南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

名作鑑賞の秋

先日、無性に映画が見たくなった。とは言えここはリロアン、映画館などはおろか、レンタルDVD屋など夢のまた夢...。

が、しかし、そんな時のため我が家にはDVDおよびVCDの各種作品が80タイトルほどあるのだ。で、その夜は「いわゆる名作」と言われる作品が見たくなった。さて、どんな“名作”を鑑賞しようか悩んでいたところ、偶然にも頭の中に一つの旋律が沸き起こった。

その旋律とはマイク・オールドフィールドの出世作「チューブラー・ベルズ」である。と言うことで、今夜見るべく作品は決定した。そう、この「チューブラー・ベルズ」を広く世に知らしめた作品こそ、かの不朽の名作「エクソシスト」である。それも「ディレクターズ・カット版」で決定!!!

久々に見たのだが、いやはや、やはり有無を言わさぬ超一級の名作であると再認識させられてしまった。本作品は「ホラームビー」に分類されている訳だが、そこは『フレンチ・コネクション』でアカデミー監督賞を受賞したウィリアム・フリードキンのメガホンだけあって、これまでの恐怖映画とは一線を画す超完成度の高い作品となっていて、公開から35年以上経過した現在でも高く評価されている恐怖映画界の金字塔的作品なのである(事実、本作品は「ホラームビー」でありながら、アカデミー賞でなんと「脚本賞」を受賞しているのだ)。

特に今回は「ディレクターズ・カット版」である。公開25周年を記念して発表された本作品は、ブリッジ姿で階段をクモのように駆け下りるリーガン(リンダ・ブレア)のシーンが追加され話題となったものだが、それ以外にもやや抑え気味に挿入されていた「サブリミナル効果」をもたらす“暗闇に浮かび上がる悪魔のような顔”のシーンが随所に挿入されており、より一層の効果を上げている。また、エンディングもキンダーマン刑事とダイアー神父のその後の交流を感じさせるような、暖かみのあるエンディングになっており、当初撮影されたエンディングが復活している。

しかし、まあ、時代的なことを考えると、あの当時によくもまぁ、これほどの作品を作ったものだとほとほと感心(もしくは“寒心”)させられてしまう。その当時、キリスト教信者だった人たちにとって「神の力による勧善懲悪的エンディング」ではない結末がどれほど恐ろしかったことだろうか・・・。また、全編にわたって効果的に挿入されている「コーランの響き」と「刀鍛冶のハンマーのリズム」が、西洋文明の人たちにとって、全く異質で、我々の力の全く届かないあまりにも違う世界観をかもし出しているように感じさせる。

そして複雑に絡み合う様々な複線、北イラクで発掘された「パズズ像の頭部」を見て以前自分がアフリカで対決した悪霊と再び対決する日が近いことを悟るメリン神父。娘が悪魔に憑依されているのではないかと言う恐怖と、殺人を犯したという事実に潰されそうになる母親で女優のクリス。さらには家を追いやられ精神病院に収容されてしまった母親のことに対して自分を責め続けるカラス神父などなど...。

パズズはカラス神父に問いかける、オレが悪か?お前はどうだ?お前が母親にした仕打ちは何だ?と...。


(「光の天使」と題したこの画だが、よく見ると「パズズ」の如きシルエットに見えなくも...)

リーガンの背後に浮かび上がるパズズの影は、悪魔と言うより、もはや神の如く絶対的な存在なのかもしれない...。

こんなこと考えながら魚(じゃなくて“彼ら”)と付き合ってるのってオレだけ?

と言うことでまた来月。


五十嵐
五十嵐“Garuda”一規

1968年11月29日生まれ
横浜市出身
射手座 申年 RH+O型

バンドマン、大道具、そしてダイバーへと転身した変わり種。昆虫・プロレス・甘い物が大好きな現役ハードコア・パンクスだが、バーボン片手にロックを聞きながら毎夜繰り広げられる魚談義はいたってマジメとの噂・・・。秘密結社「赤い魚団」代表。

フィリピン・セブ島 リロアン

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