南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

嗚呼、クラゲよ...

オレはクラゲが好きだ。

あの“ボヨン”とした雰囲気。
あの透き通った感じ。

ただホワ〜ンと浮いていて(泳いでいて)何の緊張感もなさそうに見えて、そのくせ毒を持っていたりする辺りも合気柔術の達人のような趣がありかなり好きだ。さらに付け加えるならばあのコリコリっとした食感も。

そう、実は以前はもっぱら食べる方専門であった。が、しかし、ここ最近どうやら体質が変化してしまったようで「クラゲ・アレルギー」っぽい・・・。

セブ周辺では或る特定の時期、或る特定の地域で、或る特定の種のクラゲが大量に発生する。それも“被写体としてバツグン系のタイプ”ではなく、よく気をつけて見ていないと気が付かないような“ほそ〜い糸状のタイプ”のヤツである。さらにそいつ、刺されるとかなり痛い!!!痛みが治まっても数日間は劇的に痒い。酒を飲んだりシャワーを浴びたりすると尚一層に・・・。「ボウズニラ」や「コボウズニラ」と言う名が正式和名だが、“目玉おやぢ”という通称で呼ばれるクラゲがそれである。

で、そいつに毎年大量に刺されまくった結果、アレルギーとなってしまったようだ(実はオレだけではなく、オレの相棒っつーか社長も同様で、その点については彼の方が数年先輩である)。で、現在はもっぱら撮る方専門となってしまった。

今、リロアン周辺ではクラゲのシーズンである!!

とは言え、その“目玉おやぢ”ではなく、「イボクラゲ」や「エビクラゲ」などの大型で淡い色が大変美しい“被写体としてバツグン系”の方が沢山流れてくるシーズンである。喜んでいるのはPHOTO派ダイバーのみならず、地元の人たちも大喜びである。なぜなら喰えるからだ。

当然ウチのボートマンたちも水面にプカプカ浮いているものを見つけると、喜んで海に飛び込む、普段なら「飛び込め」と指示すると(イジメではなく仕事で)嫌そうな顔をするボートキャプテンまでもが・・・。捕まえたクラゲは触手の部分を取り除き、傘の部分だけを手で細かくちぎって、酢の中にブチ込んで醤油などを付けて食べる。若いボートマンなどは、クラゲをおかずに山盛りの飯を喰う。

そんな幸せそうな光景を、“元クラゲ好き、現クラゲ撮影好き”のオレは黙ってじっと見つめる。じっと、じっと、ただ見つめる。視線に気が付いたボートマンがオレにクラゲを勧める。しかし、オレはただただじっと見つめる。堪えられなくなったバートマンはエンジンルームの陰に隠れる。オレは静かに振り返り上を向く。なぜなら溢れる涙を見せないようにするために・・・。んな訳ゃないが非常に辛いシーズンであることも確かだ。 そんな時ふと思うのが「明日世界が滅亡するならば・・・」

ボートマンたちを蹴散らして、生まれたままの姿でクラゲの入った桶に飛び込み、全身を使ってクラゲを喰ってやるっ!!!

ところで、こんなこと考えながら魚と付き合ってるのってオレだけ・・・?

ということでまた来月。


五十嵐
五十嵐“Garuda”一規

1968年11月29日生まれ
横浜市出身
射手座 申年 RH+O型

バンドマン、大道具、そしてダイバーへと転身した変わり種。昆虫・プロレス・甘い物が大好きな現役ハードコア・パンクスだが、バーボン片手にロックを聞きながら毎夜繰り広げられる魚談義はいたってマジメとの噂・・・。秘密結社「赤い魚団」代表。

フィリピン・セブ島 リロアン

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