ペリリューの海。
ここに来る前までのダイビング誌やWEBサイトでの情報では、ガンガン潮が流れ豪快な海というイメージが僕の中にあった。
滞在してみると、確かに豪快な海もある。
でもそれだけではなく、とても優しい一面も持っている。まさに「静」と「動」を兼ね備えた海だったのだ。
「静」
誰もがペリリューには、キャンベックという港から上陸する。前にも書いたがとても景色のいい港だ。船着場からふと海を見ると港にも無数のカラフルな魚たちが気持ち良さそうに泳いでいる。そして、少し遠くに目をやると木々に囲まれたプールのような水溜りがある。
「ここでも、潜っていいんだよ」という秋野っち。
「僕は、ここだけでいいな〜」とはじめちゃんに発した。
水溜りに根っころがっていると、自然の音しか聞こえてこない。ここでは時間を気にすることなく、子供の時のように好きなだけ無邪気に遊べる。伊豆から来た僕にはとっては馴染んだ遊び場だった。
20cmくらいしかない水溜りから、ヒシキが元気良く伸びている。
港内でも小さな生物たちが笑顔で迎えてくれるだな〜。
ある日、僕だけここに置いていってもらった。反対側にも水溜りがあったので探検にいった。一人で遊んでいると、なにやらローカルの強面の男3人が僕に近づいてきた。言葉はわからないが、僕に対して攻撃的な言葉を発しているのはわかった。
秋野っちも誰もいない・・・・
ヤバッ!どないしよっ!
「カメラ、カメラ」「フォト!フォト!」
と説明してもまだ怒っている。
困ったな〜最後の手段。
「デイドリームよ〜」
と言ってみた。
そしたら・・・・
「OH〜〜デイドリーム!OK!OK!」
と笑顔で男達は海に向かって歩いて行った。
どうも、そちら側は魚場らしく僕が魚を獲っているのだと思ったらしい。撮ってはいたんだが・・・。
しかも、こんな港で遊んでいるのはデイドリームだけらしく、以前から男達はその様子を見ていたお陰で僕も助かったのだ。
沖のポイントにも岩の周りにはパラオの固有種とも言われるサイドスポットドワームゴビーや綺麗な環境に多いキャンディケインドワームゴビーなど人気のハゼたちともじっくり向き合ろ。
ポイントによってはマクロ派も楽しめるのには驚いた。
「動」
とは言ってもやはりここはペリリューだ!
噂のロウニンアジやイレズミフエダイの群れとの遭遇はメインエベントなのである。
イエローウォールというポイントに行った時のこと。
カメが何やら捕食している。僕が近づこうとも微動だにしないくらい夢中だ。
こんなシーンは、伊豆で出くわしたら、まさに大ヒット!
夢中で撮影していると、遠めに見ている秋野っちは、
「いいから早く行こうよ〜」の素振り・・・・
「何で?こんないいシーンなのに〜〜」と思いつつ・・・
秋野っちの近くに行き、指差す方向を見ると・・・
なんと!万!ともいえるイレズミフエダイの群れがいるではないですか!
カメの捕食がプロローグに過ぎないとは贅沢な海だ!
さらに毎朝5:30出港で行くペリリューコーナー周りのポイントでのロウニンアジの群れは圧巻だ。
イソギンチャクも横に流れるほどの流れの中、秋野っちは、ロウニンアジの群れを待つ。
突然Go!の合図。
ボッ。ボッ。ボッ。
と、ロウニンアジに出会う儀式をしながら、濃紫の海に溶け込んでいく。
すると、これまた万!のロウニンアジの群れが怒涛のごとく泳いできた!
群れの大きさに、凄いとしかいいようがないのだ。
最後に・・・・
帰りの飛行機でふと、我に返った時に思った。
全てにおいて楽しいのだが、全てにおいてガイド秋野の演出によるものだということを。
静かな海では、ローカルとうまく付き合っているからこそできる港での潜水。激しい海では、目で見ることが出来ないギリギリのラインで遊ばせてくれていること。ひとつ間違えばやばいかも知れない。でのそのギリギリのラインには、とてつもない感動がある。
ガイドで海は変わるのだ!
仲間であり、ライバルでもあるガイド秋野っちの日ごろのリサーチ力と、ペリリューに対する情熱には脱帽だ。
ありがとう!!また行くね!!!
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(八木 かつのり=<MOC川奈ブランチ> 川奈日和)