海藻はエライ!
皆さんこんにちは、3月に入り季節はいよいよ春めいてきました。陸上ではすでにカワヅザクラ[河津桜]やオオカンザクラ[大寒桜]などが見頃を迎え、今月末にはソメイヨシノ[染井吉野]の桜前線が北上してきます。お花見がてら是非潜りにいらして頂けると嬉しいです。海の中はまだまだ水温が低かったり濁りがあったり海況が不安定だったりで条件的には決して良い状態とは言えませんが、まもなく訪れる春の息吹を感じさせてくれる生命力に溢れた海です。
今月はそんな春の兆候の中でも特に海の生き物達にとって非常に重要でありながら、ともすると見逃してしまいがちな『海藻』を特集します。種子植物である“海草”とは別物の胞子植物で、根はなく花も咲きません。海藻には大きく分けて緑藻・褐藻・紅藻の3つのグループがあり、それぞれ緑や茶褐色や赤い色をしているのですが、表面に独特の光沢を持っていて元の(葉の裏側の)色とは全く異なる輝きを放つものが少なくありません。以下にご紹介する海藻の中にも「コレが海藻か?」と思うような素晴らしい発色をしているものがいくつかあります。
各グループの説明にはこれらの海藻が日々私達日本人の食生活に如何に密接に関わっているかをあらためて思い起こして頂ける様、食用として利用されている海藻の代表的なものを具体例を挙げて紹介し、また色や形だけでなく名前も美しい海藻の語源や意味が判るようカタカナの種名の後には[ ]内に漢字の表記を添えました。
● 緑藻類 — 私も大好きな海苔の佃煮(岩のり)の原材料になっているのがアオサの仲間です。これさえあれば御飯何杯でもお替り出来ます。アオサ類はお好み焼きや焼きそばなどにかけるアオノリにも使われています。また沖縄地方の名産として知られる海ぶどうはイワヅタの仲間の『クビレヅタ』という海藻だそうです。
オオバロニア [大ばろにあ] :
大きいものは直径1cm程にもなる球状の物体の一つ一つが、超ギガサイズの細胞。
ヤブレグサ [破れ草] :
成長すると縦に破れたような裂け目が入るようです。写真は裂ける前の若い状態。
● 褐藻類 — 代表的なのは何といってもワカメやコンブでしょう。ワカメの味噌汁や昆布のおにぎりがもしこの世に無かったらと思うと空恐ろしいものがあります。他にモズクやヒジキといったお馴染みの食材もこの仲間です。(そう言えば以前沖縄から大量のモズクを送って下さった方が・・・、その節は御馳走様でした。)
シワヤハズ [皺矢筈] :
最近若い芽がよく目に付きます。褐藻とは思えない綺麗なスカイブルーですねぇ。
フタエオウギ [二重扇] :
これも緑藻類と見紛うような見事な蛍光グリーンの発色です。名前も美しいです。
● 紅藻類 — 日本人のソウルフードとも言える“おにぎり”に欠かせないノリ(板海苔)に使われているのがアサクサノリやスサビノリなどのウシケノリ類です。海苔を口にしない日はあるのかっていうぐらい、各家庭の台所の必需品です。また寒天やところてんはテングサ類のマクサなどを干してから茹でて濾したものです。
フサカニノテ [房蟹の手] :
紅藻の中でも石灰質を含むサンゴモというグループの海藻で浅場に多い種類です。
カギケノリ [鉤毛海苔] :
このフワフワした感じは哺乳類的ですね。名前に反して鉤状構造は無いそうです。
キヌハダ [絹肌] :
図鑑で調べたところこの種類で間違いないと思うのですが、正直自信有りません。
ウスバワツナギソウ [薄葉輪繋ぎ草] :
蛍光発色する海藻の中でも特に美しい種類で、群生している様は見応えあります。
アヤニシキ [綾錦] :
お相撲さんにいそうな名前です。葉の表面にあるツブツブに胞子が入っています。
横田 雅臣
1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身
ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。
伊豆半島・伊豆海洋公園
ダイビングサービス GO TO THE SEA
〒413-0231
静岡県伊東市富戸912-29
Tel:0557-51-7878
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