夏の合併号・砂地の生物特集
皆さんこんにちは。合併号と言われれば聞こえはいいのですが、要は「先月サボっちゃいました〜」の苦しい“言い訳”です。
お題は“砂地の生物”という大きな括りで、先月・先々月に見られたものを、分類群を問わず定番から稀種まで各月10点づつご紹介します。
尚、写真の並び順は一部例外はありますが、概ね時系列に並べてあります。
● 5月に出逢った砂地の生物
サギフエ 於:川奈ビーチ
月初めに2日間、実に何年かぶりに川奈に潜ることになりました。その時に撮影したものです。ホームの伊豆海洋公園では水深25mを超えないとなかなか出逢うことがない魚ですが、川奈では10m付近にいてくれたので落ち着いて撮れました。ちなみにこの日はゲストから『ダ』の付くもののリクエストを受けて下見に行ったのですが、翌日の本番では八木さんの多大な御協力を得て無事にミッション成功!深く感謝致します。
ホウボウの1種の幼魚 於:伊豆海洋公園
時折見かける全長2cm程度のホウボウの幼魚は全身真っ黒で、それよりやや大きめだったので色が出始めた状態なのかな〜?と最初は思っていたのですが、あとで写真をよく見返しているうちに醸し出す雰囲気がどうも違うような気がしてなりません。ガイド仲間さん達とも情報交換しましたが結論は出ず。どなたかお詳しい方是非コメントを〜。
ホウボウの幼魚 於:伊豆海洋公園
そしてこれが翌日見つけた所謂“ホウボウ”の幼魚です。ねっ、やっぱり違うでしょ。
マダラヤナギウミエラ 於:伊豆海洋公園
ウミエラやウミサボテン等は東ではあまり見ることがなく、ウミエラに関してはほとんどがこの種類です。西伊豆でよく目にするのは軸が太く全体的にボリュームのあるトゲウミエラ科の種類だと思われますが、それらに比べると葉状体が短く密度も疎らでウミエラカニダマシなどが共生するスペースは無さそうです。実際見たことありません。
ホオジロゴマウミヘビ 於:伊豆海洋公園
非常に臆病でこちらの気配を察知して潜ってしまうので、近寄るには慎重さが求められます。常に口をパクパク開閉させているのでかつては『パクパク』というあだ名で呼ばれていました。ホッペの白い模様には形や大きさ、色の濃淡に個体差があるようです。
ダイナンウミヘビ 於:伊豆海洋公園
同じウナギ目・ウミヘビ科でも上の種類とは顔つきが大きく異なり、特に口の位置が全く違います。この顔を見るたびに恐竜のプテラノドンが頭に思い浮かんでしまいます。
ヒフキヨウジ 於:富戸ヨコバマ
ヨウジウオの仲間としてはかなり大型の種類で全長30cm程度に達します。動かないと枯れ枝が落ちているようにしか見えないので、大きい割にスルーしてしまうことも・・。
ヒレナガカサゴ 於:富戸ヨコバマ
フサカサゴ科の中では(ミノカサゴ類は別として)背鰭が異様に長く、亜科で分類されている程です。これまで数回しか逢ったことない稀種で、場所はいずれも富戸でした。
メガネウオ 於:伊豆海洋公園
かなりボリュームのある体を実に器用に砂の中に埋めています。お見せしたゲストの反応は9割方『最初は平べったい魚かと思いました!』というぐらい、潜り方上手です。
トゲツノヤドカリ 於:伊豆海洋公園
鉗脚にイソギンチャクを付けて武装するという特異な生態を持つヤドカリです。11年前に初めて出逢ったのですが、その後再会を切望しながらもなかなか逢えなかった、私にとっては“幻の”ヤドカリでした。イソギンチャクを確認した時は鳥肌ものでした。
● 6月に出逢った砂地の生物
キュウセン 於:伊豆海洋公園
砂場のベラの代表格と言っていいでしょう。写真は♂です。常に砂の中を探って索餌していて、ヒメジ類などが後にくっついておこぼれを狙っている光景もよく目にします。
ヒシガニ 於:伊豆海洋公園
普段は砂の中に半分埋まった状態で動かないので、石が転がっているようにしか見えません。英名がエルボークラブなので直訳するとヒジガニ(肘蟹)なのですが、和名は菱形からきているのでしょう。意味は違えど字面が似てしまったという面白い例です。
イボアシヤドカリ 於:伊豆海洋公園
伊豆海洋公園で見られるヤドカリ科ヤドカリ属の6種類のうち、このイボアシとケスジヤドカリの2種類が砂地に好んで生息しています。夏前のこの時期によく目にします。
アサヒガニ 於:伊豆海洋公園
このカニの砂潜りの上手さは全くお見事というしかありません。ほんの数秒の間にこの大きな身体で砂の中に潜ります。相撲の仕切りのようなこのポーズもユーモラスです。
ナガレメイタガレイ 於:伊豆海洋公園
最近何度かこの魚の刺身を食する機会がありましたが、いやぁ〜なかなか旨い魚です。
ホシテンス 於:伊豆海洋公園
幼魚は夏〜秋によく見かけますが、成魚はなかなか逢えない上に寄らせてくれません。テンスとの違いがまだ自分の中でスッキリしないので、同定にはちょっと自信なし。
ハナアナゴ 於:伊豆海洋公園
砂に潜るタイプのアナゴやウミヘビなど所謂“長もの”の中では最も定番な種類です。
メガレイ 於:伊豆海洋公園
ヒラメ科のガンゾウビラメ属に属する種類です。この属には他にテンジクガレイというのもいて、ヒラメかカレイか名前だけで判断できずややこしいです。これまで数回しか出会ったことのない稀種で、ヒラメのような菱形ではなく楕円形の身体をしています。
ミズヒキガニ 於:伊豆海洋公園
春先から夏前ぐらいによく見かけます。第4歩脚がハサミ状になっていて海藻の切れ端やシロガヤなどを掴んでいます。この華奢な身体ですから何か拠り所が欲しいようで、(この個体もそうですが)スナイソギンチャクの触手の間に隠れるようにしています。
オオバウチワエビ 於:伊豆海洋公園
このエビもなかなか出逢えない珍しい部類に入りますね〜。よく似たウチワエビとは両サイドのギザギザがより幅広く本数が少ないことで見分けます。過去に撮った写真を見返してみたところ、I.O.P.では全てオオバでした。ウチワエビの方も見てみたいです。
横田 雅臣
1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身
ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。
伊豆半島・伊豆海洋公園
ダイビングサービス GO TO THE SEA
〒413-0231
静岡県伊東市富戸912-29
Tel:0557-51-7878
バックナンバー
- 2024.1:新年にちなんで・・
- 2023.12:ヒレボシミノカサゴの幼魚@八幡野
- 2023.11:モノクローム
- 2023.10:ハシナガウバウオ
- 2023.9:ミカヅキツバメウオの幼魚
- 2023.8:オオウミウマ
- 2023.7:ワモンヤドカリ2種
- 2023.6:ミギマキ×タカノハ
- 2023.5:キリンとネッタイ
- 2023.4:マツカサウオ@I.O.P.
- 2023.3:モンスズメダイの幼魚@I.O.P.
- 2023.2:オオモンカエルアンコウの幼魚@八幡野
- 2023.1:A HAPPY NEW YEAR
- 2022.12:フタスジリュウキュウスズメダイの幼魚
- 2022.11:ウチワザメ@八幡野
- 2022.10:モヨウフグ@富戸ヨコバマ
- 2022.9:ナンヨウツバメウオの幼魚
- 2022.8:アオリイカ(幼体)の群
- 2022.7:ニシキウミウシの交尾
- 2022.6:スベスベマンジュウガニ
- 2022.5:キレイどころ2種類
- 2022.4:キリンゴンべ
- 2022.3:ヤイトハタ
- 2022.2:寒中お見舞い申し上げます
ガイドのつぶやき
- 三浦半島・葉山から
- 真鶴半島・湯河原から
- 伊豆半島・伊東から
- 伊豆半島・川奈から
- 伊豆半島・伊豆海洋公園から
- 伊豆半島・大瀬崎から
- 伊豆半島・平沢/静浦から
- 伊豆諸島・八丈島から
- 静岡・三保から
- 紀伊半島・尾鷲から
- 和歌山・串本/古座から
- 高知・沖の島から
- 鹿児島・屋久島から
- 沖縄・本島から
- 沖縄・久米島から
- 沖縄・西表島から