どれくらい接近できるか?が問題になるくらい。(笑)
だいたい1回のシュノーケリングでのべ4-5個体のウミガメに出会え、たいていは逃げるどころかウミガメの方からこちらに接近してくる。

シュノーケリング・ポイントの元浦には十数頭の若いウミガメが常時棲んでいて、ポイント内の-1mから-6mくらいの浅場で海藻を食んでいる。
足のつくような水深でのんびり海藻を食んでいる子も多く、どの子も近づいてもまったく逃げる気配がない。。。
逃げ回る子などめったに出会わない。

平気で近寄ってくるアオウミガメ

平気で近寄ってくるアオウミガメ

定期的に息継ぎに水面まで上がってくるのだが、これもシュノーケラーがいるところに怖がることなく上がってきて、目の前で平然とのんびり息継ぎをしてまた水中に帰っていく。
シュノーケラーがいようがいまいがまったく関係ないようで、人間など完全にスルーしているような感じ。(笑)

そんなだから、シュノーケリングでもウミガメとの接近2ショット写真や動画が何度も何度も容易に撮れるのが屋久島でのシュノーケリングの魅力だ。

目の前で息継ぎするアオウミガメ

目の前で息継ぎするアオウミガメ

屋久島はアカウミガメの世界的な産卵地のひとつなのだが、水中で出会うウミガメは99%がアオウミガメ。
しかも、そのほとんどは回遊性の大人の個体ではなく、そこで定着して生活する若い個体ばかり。

屋久島でタートル・スイム

屋久島でタートル・スイム

屋久島は「ウミガメの島」。
今日もひたすらゲストさんとウミガメとの2ショット写真を撮りまくり、ブログに上げる。
ついにファンダイバーから「屋久島はウミガメ以外に何が見られるんですか?」という問い合わせをいただく始末。。。(・_・;)

ハナビラ ユキバナ

1ヶ月くらい前にFacebook友達の米田幸恵さんの下記の写真を見て衝撃を受けた。。。なぜ、海の中にお花畑?!すげー!!(・_・;)
久々に他人の写真を見て、僕もこれ撮りたい!と思った1枚だった。

海の中にお花畑?!

撮影:米田幸恵さん

いつもの事だが、撮るからにはまずはこの生き物の事をじっくり調べねばならない。。。
こいつの生態から言って、実際に自分が頭に思い描いているアイデアや構図で写真が撮れるものなのか?
見たこともない生き物なだけに、何も分からないのだ。
そもそも屋久島では見たこともない(認識していない)生き物なので、まずは自分のホームグラウンドで見つけなければならない!^^;

Hanabira yukibana

撮影:藤堂喜民さん

このお花をガイド・ネタにしている恩納村(沖縄本島)の同業者・片野くん(沖縄ダイビングセンター)に沢山写真を見せてもらい、生息環境やサイズなどを聞くとともに、自分でも調べてみる。

Hanabira yukibana

撮影:宮島佳菜子さん

調べるからにはまずは種名を知りたいところなのだが、「どうせ未記載種だろう。。。」と勝手に思い、科レベルで分かればOKくらいに考えていたのだが、調べていくと種が特定できた!
しかも、なんと今年の5月に新種記載されたばかりの非常にタイムリーな種だったのだ。

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

そして、その学名がメチャクチャ素敵な名前だったので感動してしまった。。。(←ここがこの記事を書こうと思った理由)
その名もウミヅタ科(Clavulariidae) > Hanabira属の新属新種、Hanabira yukibana(ハナビラ ユキバナ)!

Hanabira yukibana Lau, Stokvis, Imahara & Reimer, 2019

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

論文によると、属名のHanabiraはポリプの触手の形がpetal(花びら)に似ていることから日本語の「花びら」を意味し、種小名のyukibanaはポリプの光沢が雪の結晶、そしてそのきらめきに似ていることから、snow flowerを意味する日本語の「雪花」が語源になっているそうだ。
素敵すぎる。。。(*^^*)

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

学名は基本的にラテン語を用いて命名されるのだが、これはどう考えても日本語!(笑)
仲良くさせていただいている鹿児島大学の研究者の方にこれは有りなのか聞いてみたところ、学名は、基本的にはラテン語、ギリシャ語、アングロサクソン語、ラテン語化した言葉から成るのだが、日本語を「意味をなさないラテン語」として充てることは可能なのだそうな。

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

それでも属名である「Hanabira(=花びら)」も種小名である「yukibana(=雪花)」も両方とも、日本人である僕らには和名のように聞こえてしまう。。。(笑)
いつもは難しいとしか思えない学名で初めて分かりやすい!と言えるものに出会った!(笑)

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

この素敵な学名はいったい誰がつけたんだろ?著者を調べてみたところ、なんと日本人ではなかった!
どうもオランダ人の女性研究者らしい。。よくよく調べてみると、なんとうちにも遊びに来たことがある琉球大学の准教授、ライマーさんの研究室の方だったのだ。(ライマーさんも著者の1人)

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

ちなみにこの生き物には、標準和名は提唱されていなかったので、当然、ライマーさんに標準和名の提唱も頼んでおきました!(^^)
でも、すでに和名のような学名なのに、ここからどんな和名になるのだろうか。。。?^^;

Hanabira yukibana

撮影:片野猛さん

今回はいろいろな方から写真をお借りして並べてみたけど、本当に素敵な生き物だ。(^^)
うーん。。。撮りたい!!!!!

しかし、未だに屋久島では見つけられずにいるのだった。。。

そろそろ夏だね。。。

7月に入った。
一般的には梅雨があけると夏!というイメージだと思うけど、屋久島でダイビングをやっていると梅雨明けよりも黒潮が完全接岸するXデーの方が気になり、この日をもって夏!というのが僕のイメージ。

屋久島では昨日、黒潮が接岸したようで先日まで22℃だった水温が27℃まで一気に上がった。(^^)
このまま定着してくれると夏に突入するわけだが、どうなることやら。。。

梅雨の方はもう少し続きそう。
それでも水中から空を見上げると青い空が広がっていたほうが夏らしいのは確か。^^;

空飛ぶウミガメ
空飛ぶウミガメ
OLYMPUS TG3; 1/320 sec at f8; ISO 200; PT-056housing. Yakushima Island, Kagoshima, JAPAN

平和過ぎる顔

忙しいGWが終わり、ぼけぇ~としてたら、すっかり豪海倶楽部の更新を忘れるところだった。。。やばい!やばい!(・_・;)
話のネタもまったく考えていなかったので、今回はこいつの平和過ぎる顔に免じて許してちょ。(笑)

コブシメの子供
コブシメの子供
Nikon D300s + Ai AF Micro Nikkor 105mm F2.8D lens; 1/125 sec at f11; ISO 200; anthis Nexus D200housing; 2x INON Z-240 strobes. Yakushima Island, Kagoshima, JAPAN

犯人は誰だ?

黒潮接岸前の今の時期、海の中はパラサイト(寄生虫)に寄生された魚がいっぱいだ。

写真のオグロトラギスに着いている寄生虫はメダマイカリムシの仲間(メダマイカリムシ属の一種)。
この手の仲間の研究者の方に写真同定を依頼したところ、メダマイカリムシの仲間は多様性に満ちていて頭部の形態を顕微鏡観察しないと種類を特定できないそうなのだ。(ちなみに頭部は魚の体内に刺さっている!(笑))

ちなみに、その研究者の方曰く、多くのダイバーがブログ等で和名や学名を付して寄生虫を紹介しているけど、どれも科学的な根拠はなく、それを信じた在野の研究者や中高生・大学生等にしばしば混乱を生じさせているそうな。。。(・・;)

それはけしからん!という事で、試しにGoogleで「メダマイカリムシ」を検索してみたところ。。。

その犯人の最右翼は思い切り、僕だった。。。!!!(・・;)

メダマイカリムシ属の一種
メダマイカリムシ属の一種
メダマイカリムシ属の一種
Nikon D300s + Ai AF Micro Nikkor 105mm F2.8D lens; 1/125 sec at f16; ISO 200; anthis Nexus D200housing; 2x INON Z-240 strobes. Yakushima Island, Kagoshima, JAPAN

まさかの5mm!! – ノンダイバーが驚くこと

この写真に写っている生き物のことやそのスケール感をダイビングをしない人に説明するのはすごく難しい。

氷の女王
氷の女王
Nikon D300s + Ai AF Micro Nikkor 105mm F2.8D lens; 1/125 sec at f16; ISO 200; anthis Nexus D200housing; 2x INON Z-240 strobes. Yakushima Island, Kagoshima, JAPAN

僕: 水深-12mくらいのところにこの白い花みたいなやつが沢山生えているんだけど、そこにいたのよ。このワレカラモドキという生き物。

ノンダイバーの友達: へ~なんかカマキリみたいな生き物だね~!何の仲間なの?

僕: まぁ、甲殻類、つまりエビの仲間だね。。。

ノンダイバーの友達: エビ!!!なんかもうこの佇まいが人間みたいだね。。。しかし、この鎌みたいなやつ、ヤバくね?こいつに襲われたら確実に死ぬでしょ!

僕: はははは!!!大丈夫だよ!!!だって、こいつ5mmだもん。

ノンダイバーの友達: えっ?(・・;)

ノンダイバーに説明しても通じないこと。

この写真がどういう状況でどうやって撮ったのかをダイビングをしない人に説明するのはすごく難しい。

水面に映る自分自身。
水面に映る自分と向き合う。
Nikon D300s + Ai AF Micro Nikkor 105mm F2.8D lens; 1/125 sec at f16; ISO 200; anthis Nexus D200housing; 2x INON Z-240 strobes. Yakushima Island, Kagoshima, JAPAN

僕: 水深-12mくらいのところにちょっとした洞窟があるんだけど、その天井にいたのよ。このウミウシ。

ノンダイバーの友達: これってオスとメス?じゃれ合ってて可愛いよね~

僕: いや、いや、実はこれ1匹なんだよね。。。へへへ。鏡のような感じで水面に反射して写ってるのよ。(終始ドヤ顔)

ノンダイバーの友達: んっ?水面って-12mで撮ったんじゃないの?

僕: あ。。。いや、洞窟のような場所では天井付近にダイバーが吐いた気泡なんかが凹んだ部分に溜まるのよ。そこが水たまりのような感じになって、その水面に鏡のように反射して写ってるんだよね。これ。

ノンダイバーの友達: えっ?どういうこと???なぜ水中に水たまりがあるのよ?そもそも、水の中にいるんでしょ?(困惑顔)

僕: いや、気泡だってば!気泡が溜まると「水たまり」のような感じになるのよ。

ノンダイバーの友達: はっ。。。?気泡???吐く息の事だよね???それって気体。。。だよね?だとしたら、なぜ反射して映るのよ?

僕: いや、だから水たまりのようになるからだって。(イライラ警報発令中)

ノンダイバーの友達: 意味が分からん。。。っていうか、そもそも気泡が溜まるってどういうことよ?水の中だよね?

僕: うっ。。。(いや、もう説明するのが面倒くさいんですけど。。。)

ノンダイバーの友達: まぁ、いいや。で、これ、どっちが上でどっちが下なの?まるで下のやつが本物で、上に反射して写っているかのように見えるんだけど。。。

僕: いや、まったくその通りなんだけど。

ノンダイバーの友達: はっ?そうなの?どういうこと?下が本物!?じゃ、何故にこのウミウシ、下に落ちないのよ。つーか、なんか浮いてるように見えるし。つーか、もう一度確認するけど、ここ水の中だよね?ウミウシって水中では泳がず、歩くってこと?浮遊しながら?すごくない?それ。

僕: 。。。(もう帰りたい)

さぁ、TG4を持って海に行こう!(4)

動く魚の撮影はやっぱり難しいコンデジ

ここまでTG-3はノーマルのままでもマクロに関して一眼並みの写真が撮れる!と断言していたけど、これは主に顕微鏡モードで接写できるもの、つまりほとんど動かないような甲殻類やウミウシの類に関しての話だった。
実際、ここまでもそうした被写体ばかりを撮ってサンプルとして見せていたわけだが、動きまわる魚なんかはどうなの?と思う方もきっといるだろう。。。

ヒレグロスズメダイ
ヒレグロスズメダイ
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Program Auto; 1/100 sec at f4.9; ISO 200; 0.00ev

結論から言うと、動きまわる魚はこれまでのコンデジ同様にかなり難しい。
たまにTGでブダイやベラ、スズメダイなんかも撮ってはいるのだが、写真としてはなんかイマイチ。。。
「この魚はなんだろう?」と思って証拠写真程度に撮るのだったら、まったく問題ないのだが(むしろ綺麗で撮りやすい!)、一眼並みのクオリティには程遠く、ノーマルのTGで苦労してベラやスズメダイを撮るよりは一眼でサクサク撮ったほうが全然楽なのだ。(笑)

マルスズメダイ
マルスズメダイ
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Program Auto; 1/100 sec at f4.9; ISO 200; 0.00ev

ストロボは内臓のみなので、とにかく寄らないと色は出ないし、多少ズームで寄せたりして撮っているとどれもピントがかなり甘い。。。
それでも「私は魚が好きなんだ~!コンデジで甲殻類やウミウシではなくて魚を綺麗に撮りたいんだ~!」というゲストさんたちのためにも、何とか綺麗に撮るコツを掴もうと頑張ったけど、かなり無理がある。。。
現場ではバッチリ撮れてる!と確信しても、帰ってからPCで見てみるとどれもかなりピントが甘いのだ。(・_・;)
さらに撮れても色がなんか変。。。(◎_◎;)

フタスジリュウキュウスズメダイ
フタスジリュウキュウスズメダイ
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Program Auto; 1/100 sec at f4.9; ISO 200; 0.00ev

TGは画質が悪過ぎてISO感度が高いとほとんど使えないカメラなので、可能な限りISO100で撮りたいのだが、動く魚は距離がある分かなり暗くなってしまう。
仕方なく最大でISO400まで上げたりして撮っていたからか、撮れる写真が何かコントラストと彩度が異常に高くて、まるで上等な絵画のような写真になってしまう。。。

結局、まともに撮れたのは動く魚の中でも比較的撮りやすい(あまり動かない)スズメダイ類ばかりになってしまった。(笑)

クロメガネスズメダイ
クロメガネスズメダイ
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Program Auto; 1/100 sec at f4.9; ISO 200; +1.00ev

ブダイ類やベラ類もまともに撮れるようにすべく、もう少し研究が必要だ。
。。。というか、ブダイ類やベラ類をコンデジで撮りたいっ!なんてゲストが果たしているのか?という疑問もあるけど。(笑)

さぁ、TG4を持って海に行こう!(3)

自然ガイドならではの使い方

TGシリーズの顕微鏡モードはかなり拡大して生物を見ることができるため、撮影以外の目的でも使えるな。。。と感じている。

水中では様々な生き物が陸上では見られないような美しい色彩と形で僕らの目を楽しませてくれる。
しかし、どれも小さい!
肉眼では気づかなかったものが拡大することによって、その色彩美や造形美に気づくパターンが水中には多い。

イバラカンザシの触手
イバラカンザシの触手
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

こうした美しさに触れることができるのは、これまで一眼レフのマクロレンズで写真を撮る方の特権みたいなものだったのだが、TGシリーズの顕微鏡モードはもっと多くのダイバーにその機会を与えてくれたと思う。

ニクイロクダヤギのポリプ
ニクイロクダヤギのポリプ
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

僕はダイビングガイドを仕事にしており、前々からこの美しきマクロの世界をカメラをやらない一般のダイバーにもお見せしたいと常々思っており、ガイドとしてその方法をいろいろと模索していた。
虫眼鏡を水中に持ち込んでゲストの皆さんにお見せするという方法もあるのだが、その倍率は知れてるし、さらに水中で普通の虫眼鏡を使っても水の屈折率の関係であまり拡大されて見えない。
だが、このTGをガイド時に持ち歩き、顕微鏡モードで拡大してモニターを通してゲストに見せれば、ハッキリとその美しさや細部の構造を見せることができる!

ショウガサンゴのポリプ
ショウガサンゴのポリプ
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 200;

ガイドならではの新しい使い方ができるのも、このコンデジの良さだと思う。

シマスズメダイの卵1 - 産みたて
シマスズメダイの卵1 – 産みたて
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

これはシマスズメダイという魚の卵だ。
この魚は岩の壁面に1粒1mm以下の小さな卵を無数に産み付ける。
肉眼で見るとその卵のツブツブがハッキリとは分からないため、ゲストに指し示してこれが卵だと教えても今ひとつ反応が薄かったりする。。。

シマスズメダイの卵2 - 稚魚の目玉が見えてきた
シマスズメダイの卵2 – 稚魚の目玉が見えてきた
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

しかし、TGの顕微鏡モードを通して見ると卵の形はハッキリと分かり、発生段階が進んだ卵だと稚魚の目玉もしっかり見えたりする。
TGは一部のダイバーだけでなく誰もが、水中の美しいマクロの世界を綺麗に撮影し、観察する事を可能にしてくれたのだ。

今ではTGシリーズは毎日持ち歩くガイド・アイテムとして、ターゲットライト、指示棒などと同様、絶対に欠かせない存在になってきた。(^^)

シマスズメダイの卵3 - 孵化間近
シマスズメダイの卵3 – 孵化間近
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

さぁ、TG4を持って海に行こう!(2)

驚きの顕微鏡モード

ダイビングをされた事がない方からしてみると、ダイビングとは青い海で魚の群れや大きな生物を見たり、水中景観を楽しんだりする光景を想像されると思うのだが、現在、ダイバーの間では、小さな生き物を見たり、撮ったりする事が日常的に行われている。
水中では陸上よりもモノが1.3倍ほど大きく見えるため、陸上では一部のマニアが好んで観察・撮影しているような小さな小さなサイズの生き物が、割と普通にダイバーの観察・撮影対象になったりしている。

顕微鏡モードの作例
【顕微鏡モードの作例】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/50 sec at f10; ISO 100;

これまで各社から出ていたコンデジだと、こうした小さな生き物を拡大して撮りたければ、より被写体に寄って、外付けのマクロコンバージョンレンズなどを、ハウジング(カメラを入れる水中用のケース)の外から付けたりして撮っていた。
またこうしたマクロコンバージョンレンズは重ねれば重ねるほど、内蔵のストロボ光では蹴られてしまうため別途、外付けのストロボも付け足したりする必要もあった。

顕微鏡モードの作例
【顕微鏡モードの作例】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/50 sec at f10; ISO 200;

こうしていくとどんどん撮影機材が巨大化していき、コンデジの最も大きな利点であった気軽さや機動性の良さが失われていく。。。
費用の面でも一眼レフなどと比べて割安感もなくなってくる。

個人的にはここまでするのであれば、もっと撮りやすい一眼レフを買ったほうが良いのでは?などと常々思っていた。
当然、ダイビングに海の中の気持ちよさやリラックス感を求めているダイバーにとっては単なるお荷物にしかならなくなってくる。。。

顕微鏡モードの作例
【顕微鏡モードの作例】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

しかし、TG3から新たに搭載された顕微鏡モードがすごい!
マクロコンバージョンレンズを付けることなく、ノーマルのままでかなり被写体に寄ることができ、内蔵のストロボ光が蹴られることなく、小さな生き物を拡大して撮ることができるのだ。

顕微鏡モードの作例
【顕微鏡モードの作例】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

初めてTGの顕微鏡モードで撮られたゲストさんの写真を見た時、まるで一眼レフ+マクロレンズで撮ったかのようなクオリティの高い写真だったのでビックリさせられたのを今でもよく覚えている。

さぁ、TG4を持って海に行こう!(1)

フィルムカメラの時代は、カメラを持って海に入るダイバーはダイビングというよりも水中写真が趣味であるようなコアなダイバーである事が多かったのだが、デジタルカメラ、特にコンパクトデジタルカメラ(通称:コンデジ)の登場で今や誰もが気軽に水中撮影を楽しめるようになった。

しかし陸上では気軽なコンデジも、実は制約の多い水中では綺麗な写真を撮るのがとても難しいカメラだ。

水中ワイドの作例
【水中ワイドの作例】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Scene Modes-Under Water Wide1; 1/640 sec at f2.8; ISO 100;

というのも、水中は陸上よりも光が少ないため露出やライティングに苦労を要し、被写体との間にプランクトンやゴミを含む海水をはさんでいるためAFでの撮影がとても難しく、また水中は体の固定が容易でない上に被写体も激しくよく動くのでまずは一定のダイビング技術の習得が必須だったりするからだ。

こうした水中の特殊な環境が気軽なコンデジ撮影を難しいものにしており、綺麗な写真を撮るためには各種外付けのレンズやストロボを追加したりと様々な工夫が必要だった。

プログラムオートの作例1
【プログラムオートの作例1】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Program Auto; 1/320 sec at f2.8; ISO 100; -1.00eV;

水中の場合、一眼レフだったら買ってスグに自分のセンス次第で作品作りだけに没頭できるのに対し、コンデジだとそれ以前にまずは「普通に撮る」ための努力が必要なのだ。

しかし、一眼レフではなくコンデジを持って潜るダイバーは、水中写真よりも非日常的空間である水中やその海域の自然、そしてダイビングそのものを楽しむために潜っているのであり、撮った写真にそこまでの高いクオリティを求めていない場合が多い。

ダイビングのついでに軽く記録としての写真を撮る(つまり「チョイ撮り」)ためにコンデジを携帯している方がほとんどなのでは?

こうしたダイバーが最も大切にしていることは、良い写真を撮ることではなく、海の中で気持ちのいいリラックスした時間を過ごすことなのだろう。。。

顕微鏡モードの作例
【顕微鏡モードの作例】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Microscope Modes-Microscope; 1/100 sec at f14; ISO 100;

そうは言っても、そんなダイバーでも、可能なら綺麗な写真を撮りたい!と思ってはいないだろうか?

あまり重装備にはせずに、気軽に、一眼レフで撮ったかのような綺麗な写真を「撮れるものなら撮ってみたい」、そう考えているに違いない。

そんなダイバーに僕はカメラマンとしてではなく、“ダイビング・インストラクター”としてオリンパスの防水デジタルカメラTG4(もしくはTG3)の携帯を薦めたい。TG4(もしくはTG3)は気軽にきれいな写真が撮れ、ダイビングの楽しみを広げてくれるカメラだ。

僕はこれまで1人で一眼レフを持って潜る時はもちろん、ガイド中もコンデジを携帯するという習慣はなかったのだが、このカメラを手にしてからは常に胸元にぶら下げて潜るようになった。今ではこのカメラのヘビーユーザーだ。

プログラムオートの作例2
【プログラムオートの作例2】
OLYMPUS TG-3; PT-056; without external strobes and conversion Lens;
Program Auto; 1/30 sec at f5.6; ISO 100;

これから何回かに渡って、僕がこのTG4(もしくはTG3)をどのように使い倒しているのか書いてみたい。ダイビングを始めたばかりの方、これから本格的に水中写真を始めたいと思っている方、今よりもっと写真が上手くなりたい!と思っている方たちの参考になれば良いのですが。。。

あっ。。。ちなみに僕はオリンパスの回し者ではありません。。。(笑)

標準和名の重要性

早くも「ヤドカリを通して屋久島の海を語る」という企画があまりにも難しいことに気づき、テーマを変えようかと思う今日この頃。。。(笑)
普通に「屋久島で見られるヤドカリを紹介!」に変えちゃおうかな〜(^^;;

唐突だけど、「ホワイトソックス」という英名(?)にはいつも違和感を感じる。人の見方にはいろいろあって、同じ生き物を見ても同じように見えるとは限らない。見る人が違えば、見方も変わってくるのだ。

白い足に着目して「ホワイトソックス」と呼んでいるのは分かるのだけど、僕的にはむしろ真っ赤なボディの方が目を引く。白い足よりも、真っ赤なボディにこそ、強烈な印象が残るエビだと思うのだけど。。。

僕なら間違いなく「レッドなんちゃら」とかいうニックネームをつけるに違いない。(^^;;

【ヒメホンヤドカリ属の一種 – Pagurixus haigae】

ヒメホンヤドカリ属の一種

写真はまだ和名のないヤドカリだ。

当然、「ヒメホンヤドカリ属の一種」では味気ないので、ニックネームをつけた。僕はこいつを初めて見たとき、ハサミ脚の「ハの字」の斑紋が強烈に目に入ってきて、「ハの字の子」と呼んでいた。

しかし、あるヤドカリ好きなガイドさんと話をしている時に、話の中で盛んに出てくる「ゴマ塩」というニックネームのヤドカリが、この「ハの字の子」と同一のヤドカリの事を指している事に気づくまでかなり時間がかかった。(笑)

さすがに僕にはこのヤドカリから「ゴマ塩」はまったく連想できなかった。。。(^^;;

僕は昔から生物は識別&分類さえしっかりできていれば名前なんてどうでもいいという考えを持っているのだが、これはあくまでも1人で生物観察を楽しむ場合の話。

さすがに複数の人と共通認識を持つためには標準和名は本当に大切だ。

このヤドカリにも早く和名がついてくれるといいのになぁ〜

暑中見舞い申し上げます。

暑中見舞い申し上げます。

7月に入り、基本的にダイバーの少ない屋久島でもさすがに忙しくなってきました。。。

「屋久島のヤドカリ」を通して屋久島の海の特徴を語る企画は今回はお休みさせてください。(^^;;

ひとまず今回はこれまで僕が観察してきたヤドカリの中でも一番のお気に入りを紹介します。

アカツメサンゴヤドカリの色彩変異個体

写真はアカツメサンゴヤドカリの色彩変異個体です。

通常は白い部分が淡いパステル調の紫色に染まり、超普通種のアカツメサンゴヤドカリが何だかとってもお洒落なヤドカリになっちゃってます。(笑)

こんな体色の子に出会ったのは、この時限り。。。

さて、まだまだ忙しい日々が続きますが、果たして来月号では本題に戻れるのだろうか?(・・;)

またまたお休みして、二番目のお気に入りヤドカリを紹介していそうな気もする。。。(笑)

屋久島を南限とするヤドカリたち

前回は「屋久島を北限とするヤドカリたち」を紹介したけど、今回は屋久島以南では見られないヤドカリを紹介したい。

ヤドカリに限らず屋久島で見られる生き物は、基本的に琉球列島などで見られるようなカラフルな熱帯性の種類が中心だ。

しかし、主に屋久島の南を流れる黒潮は南方からこうした熱帯性の生き物を運んでくるだけでなく、屋久島よりも北に生息する温帯性の生き物の南への分布拡大をブロックする。

そのせいか屋久島は奄美以南の琉球列島ではめったに見られないような温帯性の生き物の南限になりやすい。

こうして黒潮のおかげで屋久島は熱帯性の生き物と温帯性の生き物が混在する多様性の高い海域になっている。

【ホンヤドカリ】

ホンヤドカリ

屋久島には北海道から九州までの温帯域で普通に見られるホンヤドカリもごくごく普通に見られる。

このヤドカリは沖縄はもちろん、奄美以南では見られない種類なので、間違いなく屋久島周辺の海域が南限になる。

地味で温帯域では普通に見られるヤドカリを紹介しても、誰も興味を示さないかもしれない。。。(笑)

しかし、屋久島でホンヤドカリが普通に見られるという事実は生物地理上、非常に重要な事だ。

主に熱帯性のヤドカリが生息する海域でこの温帯性のホンヤドカリが同時に見られる光景は、きっと生物の分布に詳しい人間からしてみると驚きの光景なのかもしれない。。。(^^;;

【フルセゼブラヤドカリ】

フルセゼブラヤドカリ

屋久島には奄美以南の琉球列島では見られないヤドカリはいろいろいるのだけど、どれも基本的にはとても地味!

ここでは少しでも派手な種類を紹介しようと思う。(笑)

派手なゼブラヤドカリの仲間の中で、主に温帯域でよく見られる種類にフルセゼブラヤドカリという種類がいる。

屋久島では割と普通に見られる種類だが、奄美以南ではかなり稀な種類だ。(というか記録もない可能性も。。。)

ちなみに小笠原では見られるので厳密な意味で「南限」ではないのだけど。。。(^^;;

このヤドカリは学名をPylopaguropsis furuseiといい、古巣の八丈島で散々お世話になった発見者・古瀬さんに献上された学名&和名だ。

古瀬さんは20年以上前、まだウミウシがブームになる遥か前からウミウシの分類に取り組んでいたり、ヤドカリもマクロ、マクロと騒がれるずっと前から観察・整理していたという、今考えると非常にマニアックな方だった。。。(^^;;

ウミウシはその後、大ブームになったので、古瀬さんには先見の明があったと言えるけど、果たしてヤドカリはどうかな。。。?(笑)

屋久島を北限とするヤドカリたち

黒潮は台湾と与那国島の間から沖縄本島や奄美大島などを避けるように東シナ海を北上し、屋久島付近で大きく曲がり日本の太平洋側に流れ込む。

この流れのおかげで南からカラフルな亜熱帯域の生き物が屋久島に流れてくる一方で、この黒潮が障壁となって逆に屋久島以南では見られないような温帯系の魚も見られるのが屋久島の海の大きな特徴だ。

そして共に幼魚ではなく、成魚が見られ繁殖もしているのだから、初めて屋久島の海に入ったダイバーは「ここはどこ?」と混乱してしまうのも無理はない。(笑)

ヤドカリも当然、亜熱帯種と温帯種が混じる混沌とした状況が見られる。

今回は屋久島以北では見られないヤドカリを紹介したい。

つまり、屋久島を北限とするヤドカリたちだ。

【ティーダゼブラヤドカリ】

ティーダゼブラヤドカリ

2007年4月に新種記載された美しい南方系のヤドカリで、 ティーダは琉球の言葉で「太陽」を意味するそうで、鮮やかなオレンジ色の体色からこの名がつけられた。

今のところ琉球列島以北からの記録はないようなので、屋久島のこの記録が北限になるのだと思う。

ただ、屋久島でもやっぱり数は少なく、過去に数個体しか見た事がないので、普通種とは言えないかもしれない。。。

【ヒルギノボリヨコバサミ】

ヒルギノボリヨコバサミ

上のティーダゼブラヤドカリが琉球列島以北では見られないヤドカリであるのに対し、このヒルギノボリヨコバサミはもっともっと南の八重山諸島のみで見られるヤドカリなのだが、屋久島ではある一定の環境であれば成体もかなりの数が見られる普通種だ。

この和名からも分かるように八重山諸島などではマングローブ域で見られるヤドカリなのだが、屋久島にはまともなマングローブ環境はほぼないと言っていい。

ではどこにいるのかというと、川の普通の河口だ。

泥環境であることは同じなのだが、横からは生活排水が入り込むようなやや汚い川の河口に生息している。

多分、黒潮を通して八重山諸島方面から頻繁に運ばれ、こうした場所に仕方なく適応するのだろう。。。

屋久島の海は黒潮の流れからいって、沖縄本島付近や奄美諸島などとは交流がないが、西表島や与那国島など八重山諸島からは黒潮を通して生き物が流れてくる。

なので、沖縄本島や奄美大島ではまだ記録がないような生物が、突然、屋久島に現れ、そのまま環境に適応して世代を重ねる例は多い。

これも屋久島の海の大きな特徴だと思う。

屋久島から記載された新種のヤドカリ

5月23日、いよいよ誠文堂新光社より「ヤドカリ(ネイチャーウォッチングガイドブック)」が出版される。

著者は伊豆大島ダイビングセンターの有馬くんだ。

僕も有馬くんからのリクエスト・リストに従って写真を何枚か提供しているのだが、もはや何枚提供しているのかよく覚えていない。。。(^^;;

彼からのリクエストに従って写真を用意したので、「このヤドカリだけはぜひ屋久島の写真を使って欲しいなぁ〜」と思いつつも、リクエストされなかった種類もある。

それは2009年に新種として記載された「スミレヒメホンヤドカリ」だ。

【スミレヒメホンヤドカリ】

2009年に新種として記載されたスミレヒメホンヤドカリ(Pagurixus purpureus)は、写真を見れば分かるようにとても綺麗な色彩のヤドカリなので、かなり前からダイバーの間ではよく知られていた種類だ。

屋久島産スミレヒメホンヤドカリ
屋久島産スミレヒメホンヤドカリ

国内では伊豆大島、四国、そして屋久島など日本の暖温帯域で広く見られる種類で、屋久島では特に珍しいヤドカリではなく、そこら中で見られる普通種だ。

なかでもゼロ戦と呼ばれるポイントでは狭い範囲に数百個体がギッシリひしめき合って生活している。

今のところ琉球列島からの記録はなく、主に日本の太平洋沿岸で見られることから、国内では黒潮の流域で見られるヤドカリだと考えて良いかと思う。

今のところ屋久島が国内の南限生息地になる。

新種を記載するためには当然、標本の採取が必要になるのだが、伊豆大島や四国、屋久島などから標本が集まった。

そんな中から、このスミレヒメホンヤドカリのホロタイプに選ばれたのが、屋久島で採取された個体だった。

新種を記載する際、いくつかある標本のうちその種の基準となる代表的な標本を1個体だけ指定する決まりがあり、その標本をホロタイプという。

つまり極端な言い方をすると、スミレヒメホンヤドカリ(Pagurixus purpureus)というヤドカリは、この屋久島の標本に対して与えられた名前なのだ。

これはどういう事かというと、今後、このスミレヒメホンヤドカリに2つの種類が混じっている事が分かった場合などでも、少なくともこの屋久島の標本だけはスミレヒメホンヤドカリ(Pagurixus purpureus)であることは揺るぎなく、この標本を基準として他の似た種類と比較・検討がされることになるのだ。

分かりやすく言うと、仮に将来、伊豆大島で見られるものと屋久島で見られるものが別種だと分かった際には、屋久島のものがスミレヒメホンヤドカリになり、伊豆大島のものは別種になるわけだ。

なぜ屋久島の標本がホロタイプに指定されたのか研究者の方に聞いたところ、屋久島の標本は他地域から得られた標本と比べて、形態的に種の特徴が容易に分かる大型のオスであったからだそうだ。

つまり、屋久島の標本だけが極端に大きかったのだそうだ。

黒潮流域の生き物の多くはその上流に行けばいくほど、体が大きくなる傾向がある。

スミレヒメホンヤドカリの屋久島の標本は、こちらでは特別に大きな個体ではなかった事からも、スミレヒメホンヤドカリでもその傾向があるのかもしれない。

屋久島ならではのヤドカリ

【ヒメホンヤドカリ属の一種】

伊豆大島ダイビングセンターの有馬くんが立ち上げた全国のダイビングガイドでつくる「INVESTIGATE HERMIT CLUB」なるヤドカリの情報交換組織があるのだが、ここで集まった情報の集大成として、今年5月に誠文堂書店からヤドカリの図鑑が出版される。

僕もここに所属しているので何枚か写真を提供しているのだが、その準備でここ数日は昔撮ったヤドカリの画像をひっくり返して、有馬くんからリクエストのあった種類を探しまくっていた。

図鑑の出版で、もしかしたら来る(かもしれない)ヤドカリブームに先駆けて(笑)、しばらくヤドカリを通して屋久島の海を語ってみようかと思う。

ヒメホンヤドカリ属の一種
ヒメホンヤドカリ属の一種

有馬くんからリクエストをもらっていた種類のうち、今のところ屋久島からの記録しかないヤドカリが一種いる。

綺麗なピンク色のヤドカリで未記載種(=新種)である可能性があるヤドカリだ。

ちょっと研究者が調べた感じではヒメホンヤドカリ属に属する種類のようで、屋久島では-25m付近の砂地に落ちているゼロ戦ではないかとされる飛行機のフレーム内部でのみ見られている。

局所的に見られるヤドカリではあるんだけど、その数はかなり多く、このゼロ戦では決して珍しい種類ではない。

同所には黒潮を通して流れ着いたと思われる屋久島の他の場所ではあまり見かけないような魚や甲殻類がよく着く。

多分、このヤドカリもそういう種類のもので、たまたまこのゼロ戦のフレーム内が彼らの好む生息環境にマッチしていたのかもしれない。

もう何年もこのヤドカリがいなくなる事はないので、多分、定期的に流れてきてはここに着くのだろう。

晩秋から春にかけてよく見られる抱卵中のメス
晩秋から春にかけてよく見られる抱卵中のメス

このヤドカリはゼロ戦フレーム内の奥深くに生息している。

上から見れば目で見る事はできるのだが、写真を撮るには一度フレームの外に貝殻ごと移動しなければ撮れない。

手を伸ばせば届くところにはいるんだけど、これがなかなか難しい。。。というか怖い!

というのも、ここには常に1-2匹のドクウツボが棲んでいて、しかもかなり獰猛でダイバーに噛みついてくるのだ!

実際、過去に何人かのダイバーが犠牲になっている。。。(・・;)

というわけで、このヤドカリをリクエストされないように、いつもブリーフィングではこのヤドカリには一切触れないのだった。(笑)

ヘビギンポ偏愛 – 外伝(1)

非常にご無沙汰しております!

記事を書くのは昨年の6月以来ですから、1年以上サボってしまった。。。(・・;

あれから日本初記録として標準和名がついたヘビギンポがいるのでご紹介。

ただこの「ヘビギンポ偏愛」シリーズは、1種につき1記事と決めており、現在vol.37まで進んでいるので37種を紹介した事になる。

その標準和名がついたヘビギンポは前に”赤ヒレ(クロマスク属未同定種)”として紹介したヘビギンポなので、今回は「ヘビギンポ偏愛 – 外伝(1)」という事で紹介する。

【モミジヘビギンポ】

前にヘビギンポ偏愛(37)で“赤ヒレ(クロマスク属未同定種)”として紹介したヘビギンポに今年5月、新しい標準和名がついた。

その名も「モミジヘビギンポ」だ。

モミジヘビギンポの産卵(手前がオス、奥はメス)
モミジヘビギンポの産卵(手前がオス、奥はメス)

このヘビギンポはずいぶん前から一部のダイバーの間ではよく知られていて、「赤ヒレ」というニックネームで呼んでいたヘビギンポ。

僕が把握する限りでは石垣島、沖縄本島などで割と普通に見られているようで、もしかしたら良く似ているヨゴレヘビギンポなどと混同しているダイバーも多いのではないかと思う。

今回、沖永良部島と沖縄本島の水深0.5〜1 mから8個体が採集され、それを元に標準和名が提唱された。

ちなみに新種ではなく、これまでフィリピンとマリアナ諸島のみに分布すると考えられていたHelcogramma aquilaだと同定されたので日本初記録ということになる。

これはこれまでの北限を1000 km以上更新したことになるみたい。

このヘビギンポはこれまで色の抜けたアルコール浸けの標本しか知られておらず、生時の体色が不明だった。しかしダイバーの写真などから、オスの婚姻色やメスの体色も明らかになった。

ダイバーの撮る写真はしっかり魚類分類学の役に立っているのだ。(^^)

写真提供:
沖縄ダイビングセンター 片野猛氏

参考:
ヘビギンポノデータベース ヘビベース

ヘビギンポ偏愛(37)

[幻のヘビギンポ]

僕がヘビギンポに興味を持つきっかけとなったヘビギンポがいる。

12〜13年くらい前になるだろうか。。。沖縄本島や久米島で見つかった第1背ビレが異常に突き出たカッコいいヘビギンポの存在を知ってからだ。
そのヘビギンポはホムラハゼ属の一種を彷彿させるイケてるヘビギンポで、これに惚れ込んでしまったのだ。

しかも、見つかっている個体数も極端に少なく、僕の知る限り、沖縄本島で高田さん(Trypterygiidae gen. & sp.1)や足立さん(ヘビギンポ科の未記載属未記載種ヘビギンポ科の未記載属未記載種)が撮った写真と久米島の川本さんが撮った写真くらいしか知らない。

まさに「幻のヘビギンポ」状態である事がさらにその魅力を僕の中で増していった。。。

-40m前後から見られるというヘビギンポにしてはこれまた異常に深い水深に生息している事がさらにその魅力度を増している事は言うまでもない。。。(笑)

【リーゼントヘビ】

今年のGWを過ぎた頃、僕が管理する「ヘビベース」にその「幻のヘビギンポ」の写真が突然送られてきた!

「ヘビベース」ではこのヘビギンポの写真が欲しくて欲しくてたまらなかったのだが、この12年間、なかなか投稿されてこなかった。。。

それが突然、送られてきたのだ。

通称・リーゼントヘビ
通称・リーゼントヘビ

その後、Facebookで同じく沖縄本島の広部さんがメチャクチャ浅い水深(-28m)で撮ったこのヘビギンポの写真をアップし、どうも恩納村周辺では実はよく見られるのでは?という疑いが。。。(^_^;)

これを踏まえて、沖縄本島でダイビングサービスを営む友人のてつ!さんが生息状況を調べてくれた。(^^)

注意してみていくと-30m〜-40mではかなり個体数はいるようで、20m台でもちらほら見られるようだ。

恐るべし。。。ヘビギンポ王国・恩納村。。。

通称・リーゼントヘビ
通称・リーゼントヘビ
幼魚だと思われる子
幼魚だと思われる子

これまで「幻のヘビギンポ」だと思っていたものが、ここ数日でどんどん解明されていく。。。ありがたい!

今まで気づいていなかっただけで、実は普通に沢山いた!という例はヘビギンポに限らず魚には多い。まだまだ面白いヘビギンポが見つかりそうでワクワクする。。。(^^)

でも、できれば僕が屋久島で解明したかったな。。。(-。-) ボソッ

写真提供:
1枚目 YUSUKE氏
2-3枚目 沖縄ダイビングセンター 片野猛氏

参考:
ヘビギンポノデータベース ヘビベース

「環境」と「サイズ」の大切さ

生き物の写真を撮って名前を調べる時、普通は図鑑やwebなどで形や色、そして模様などで種を判断する。

でも、実は意外に大切なのが「環境」と「サイズ」だ。

前から温帯域のダイバーさんたちが撮っていた「オオタマウミヒドラ」と呼んでいる可愛いヒドロ虫の写真を見て、これが撮りたいと思っていたのだが、今年に入ってようやく屋久島でも同じようなヒドロ虫の仲間を見つけた。

ヒドロ虫の仲間
ようやく見つけた!

ハンディサイズの図鑑やwebにある写真などで調べてみると、形などから一見「オオタマウミヒドラ」で間違いないような気がする。。。

しかし、もう少し詳しく「オオタマウミヒドラ」について調べてみると、何と波当たりの強い潮間帯の岩に付着し、高さは2-3cmあり、伸長すると7cmに達するのだそうだ。。。

だとすると、屋久島の子は確実に「オオタマウミヒドラ」じゃない!!

だって、水深-30mにあるクダヤギ類に付着しているし、高さも5-8mm程度のメチャ極小な生き物なのだ。(笑)

さらに調べると「オオタマウミヒドラ」は無数の群体は作らず、10個体以下の小さな群体を作るのだそうだ。

ということは、屋久島の子どころか、温帯域のダイバーさんたちが撮っている写真の多くも、「オオタマウミヒドラ」ではないという事になる。。。

結局、温帯域のヒドロ虫たちの多くは、よくよく聞いてみると必ずエナガトサカに付着するらしく、「ハナヤギウミヒドラ」という種類になるようだ。

大きさも、オオタマウミヒドラよりももっともっと小さいようだ。

ハナヤギウミヒドラ
細いクダヤギの仲間に付着する

写真では「環境」や「大きさ」は分からない。

撮った本人は分かっていても、その写真を見る人には「環境」や「大きさ」の情報は一切分からないので、形や色、そして模様だけで判断するしかない。

実際に見ればスグに分かる事なのだけど、写真ではなかなか難しい。。。

「環境」や「大きさ」といった情報は生き物を観察する上では、ものすごく大切な要素なのだ。

ところで、屋久島のヒドロ虫は結局、何者なのかよく分からない。。。

同じ「ハナヤギウミヒドラ」なのかもしれないけど、上記の事を踏まえると宿主(環境)の違いから別の種類になってしまうかもしれない。

さらに、僕は温帯域のダイバーが撮る「ハナヤギウミヒドラ」の実寸サイズをよく知らない。(笑)

あけまして、おめでとうございます

あけまして、おめでとうございます。

屋久島に店を構えて9年目。。。

今年はようやく念願だった新店舗をOPENさせ、心機一転、新たな気持でスタートし直そうと思っています。

本年もよろしくお願いいたします。

ピグミー(Hippocampus bargabanti)

辰年の今年、ようやくピグミー(Hippocampus bargabanti)にも標準和名がつく動きがあるようです。。。

ヘビギンポ偏愛(36)

[結局は採取しないと分からないのか?]

ダイバーの間ではどういうわけか魚の「採取」はあまり良い印象は持たれていない。

ヘビギンポのように水中では識別が難しい種類は、婚姻色のオスや産卵中のメスを産卵後も追って観察するしかないのだが、それが叶わないとなると採取するしかない。

ただ採取したとしても、その1個体だけの種類(正確には”名前”)が確定されるだけなので、今後水中で識別できるようするのが目的の僕らダイバーにとっては現実的ではない。

では、同一個体の生態写真と標本をセットで取れば良いかというと、そう簡単な話でもなくて、1匹くらいだと依然として水中識別の際に役立つ大きなヒントにはなり難いと思う。

個体によって斑紋や形状などに変異幅があったり、環境によって色彩や模様に違いがあったりするので、水中観察で識別できるようにするという目的のためだったら、何個体も何個体も撮影&採取を繰り返して比較しなければならなくなってくる。。。

結局のところ、行動や生態の水中観察が必須なのだ。

まずは個体識別できるくらいまで徹底的にその種類の社会全体を水中観察して、最低でも「名前は分からないけど、これとこれは別種、これとこれは同種」というレベルまでは持っていく。

その後に1-2匹採取して種類を特定する。

むやみに採取したところで、ほんと僕らダイバーには得るものはない。。。

【ゴマフヘビギンポ】

今年の7月にこんなヘビギンポを見つけた。

誰こいつ?
誰こいつ?

見た目は以前紹介した「ゴマフヘビギンポ近似種」と何ら変わりはないのだけど、体の後半から尾ビレにかけて真っ黒なのだ。

本家・ゴマフヘビギンポの婚姻色は体の後半が黒くなる事を知っていたので、スグにこれがゴマフヘビギンポの婚姻色褪めかけのオスに違いない!!と思い、興奮して鹿児島大学の研究者に電話をした。

ところがちょうど最近、お隣・種子島でもゴマフヘビギンポを見つけて採取し、同じ個体の生態写真も撮ったとの事。。。

ちょっとガッカリしつつも、その生態写真を見せてもらったところ、僕が屋久島で見つけた体の後半が黒いヘビギンポとは似ても似つかない!!

オマケに僕が見つけたヘビギンポについて聞いてみると、「あ〜これはソメワケヘビギンポじゃないですかねぇ。。。」と冷たい一言。(^^;)

種子島で採取されたゴマフヘビギンポ
種子島で採取されたゴマフヘビギンポ

ま〜採取されているわけだから、間違いなく上の写真は本家・ゴマフヘビギンポなのだろうけど、じゃ〜僕の撮った子は誰?(ーー;)

やっぱり採取してみないと、納得できないのであった。

そして依然として本家「ゴマフヘビギンポ」がどんな魚なのか、分からないままだ。。。

ヘビギンポ偏愛(35)

[ヘビギンポ偏愛、一時復活]

2年前まで、この場を借りて図鑑にものっていないような国産のヘビギンポを毎月紹介させてもらっていた。

33種紹介したところでネタが尽き、一旦、連載を打ち切ったのだが、その後いくつか解明したヘビギンポがいるので、また紹介したい。

「ヘビギンポ偏愛」一時復活!(^^)

【ソメワケヘビギンポ】

ヘビギンポにはお互いがよく似ているため、混同されている種類があまりにも多い。

オスが求愛時に見せる”婚姻色”にならないと、種類が分からなかったりするから厄介だ。

代表的なのがゴマフヘビギンポ、ソメワケヘビギンポ、ゴマフヘビギンポ近似種の3種だ。

この3種は通常時の体色からはどこからどう見ても同じ種類にしか見えず、識別はかなり難しい。

ゴマフヘビギンポ近似種だけは未記載種なのにも関わらず、南日本の太平洋沿岸で普通に見られるためヘビベースには写真も沢山集まってくる。
しかし、あとの2種がどうしても分からない。。。

沖縄諸島から送られてくるこの手の仲間の写真の中に、胴体の真ん中から微妙に2色(赤と緑)に染め分けられている子がたまに見られ、これがソメワケヘビギンポなのかな。。。?と昔から感じてはいた。

しかし、その後、沖縄本島で撮られた以下の写真を見て確信した。

これがソメワケヘビギンポだ!!

ソメワケヘビギンポの婚姻色褪めかけ
ソメワケヘビギンポの婚姻色褪めかけ

その写真は明確に体の前と後で染分けていて、顎のあたりも黒く染まっていた。

もしかしたら、バリバリの婚姻色では体の後半の緑色が真っ黒くなり、顔の下ももっと黒くなるのだとは思うけど、ここまでクッキリ染め分けていれば、ゴマフヘビギンポ近似種との違いは一目瞭然だ。

で、多分、通常時の体色はこんな感じなのだろう。。。

ソメワケヘビギンポの通常体色
ソメワケヘビギンポの通常体色

この状態だとゴマフヘビギンポ近似種の通常体色のオスとかなり似ている。。。(・_・;

早く屋久島でもソメワケヘビギンポらしいソメワケヘビギンポを見てみたい。。。

ヘビギンポ偏愛はまだまだ続く。(笑)

写真提供:沖縄ダイビングセンター 片野 猛(てつ!)氏
写真提供:潜水案内 津波古健氏
参考:ヘビギンポのデータベース ヘビベース!

環境倫理シンポジウム「自然を愛する」とはどういうことか”のご案内

屋久島は北太平洋最大のアカウミガメの産卵地だと言われている。

毎年5月上旬から7月下旬にかけて屋久島の各砂浜でのべ1000頭を超えるアカウミガメの産卵が観察される。

屋久島ではこのアカウミガメ(及びアオウミガメ)の産卵行動とその卵は人間の手によって”特別に”手厚く保護され、守られている。

今年は7月下旬に近海を通過した台風6号により、島内各所の砂浜が浸食され、一緒にウミガメの卵が大流出した。

この時も即座に流失情報が流され、うみがめ館、永田ウミガメ連絡協議会、環境省、屋久島町役場、屋久島観光協会から30名の人が集まり、その流出した卵の人工的な回収作業が行われた。

そう、ウミガメだけは特別なのだ。

他の海の生き物はともかく、ウミガメだけは多くの人間、多くの機関が関心を持ち、”特別に”手厚く保護されている。

山への関心が圧倒的に高く、海への関心が比較的薄い屋久島にあっても、ウミガメだけは特別な存在らしい。。。(^^;)

環境倫理シンポジウム「自然を愛する」とはどういうことか<

【日時】 2011年9月17日(土) 13:00〜18:00
【場所】 大阪府立大学・学術交流会館 定員200名 入場無料
【講師】 森岡正博 瀬戸口明久 福永真弓

【概要】
自然や生命に関する議論は、感情論に流されやすく、意見対立の原因となります。
冷静な視点で、「自然を愛する」ということを考えてみませんか。

このような話題が出たらどう答えますか。
・シカ、サルは害獣として駆除すべきか、保護されるべきか。
・人も動物もいのちの価値は同じではないか。
・クジラは食べよう、希少なジュゴンは守ろう!
・人の役に立たないゴキブリやカは根絶させよう!

【申込み・問合せ】
当日に会場に来ていただければ自由に参加できます。
座席や当日に無料配布する資料は数に限りがありますので、座席と資料を確実に確保したい方は、事前に下記Eメール宛で参加者の名前をお知らせください。
先着200名まで確保します。問い合わせは、Eメールまたは電話でどうぞ。
Eメール karin@nature.or.jp
電話 大阪自然環境保全協会 06-6242-8720

【詳細情報:PDF

なお、参加できないという方も含め、事前アンケートにお答えいただくとこの企画に参加することができ、アンケートの回答をまとめた冊子を無料で郵送させていただきますので、本文末のアンケートにもぜひお答えください、(回答期限9月5日)との事。

この事前アンケートがとても考えさせられるものだったので、ここで紹介したい。

(質問1)
「貴重な自然」を守ろう、という言い方がありますが、このような場合あなたはどのような自然をイメージしますか。その理由も含めてお答えください。

(質問2)
「貴重な自然」ではなく「ありふれた自然」であったとしても人は自然を愛する場合があります。あなたにとって愛する自然、もしくは大切に思う自然とはどのようなものでしょうか。これは質問1で答える「貴重な自然」と同じものでもかまいません。その理由(体験談など)も含めてお答えください。

(質問3)
自然保護の現場では、外来種の駆除など動物の殺処分がしばしば求められています。しかし、実験動物などと異なって、どのような生物・方法・状況なら殺してよいのかに関する統一的な倫理規定がありません。自然保護という理由が掲げられる場合、私たちはどのような生物・方法・状況に対して殺処分を認めるべきでしょうか。

(質問4)
自然の中には、人にとって不要であると一般に考えられている生物がいます。例えば、ゴキブリ、カ、ハエ、強害雑草、病原菌などがそうです。もしもこれら生物が絶滅の危機に瀕している場合、我々はこれを保護すべきでしょうか。それとも絶滅にまかせるべきでしょうか。

アンケートのダウンロードはこちら

屋久島のアカウミガメ
屋久島のアカウミガメ

Midsummer greetings.

Midsummer greetings. – 暑中お見舞い申し上げます。

Midsummer greetings. - 暑中お見舞い申し上げます。

繁殖行動の違い

現在、屋久島ではジョーフィッシュの繁殖行動(産卵&孵化)がピークを迎えている。

毎年5-7月が彼らの繁殖期で、産卵は日中に行われるが、孵化は決まって早朝(日の出前)だ。

しかし聞くところによると、石垣のリングアイやバリのブルージョーは夜、ハッチアウトするらしい。。。(ちなみにブルージョーは産卵も夜)
また、ゴールドスペックは屋久島のジョー(種は未同定)と同様に早朝のハッチアウトだという。

考えてみると、ジョーフィッシュに限らず、例えばスズメダイの仲間でも産卵や孵化の時間には種類によってバラつきがあって、例えば早朝に産卵する種類もあれば、日中に産卵する種類も当然いる。

スグには思い浮かばないのだが日没前後の時間に産卵するスズメダイもいるかもしれない。

孵化も同様に時間にバラつきがある。

また、環境によっても産卵や孵化の時間は変わる可能性がある。。

つまり同じ種類でも地域によって産卵&孵化の時間はずれてくるかもしれない。

ダイビングを始めたばかりの頃、ある本で日没直前に産卵する魚や夜ハッチアウトする魚について、「捕食者が少なく、目立たない時間帯に産卵や孵化を行う事によって成功率を高める。。。」云々との解説を読んだことがあるのだが、それならばすべての魚が同じ時間帯に産卵や孵化を行なうはず。

魚類の繁殖行動にも多様性と進化がある。

それなりに理由があるのだろうな。。。とは思うのだけど、その理由を自分なりに考えてみてもさっぱり分からない。

なぜなら僕は魚ではないから。

主に日中、産卵を行っている屋久島のコガネスズメダイ
主に日中、産卵を行っている屋久島のコガネスズメダイ
主に早朝、産卵を行っている屋久島のヒレナガスズメダイ
主に早朝、産卵を行っている屋久島のヒレナガスズメダイ

野生動物の写真は「運」がすべて?

写真にもいろいろな分野があるけど、どれも基本的にはセンス(感性)や技術が作品の質を大きく左右する。

しかし野生動物の写真はセンスや技術ではなく、日頃の観察力とフィールドに通い続ける努力だ!。。。と今でも信じているのだけど(笑)、ぶっちゃけ運と環境なのかなぁ。。。と思わなくもない。

さらに最近はこう思い始めている。。。

「もしかして、運だけなのでは。。。?(・・;)」

確かに仕事が現地ガイドで毎日のように潜っていると、とっておきのシーンにはよく出会う。しかしガイド中は当然、カメラなど持っていないわけで、ただただゲストが何枚もシャッターを切る横で指を咥えて見ている他ない。。。

また現地に住んでいると毎日のように同じポイントに潜れるので、継続観察もしやすく個体識別も容易だ。こうなるとその生き物の生態や社会行動も掴みやすい。しかし、ある生き物の、ある行動が、まさにこの日、この時間がベスト!と知っていても、必ずしもその時に海に入れるとは限らない。大きく時化る事もあるし、急なガイドの予約が入るかもしれない。

ある生き物の行動を狙って1人で潜って一応満足する写真が撮れたとしても、次にゲストを連れてエントリーするともっと凄いことになっているなんて事はざらにある。そして次の日にまた1人で潜ってみると、すっかりその行動が静まり返っちゃっていたり、大きく海が時化てそもそも海に入れなかったりする事も多い。

意外に現地にても、ゲストはバンバン撮っているのに、自分自身はいつまでたっても撮れないものも多いのだ。特に夏の繁忙期はそうだ。。。

不確実な要素の多い自然、そしてそこに棲む野生動物という被写体はほんと難しい。だからこそやりがいがあって面白いのだけど。。。

これからも毎日のようにフィールドに通い、粘り強く観察を続けることで、いつの日か「運」を味方にしたいなぁ。。。

オス同士の激しい喧嘩!
オス同士の激しい喧嘩!

屋久島が温帯化?(・_・;

今年はなかなか水温が上がらず、焦りを感じている。

GWも目前に迫っているというのに、水温は連日の19℃台!

屋久島に来て約10年になるが、4-5月でここまで低い水温は初めてだ。(例年、この時期の屋久島の海は22-24℃くらい)

それが関係しているのかどうか分からないが、今年は温帯種のキタマクラの幼魚(通称・豆マクラ)が爆発的によく見られている。

もともと、屋久島ではキタマクラ自体が珍しい魚だったので、かなり驚いている。。。(・_・;

今年の夏〜秋はキタマクラだらけになりそうで怖い。。。(笑)

増えつつある豆マクラ
増えつつある豆マクラ

今年に限らず、この時期特有の生き物としてあげたいのが、寄生性カイアシ類やアミなどの微小な甲殻類。この時期の「風物詩」といえるものは沢山あるのだけど、これらはまさに4-5月の風物詩だ。

この時期の水底は無数のアミ類で覆われ、透明度を悪くするくらいになる。
しかしこの時期を経ないと、夏の魚影の濃い時期は訪れないわけで(アミ類は魚たちの重要な栄養源)、本当は歓迎しなければならない事。。。

そんな中にちょっと綺麗で可愛い子も混じっていたりする。

それがヒメオオメアミだ。

屋久島には黄色い子や茶色い子、虹色の子などが見られるのだが、これらも数十匹の群れをつくり、水底付近でホバーリングしている。

ヒメオオメアミが爆発中。。。
ヒメオオメアミが爆発中。。。

また、この時期は多くの魚に寄生虫が着いているのをみかけるのだが、これも風物詩。

特に目立つのがトラギス類の目玉につくメダマイカリムシという寄生性カイアシ類だ。

一見、綺麗な飾りのようにも見え、卵(電話のコードみたいなやつ)の色合いもお洒落なものがあったりする。。。(笑)

サンゴトラギスの目玉に寄生するメダマイカリムシ
サンゴトラギスの目玉に寄生するメダマイカリムシ

これらの生き物は気持ち悪い感じがして、どちらかというと避けられてしまう生き物たちなのだが、高水温期(つまりシーズン)が確実に近づいている事を感じさせる重要な指標でもあるのだ。

春の風物詩 – 季節を感じることができる海

僕は季節を感じられる海が好きだ。

1年中、繁殖行動を行っているような魚が多く見られる南の島もそれはそれで面白いとは思うのだが、季節を通して潜り込むホームグラウンドの海はやはり季節感が欲しい。

自分のお店を構えるフィールドを選ぶ際に、一番に考えたのがこの「季節感のある海」だった。

1年のうちで最もこの「季節感」を感じることができる季節は、やはり春から初夏にかけての海だと思う。この時期の海に「季節感」を感じやすいのは、その季節の指標となるような生き物の出現や行動が多いからだ。個人的には、この時期の海こそ1年のうちで最も面白いと感じる。

また、それまでの冷たく、辛い海から水温が徐々に上がり始めるこの季節は、温かく、気持ちのいい海の訪れを予感させ、自然に胸が躍る。

こうした季節の指標となる生き物の出現や行動、そしてその時期は、地域によってかなり違いがあるのだが、日本の太平洋側の様々な海域で春の指標となっているもののひとつに「アマミスズメダイの幼魚」がある。

屋久島でも例外にもれず、3月くらいになるとアマミスズメダイの幼魚があちらこちらで見られ始める。

春の風物詩の代表格・アマミスズメダイ(yg)
春の風物詩の代表格・アマミスズメダイ(yg)

アマミスズメダイの繁殖行動は年末ぐらいから見られ、屋久島では冬季に産卵を行う数少ないスズメダイのひとつだ。

多くのスズメダイでは産卵が観察され始めると、あまり時を置かずにスグにその幼魚が見られ始めるのだが、アマミスズメダイの場合はいつもワンテンポ遅れて幼魚が見られ始める傾向がある。それがちょうど春の今の時期になるわけだ。屋久島ではそれは桜の季節と重なる。

と、言いながら。。。

今年は3月25日現在、ホームグラウンドの一湊タンク下では1匹しかアマミスズメダイの幼魚は見かけていない。

里ではすでに満開の桜が山々を彩っているというのに。。。

宇宙を漂う有機生命体型宇宙船たちの多様性

屋久島を含む薩南・トカラの海は国内でも指折りの透明度が良い海域だと思う。

それは黒潮のおかげであり、屋久島の場合、黒潮が接岸している毎年7月から11月くらいまでの間は湾内でも30m以上の透明の良い日が続く。

しかし真水のような素晴らしい透明度を誇る黒潮もその両縁には浮遊物がたまるようで、この黒潮の「縁」が寄ったり離れたりを繰り返す黒潮接岸前の3月から6月くらいの間は、一晩にして急に海の中がプランクトンや浮遊物だらけになり、ありえないくらい濁る事がある。

短いときで2-3日、長いときで1週間以上、この透明度が悪く、浮遊物だらけの海になってしまう事が度々あるのだが、これまではこうした期間中はまとわり着くプランクトン類を払い除けながらひたすら我慢の日々で、早くこの「黒潮の縁」状態から脱することを祈り続けているだけだった。

ところが昨年あたりから急にこのプランクトン類に興味が湧いてきた。。。

それは昨年が国際生物多様性年であった事が大きく影響している。(笑)

そのほとんどが食物ピラミッドの下位に位置するプランクトン類は最も種の多様性に満ちており、生物多様性を実感し、その重要性を知るには最も良い生き物たちなのでは?と思ったのだ。

季節や風向き、黒潮の経路などによって流れてくるプランクトン組成はがらりと変わり、これに合わせてその年の捕食者である魚の増減や種組成にも影響しているのでは?などと考え始めるとさらに興味は膨らむ。

まぁ、そのような小難しい興味はさておき(^^;)、実際に意識してこの浮遊物群を見ていくと意外にもかなり面白いので驚いた。

様々なプランクトンたちの変わった形体や生活史はメチャ新鮮で、種類も多いのでコレクター的な欲求も満たしてくれる上に、それが何者なのかまったく分からない事が逆に面白かったりする。

写真の被写体としても最高で、人間よりも遥かに文明の進んだ星から来た宇宙船みたいで何しろカッコいい。

バックを黒抜きにすると本当に宇宙を漂う飛行物体みたいだし、浮遊物の多い時にありがちなハレーションの粒々も星や惑星のようでいい感じ。(笑)

おかしなもので、このプランクトン類に興味を持った途端に、これまではひたすら過ぎ去るのをじっと我慢していただけの浮遊物期間が今や楽しみに変わり、「黒潮の縁」状態の海が待ち遠しかったりする。

今年もそろそろ浮遊物が流れてくる季節が到来しようとしている。

カメガイ型宇宙船タイプA
カメガイ型宇宙船タイプA
カメガイ型宇宙船タイプB
カメガイ型宇宙船タイプB
イカ型宇宙船
イカ型宇宙船
宇宙船に乗り込む宇宙人たち
宇宙船に乗り込む宇宙人たち
触手を持つ宇宙船・もはや有機生命体
触手を持つ宇宙船・もはや有機生命体

僕の好きな生き物。。。?

「しげるさんはどんな生き物が好きなんですか?」

ガイドをしているとよくゲストから聞かれる質問だ。

僕は基本的には特にこれが好きというのがないので、「屋久島で見られる生き物なら何でも好き」ととりあえず答える。

「ヘビベース」というヘビギンポのデータベース・サイトを運営しているのでヘビギンポが好きだと思われがちなのだが特にそういうわけでもないし、毎日のブログが魚に関する話題ばかりでウミウシに関する話題が少ないからといって、お魚好き&ウミウシ嫌いというわけでもない。

好きな生き物はコロコロと変わっていき、さらにその傾向も一貫したものはまったくないため、その時々で興味の対象は極端に違う。

水温の下がる冬季の屋久島は来島するダイバーも少なく、毎日1人で潜る日々が続く。

冬の屋久島の海は黒潮から外れるため、目新しい生き物が流れてくることはあまりなく、この時期ならではの”一般的なダイバーが興味を持ちそうな”生き物や現象は特にない。。。

主に冬季の海でだけ見られる”一般的なダイバーが興味を持つかどうかは怪しい”生き物や現象ならもちろんある。(笑)

例えばワレカラの仲間なんかがそうだ。

ワレカラ類はどちらかというと冷温帯域で見られる生物で屋久島などではとても少ない。しかし水温が最も下がる1-2月になるとクロガヤの上などでうごめく彼らが見られるようになる。

昔からワレカラの存在は知っていても、多くのダイバー同様に僕も特に興味を持つことはなかったのだが、ある日たまたまファインダーを通して見たワレカラのメスがお腹の保育囊で卵を抱いていた!

その途端、突然ワレカラに興味が湧いてきた。繁殖方法を調べてみるとなんと一部の種類では孵化後も母親が子育てをするらしい。。。!

次の日もファインダーを通して覗いてみると、ラッキーなことに今度はその子育て中のメスに出会った。実際に胸元に幼体をたくさん着けて子育てする母親を見たら、さらに興味が増したことはいうまでもない。

メスの胸部にしがみつく子供たち
メスの胸部にしがみつく子供たち

ワレカラの子供は多くの甲殻類のような幼生期を経ずに、孵化後、成体と同じ形のまま保育囊から這いずり出てくるらしい。。。

そして母親の胸部付近にしがみつき、しばらくは母親の保護下で過ごす。さらに母親の体から離れた後も1週間くらいは母親の周囲に留まって、他の生物が近づくとまた母親の体の上に戻るなんて事を繰り返すという。

これではパパにはまったくなつかず、ママ〜ママ〜とうるさいうちの息子と同じではないか!(・_・;

でも、可愛すぎるっ!

こうなると興味はどんどん湧いてくる。。。これまでは気持ち悪いとしか思えなかった数mmサイズのワレカラの子供たちさえも、愛おしく感じたりするくらいに。。。(笑)

母親の元を離れた子供たち
母親の元を離れた子供たち

今までは強い興味を持つこともないだろう。。。と思っていた生き物に突然興味を持つ。

きっかけはこんなものだろう。

その生き物に興味を持つ”ツボ”というか”傾向”みたいなものが僕にあるとしたら、その対象というのは魚やウミウシ、甲殻類といった「種類」にあるのではなくて、「行動」や「生態」といったものが興味の基準になっているような気がする。

まったく動かないウミウシが1匹佇んでいるのを見つけてもそれほど強い興味は湧かないのだが、そのウミウシが産卵していたり、交接していたり、捕食していたり、いつもと違う場所で見つけたりすれば途端に興味が湧く。

多分、「○○が好き」というのはなくて、○○が「○○をしているのが好き」なのだと思う。

謹賀新年

あけましておめでとうございます!

かなりサボってしまいました。。。(^^;)
久し振りの更新です。

今年はできる限り、継続して書けるように頑張ってみます!
(毎年、1月はそう思うのですが。。。)

今年もよろしくお願いします。

謹賀新年

生物多様性 ─ 多ければ多いほどいい!ってワケじゃない(その2)

引っ張ります。。。「生物多様性」ネタ。(笑)

だって、考えれば考えるほど変な言葉なんだもん。。。「生物多様性」という言葉。。。

前回は「生物多様性」というけど、「多ければ多いほど良いというものなのだろうか?」として、空間的なスケールや時間的なスケールが違えば生物が多様であることが必ずしも良くない場合もありうるから注意!という話をした。今回は空間的なスケールや時間的なスケールなどはまったく関係なく、多様では絶対に困る例を挙げてみたい。

——————————-

少し前に屋久島のアユの話をしたのを覚えているだろうか?
これ⇒アユが教えてくれた「遺伝的多様性」の重要性

産卵中の屋久島産アユ

島嶼の生き物は閉鎖された空間で独自の進化を遂げる一方で、遺伝的多様性が低くなっていく例が多い。

屋久島のアユもまさにその好例だ。

アユは孵化後、しばらくはその川の河口周辺に留まり、春には同じ川を遡上する。さらに屋久島は過去に内地の河川のように琵琶湖産のアユが放流されることなく今日まできた。

そのため、種類としては内地のアユと同種とされているけど、遺伝子レベルで細かく見ていくと特異な地域集団になりつつあるようだ。それはまさにリュウキュウアユのように、新たな種が誕生する長い進化の過程の途中なのかもしれない。

また同時に、分化が進むとその血はどんどん濃くなっていく。血が濃くなっていくという事は、個体ごとの個性が失われていく事を意味する。その地域集団がみんな同じ顔を持ち、みんな同じ性質を持つのだ。

実際、屋久島のアユはこの個性を形作る遺伝子の多様性が内地のアユに比べて乏しいようだ。遺伝的多様性が低いと、ちょっとした事が原因で絶滅する危険性があったりする。

屋久島のアユは遺伝的多様性が低い

だからと言って、この地域個体群の絶滅を防ぐために内地の遺伝子的多様性の高いアユたちを頻繁に放流し、遺伝的多様性を常に高めるという施策はありえない。

というか、そもそも、それでは「屋久島のアユ」を守った事にはならないのは明白だ。

隔離された島だからどうしても遺伝的多様性は低くなる。

でも、だからこそ価値があるのであって、遺伝的多様性が低いまま何とか保全したいものだし、そうしなければならないのだ。言い方を変えると多様化を阻止する必要があるのだ。

——————————-

また、これと関連してもうひとつ。。。

屋久島の河川は魚の種類が少ない。これは屋久島の川が短い距離を一気に下る急流であるため、魚のエサとなるプランクトンの量が少なく、川が綺麗過ぎるからだと言われている。
つまり種の多様性も乏しい川なのだ。

これも多様性を増すために、本来はいなかったヤマメやイワナの類(国内外来種)を一斉放流して、多様性を増す事が良いことだとは誰も思わないだろう。

魚の種類が少ない状態が本来の屋久島の河川の自然の状態であり、これを維持することがこの島の生態系の維持にも繋がる。

屋久島の川は種の多様性も低い

やはり多様性が豊かである事が必ずしも良いとは限らない。考えれば考えるほど変な言葉なのだ。。。「生物多様性」という言葉は。。。国連や環境省はこの言葉を市民に周知させる事でいったい、何を目指し、何をしたいのだろうか?

よく分からない。。。

確実に言葉の運用とその周知のさせ方(啓蒙の仕方)に問題があるような気がしてならない。

生物多様性 ─ 多ければ多いほどいい!ってワケじゃない

国際生物多様性年に入って、様々な環境NGOや環境教育団体、各企業などで一般市民向けに「生物多様性とはなんぞや?」という事で、この「生物多様性」という言葉を分かりやすく説明しようという試みが行われている。

1992年の「生物の多様性に関する条約」で採用された定義「すべての生物の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」を踏まえて、概ね次のような感じで生物多様性が説明される事が多いのではないだろうか?

「様々な“環境(生態系)”で、様々な“種類(種)”の生き物が、様々な“個性(遺伝子)”を持ち生きていて、みんなつながりあって地球という生命を維持している状態」

だけど、ちょっと待て。。。

果たして“種”や“遺伝子”や“生態系”は多ければ多いほど良いというものなのだろうか?

砂泥環境を好むヤツシハゼの仲間が激増(撮影地/屋久島)

僕のホームグラウンドとも言える「一湊タンク下」というポイントは-12mくらいまで下りると真っ白い砂地となる。

そこは僕が屋久島に来た当時(たった7年前)、さらさらの綺麗な砂地だった。

夏の明るい陽を浴びた白い砂地は美しいのだが、そこで見られる生き物はダテハゼ、ミナミダテハゼ、ホシテンスの幼魚、トゲダルマガレイぐらいのもので、全体的に魚影は濃くは無かった。

ところが、この砂地は年々、埃っぽくなっていく。

泥化が進んでいたのだ。

今ではちょっと手を着くとボワァと砂泥が舞い上がり、治まるまではしばらく何も見えなくなる。

しかし、この砂地が砂泥底になってからというもの、ここで見られる魚の種数が極端に増えた。泥地を好む魚が沢山見られるようになってきたのだ。

これまでこの砂地では見られなかったシマオリハゼやクサハゼ、そして様々なヤツシハゼの仲間、カスリハゼなど泥地でしか見られなかったハゼが普通に見られるようになってきたのだ。

新たな生態系が生まれ、一気に種の多様性が増したのだ。

環境が砂地なので、どうしてもハゼばかりになってしまうが、他にも貝類など軟体動物の仲間なども泥地に適した種類に変わりつつあり、その種数も増えているような気がする。最近になってインドアカタチまでもが出現した時にはちょっとビックリした。

この砂地が泥化していく理由は明確には分かっていないのだが、多分、港とこのポイント(外海)を隔てる隣接する防波堤が原因ではないかと考えている。

この堤防は30-40年ぐらい前から長い年月をかけて少しづつ延長されているものだ。

原因はともかくとして、計らずも生物の多様性が増しているわけなのだが、これで本当に良いのだろうか?

この泥は砂地の生物多様性には貢献したが、その砂地から少し上がったところにあるオオハナガタサンゴの群体には負の影響を与えている。

直接サンゴの上に乗っかった泥は、大きな時化が来ない限りそこに居座り、次々とサンゴを死滅させているのだ。

僕が屋久島に来た頃はとても綺麗だったオオハナガタサンゴ群体も今ではかなりの荒廃ぶりだ。

そのサンゴ周辺の魚に関しては今のところ、その魚類層や種の構成に大きな変化はないが、これもオオハナガタサンゴ群体がすべて死滅するような事になればどうなるか分からない。

とうとうアカタチの仲間までもが登場。。。(撮影地/屋久島)

泥環境というものはある意味、人工的な開発による海環境の成れの果て。

こうして考えていくとさすがにこれを良しと思った人はいないだろうが、生物多様性を説明するとき、こうした観点に触れられることなく、ただ「多いことは良いことだ」という流れだけで「生物多様性」を説明しようとすると、勘違いする人が必ず出てくる。

「生物多様性」という考えを周知させるのが目的であるならば、その言葉の字面を説明するのではなく、それが意味するところ、を理解させる事が重要なのではないだろうか?

一部の場所だけで見ると多様性が増しているように見えても、ポイント全体、屋久島全体、日本全体、地球全体というように見る範囲を広くすればするほど全体としては多様性が増しているとは限らない。

また一定の短い期間(今)だけで見ると多様性を増しているように見えても、時間軸をさらに長くして、将来的な状況も加味して見ていくと多様性は決して増しているとは限らないのだ。

当たり前のことのように思うかもしれないが、案外こうした視点が欠如している環境政策や施策は多い。

「生物多様性」の目指すところは、ずばり“バランスの取れた生態系”だ。

字面に引きずられて“多様”である事は良いことだ、多い事は良いことだ、とか思われがちだが、決してそういう意味ではない。

僕は「生物多様性」は結局のところ「“いい感じで”つながりのある生態系が保たれた状態」と同義になると思っている。

この「いい感じ」が重要だ。(笑)

遺伝的多様性の身近な具体例??

前回は屋久島の川で「遺伝的多様性」の意味を感じ取ることができた、という話をした。

今度は僕らダイバーのメイン・フィールドである海の中で「遺伝的多様性」の具体例を探してみた。

——————————-

イトヒキベラという魚がいる。腹ビレが長く伸びたベラの仲間だ。

国内では相模湾以南に分布しているとされているが沖縄などでは数は少ないようなので、もろに温帯種だ。

イトヒキベラの典型的なオス(撮影地/屋久島)

屋久島ではごくごく普通に見られるイトヒキベラなのだが、この群れの中に10匹に3-4匹の割合で下のような色彩のイトヒキベラが混じっているのが見られる。

イトヒキベラ属の一種”のオス(撮影地/屋久島)

——————————-

このイトヒキベラは屋久島では比較的よく見られる体色で、水中で見る限りでは別の種類にしか見えない。。。

特にメスに求愛するときの体色である”婚姻色”は、僕の知りうる普通のイトヒキベラのそれとはまったく違っていて、僕も屋久島に来た当初は「新種のイトヒキベラだ〜!!」と騒いでいたものだ。

研究者によるとこのイトヒキベラは、イトヒキベラと近縁のゴシキイトヒキベラが交雑してできた子が親と”戻し交雑”をして、これを何世代も繰り返す事でできたイトヒキベラなのでは?との事。

単なる雑種ではなくて何世代も繰り返す浸透性交雑となると、もうこいつはすでに別種なのでは?と思わなくもない。

実際、この魚は今のところ「イトヒキベラ属の一種」と呼ばれ、“イトヒキベラとは別の種類かも?”とされているようだ。

——————————-

しかしイトヒキベラに限らず、ベラの仲間は放卵放精の産卵形態をとる。

この産卵方法では簡単に交雑が起きるので、生殖隔離が不完全なまま、その後も引き続き浸透性交雑を繰り返す事になる。

生物学的には種とは「交配可能な個体の集団の集まり」とされている。そうなるとこの「イトヒキベラ属の一種」は、いつまで経ってもイトヒキベラと同種という事になるのではないだろうか?

現に屋久島では、この2パターンのイトヒキベラはまったく同じ場所に群れており、僕が見る限りでは日常的に交雑が行われている。生殖隔離はまったくされていないように見える。

メスの中にも典型的なイトヒキベラのメスとは明らかに体色の違う個体もたまに見られるのだが、こいつも交雑に参加しているし。。。(・・;)

イトヒキベラの典型的なメス(撮影地/屋久島)
“イトヒキベラ属の一種”のメス(撮影地/屋久島)

——————————-

屋久島のような北の魚と南の魚が交わる場所では交雑が起こりやすく、雑種が生まれやすいとも聞いている。そんな海域では遺伝子レベルの突然変異も他地域に比べたら容易に起こっている可能性が高い。

それが理由かどうかは分からないが、そもそも屋久島のイトヒキベラはこの個体ごとの体色や斑紋の多様性がかなり広いように感じる。
このような例はイトヒキベラ以外でも、いくつか挙げることができる。体色ひとつ取っても自然状態での多様性の幅が広いという事は、屋久島の海が豊かな証拠だ。

少し前までは屋久島の海で見られる魚の種数を増やすことに一生懸命になり、それは屋久島の海の豊かさを示す指標だとさえ思っていたりしたのだが、今はこれこそまさに「遺伝的多様性」の一例ではないだろうか?と思い始め、むしろその方が面白いかも?などと思ったりしている。

屋久島は種数の多さ(種の多様性)も誇れるが、所詮はここよりも南の海域にはかなわない。

「遺伝的多様性」の豊かさこそがここ屋久島の海の本当の特色なのかもしれない。

側面誇示行動をする普通のイトヒキベラ(後方)とイトヒキベラ属の一種(前方)

——————————-

追記:
ほぼノンダイバーの嫁さんにこの文章と写真を見せたところ、「言いたいことは分かるのだけど、そもそもこの”イトヒキベラ”と”イトヒキベラ属の一種”はどこがどう違うの?同じ種類にしか見えないのだけど。。。」と言われてしまった。。。

そう言われてしまうと、ま〜そうだよね。。。(^^;;

アユが教えてくれた「遺伝的多様性」の重要性

今年は国際生物多様性年だ。

10月には名古屋でCOP10(生物多様性会議)が開かれることもあってか、ここ最近「生物多様性」という言葉をあちらこちらで聞くようになった。
地球サミットで調印された「生物多様性条約」では、生物多様性とは、「種の多様性」、「生態系の多様性」、そして「遺伝的多様性」を含むと定義されている。

このうち「種の多様性」と「生態系の多様性」は普段フィッシュウォッチングを楽しんでいる僕らダイバーには割とすんなりその意味を理解でき、身近な具体例を挙げることもできる。

問題は「遺伝的多様性」だ。

遺伝子やDNAという言葉はよく聞くが、何か難しそう。。。はっきり言って文系の僕には遺伝子なんて言葉が出てきた時点で無条件で拒否反応が。。。それでこの「遺伝的多様性」だけは具体的なイメージをイマイチつかめずにいた。実感が湧かないというか。。。

産卵中のアユ、メス1匹にオス3匹

昨年の12月、ようやく僕はアユの産卵を屋久島で見る事ができ、そこから3週間に渡って毎日川に通い続けた。夜は夜で屋久島のアユのことがもっと知りたくて、様々な文献や書籍を読み漁った。アユ漬けの日々。。。(笑)

アユは孵化後一度海にでるのだが、沖合に出ることはなく、しばらくはその河口周辺に留まるため、春には同じ川を遡上する可能性が高い。そして過去に屋久島は内地の河川のように琵琶湖産のアユが放流されることなく今日まできた。つまり離島・屋久島のアユは現在、独自の進化を遂げている事になる。リュウキュウアユはまさにその顕著な例だが、屋久島のアユも同様に遺伝的に特異な地域集団になりつつあるようだ。

後ろから続くオスたちは卵を食べる

さらに同じ種類の魚の中にも個性というものがあるわけだが、屋久島のアユはこの個性を形作る遺伝子の多様性も内地のアユに比べて乏しいようだ。

遺伝的多様性が低いと、ちょっとした事が原因で絶滅する危険性があったりする。。。そう。。。「遺伝的多様性」が低いと生物は生存が難しくなってくるのだ。

そんな身近な具体例に実際に触れることでようやく「遺伝的多様性」というものを知り、少しだけ実感することができた気がする。

砂にまぶされたアユの卵

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!

今年はとうとう40代に突入。。。
そろそろ大人になろうかな。。。と思う今日この頃。。。(笑)

謹賀新年 < トップ