吉野雄輔さんと、高野肇君、そして八木克憲君の3人が来てくれたペリリュー島イケイケ攻めまくりダイビング記も今回で最後。

一緒に潜り一緒に撮影し、流れ流されながら遊びまくった10日間。

丁度みんなが来た日程が、うまく満月から新月に向かう月齢に“はまった”おかげでイエローウォールのイレズミフエダイの群れを狙いに行くことができた。そこまでは良かった。しかしこのイレズミフエダイの群れはなかなか寄らせてくれない。目の前を移動する美しい青と黄色の縦縞模様の大群。テンションは嫌でも上がる。しかし思うように寄れないからイライラ度もそれに比例して上がるのである。そのうち群れを追って、皆クモの子を散らしたように居なくなってしまってちょっと焦ったりもした。(笑)

ペリリューコーナーではあの流れの中、よく皆あんな大きなカメラ持ってついてきたなぁと思う。みんなには「うん、大したことないね。へへん」とか言っていたけど。正直言うとそれなりに結構流れていたのだ。でもそんな大変な思いだってコーナー先端下の水深40mで上から降ってくるようなロウニンアジの空襲を見られたら吹っ飛ぶってもの。それぞれの海でのプロ達が驚きシャッターを切り続けている姿に、この海でガイドをしていることを誇りに思ったっけ。

あとは、遠征したシアストンネルで、大深度で目的の魚を探すのに手間取りたっぷり減圧を出して上がれなくなったり、港でアイスを買おうと思って行ったらお金を忘れていり、頼んだはずのタンクが準備されていなかったり、腹が痛くなって海で○○○を○○○しなくてはならない人もいたり・・・。とまあいろいろあったけど、まあどれも命の存亡にかかわるようなことではないので旅を盛り上げるエッセンスとして楽しいアクシデントだった。


冷静沈着で他人思い。兄貴肌なんだけどエバった風が無くて自然な優しさが人を引き付ける肇。そしてマイペースでのんびり屋っぽい雰囲気の中、ビシッと1本筋が通った思慮深さを持つ八木ちゃん。この2人が居なかったらこんなにも僕はガイドという仕事を頑張れただろうかと思う。親友でありライバルの2人。


そしていつも朗らかで優しく、そして時に厳しい雄輔さん。初めて会ったのはTOTOTOというパラオ居酒屋だったっけ。もうあれから何年が経つのだろう。あれがきっかけでこの豪海にも誘ってもらったんだっけ。雄輔さんと会わなかったら今の僕はなかっただろう。八木ちゃんや肇ともきっと会うことも無かった。大切な、大切な仲間たち。なんとなく感慨深くなってしまう。

そんなことを考えながらガイドするものだから、「よっしゃ、良いとこ見せちゃるべ」と鼻息もブーブー荒くなる。当然いつもなら緊張もしないところで緊張する。今思えばなんでそんなに緊張する必要があったのかだろう。プレッシャーだったのか、自分でもよく分からない。そんなダイビングも終わってしまえば、残アドレナリンが心地よい虚脱感を作る。仲間と一緒に潜る楽しさは格別。潜った後のビールも格別だった。またこのメンバーでペリリューを攻めたい。いや、ペリリューだけじゃなくてパラオ全部を潜りたい。いつかきっと。

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(秋野 大=DayDream PALAU