南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

ガイド写真展交遊録

今、日本から帰りの飛行機の中でこの原稿を書いている。1月28日から東京ビックサイトで行われたダイビングフェスティバルに行ってきた。この豪海倶楽部の執筆者でもある川本さんや、鉄さんが実行委員をしている「次世代ガイドの写真展」の末席に加えてもらうことになりその現場へと出かけてきた。僕はこのフェスティバルに来るのはずいぶん久しぶり。パラオに来てから一度も行ってなかったから、実に8年は来ていないことになる。行ってみたら浦島太郎の状態だった。

このフェスティバルはダイビング業界のビジネスショーであるのと同時に、僕らガイドや業界関係者にとって年に一度の顔合わせの行事でもあるのだ。あちらこちらから「おおぅ、久しぶり」とか「どうもご無沙汰してます」なんて声が聞こえてくる。

もう何年も来たことが無い僕は、当然ながら初めて会う人も多かった。写真展出品者の人達のほとんどが初対面だったのだが、そんな中でも“豪海倶楽部同い年チーム”になる川奈の八木さん、本部の高野さんは何となく話しやすかった。歳やポジションも近いので話しの目線が近くていい。海の現場で困っていることなども似ていて、言っている事に共感持てた。今年の豪海倶楽部の“期間限定コーナー”の持ちまわりの話をしていて、なんとなく成り行き的に次の担当は高野さんになったような気がしたが。ねっ、高野さん。(笑)

あと会えて嬉しかったのは女川の佐藤さん、タイのサトルさん、リロアンのガルーダ五十嵐さん、ラパスの増淵さん、小笠原の田中さん、大瀬の赤堀さん、沖縄の蓮尾さん、マーシャルの吉居さん。皆、すてきな写真を撮る人達だから会ってみたかった。忙しいのでなかなかじっくり話をしている時間はなかったが、実際に本人に会えたことでそれぞれの海に対する思いとか、なんか上手く書けないけどそういう情熱みたいのを感じた。みんな海の話するときは眼光強かったのが印象的だったなぁ。

写真展とは関係ないけどバリの殿塚さんもブースを出していた。新しい図鑑を作られたのだそうだ。もちろん初対面。近くにヒロさんがいたのでお願いして紹介してもらった。重鎮という印象のある殿塚さんだったので、ちょっとおっかなびっくりで自己紹介した。そしたら殿塚さんは優しい笑顔でバリの海や島、文化についていろいろ話をしてくれた。忙しいだろうにとても親切に話しをしてくださる殿塚さんに対して、僕は調子に乗って「今年バリに尋ねていかせてください」などと強引な約束をしてしまった。(笑)

話は変わるが写真展の後、オタパッ会に参加してきた。ちょっと用事があったので遅れてから行った。鉄さんが座っている。テーブルから手招きしてるので呼ばれるままに行ったら、知らないおじさんが二人いた。紹介してもらったら、そのお二方は、な、なんと西表の矢野さんと、八丈の加藤さんだった。写真では知っているが実物は当然初めて。二人とも憧れのガイドさんだ。会うための心の準備が出来てない。それまでの僕のリラックスモードが一転して緊張に変わる。急な展開に緊張のあまり挨拶してからしばらくその場に立ちつくしてしまった。矢野さんが「ま、座れば」と言ってくれるまで座るのも忘れてた。(笑)

が、だ。矢野さんは何と僕を横に座らせてくれた。ようやく状況が飲み込めた時には、僕の左は矢野さん、左斜め前は加藤さん。さらに右前には鉄さん、右横には雄輔さん。その周りには峯水さんや赤木さんが座っていた。「うぁっちゃ〜、とんでもない席座っちゃったなぁ・・・」と思った。ガイドの大、大先輩やプロのカメラマン人達の中にチョコン、と置かれて緊張していた。「全然飲んでないじゃん」と言われた。大好きなビールさえ飲むの忘れていた。(笑)

でも、お話させていただいて矢野さんも加藤さんをはじめ、皆さんとてもいい人達でした。ありがとうございました。

正面舞台には中村征夫さん、ヒロさん、サカナさん、川本さん、越智さん、鍵井さん達がフォトバトルをしていた。作品も凄かったが、この花形ガイド&カメラマンたちが一同に集まるこの祭典の熱さにクラクラした。(笑)いろんな意味でスゲー会だった。

今回の写真展の実行委員でもあり、この豪海倶楽部の執筆者でもある鉄さんと川本さんはこれからアンケートの集計や後片付けなど大変な作業が残っている。僕は仕事の都合で先に戻ってきてしまったが、今回の写真展はこの二人を始めとする実行委員会の尽力によるところが大きい。 特に今回、鉄さんがいろいろな人を紹介してくださったので、とても面識が広がった。いつも僕ら後輩のことを気にしてくれる鉄さんには頭が下がるばかり。今回もまた感謝です。鉄さんはとても物腰の柔らかい優しい話かたをする人だが、やはり大先輩。今でこそ、その人柄が分かっているが、実は昨年初めてお会いするときまではかなりビビッていた。(笑)

川本さんとは今回が初対面。正直物凄く怖い人だと思っていたのだが印象が変わった。昼間は“的確に、そして必要以上のことはあまり話さない人”で、夜は“一緒に酒飲んで楽しい人”でした。飲んでいても周りの人のことを良く見ていて、「秋野、雄輔さん一人になっちゃうからここに呼んで来て」といった具合にいつも周囲に気配りしている人でした。嬉しかったのは、ずっと以前に僕が川本さんのことをこの豪海の座談会で書いたのを覚えていてくれていたこと。「いやぁ、秋野の書き方が良かったから、お客さんに「なんだー、ツヨシも後輩に尊敬されてんじゃん」なんていわれちゃってさぁ・・・」と話してくれたので、ここでもう一発持ち上げておくことにしました。(笑)

雄輔さんにも会えた。最近大島に行ってきたらしく「減圧出すぎでさ、窒素溜まりまくりだよ、怖くて風呂もつかれなかったよぉ〜」といつもの調子で楽しそうに話していた。新しいハウジングのことで盛り上がって、F6用の雄輔スペシャルハウジングとか、プロトタイプの苦労話とか聞かせてくれた。苦労話のはずなのに、雄輔さんは楽しそうに話す。写真の話をしていたときに「やっぱさぁ、俺これしかできないじゃん」と言っていたときの雄輔さんの顔、嬉しそうというか楽しそうなのだ。この人も本当に海が好きなんだなぁ、って改めて思った。こういう人達の傍にいると無条件にこっちも嬉しくなるものだ。

と、そんな感じで今回の訪日は終わった。会ってみたいと思っていた人や、憧れていたガイドさんたちに会えたのは大きな収穫だった。この受けた刺激を忘れないよう、明日からまたがんばろうと思うのでした。来年またこの場所に来られるように・・・。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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