「この期間中 このメンバーにどう見せるか」、正直そのことばかり考えていた。高野肇氏、八木克憲氏、そして吉野雄輔師匠の3人。豪華な豪海のメンバーである。

豪華だがちょっと緊張する。しかし友人や師匠たちと一緒に自分の海を潜れるのだから嬉しくない訳がないし、楽しくない訳がない。いつも以上に興奮している自分が分かる。

「落ち着け」「舞上るな」エントリー前、いつも自分に言い聞かせていた。そうでないと先走ってしまいそうなくらい自分的に“前のめり”だった。

初日の1本目はペリリューコーナーだった。エクスプレスに入ろうと考えていたのだけど、流れはコーナー側だった。そこそこ流れていたと思う。長いアームをつけているカメラだとこの流れの中では抵抗になる。しかしある程度ストロボをカメラから離しておかないとマリンスノーを拾ってしまう。撮影者はその選択を迫られる。まあ、このメンバーは間違いなく写真のクオリティーを選ぶわけだ。泳ぐとキツく感じてしまうから極力泳がずに先端まで行けるコースを選ぶ。ボトムの滞在時間は20分。その後のダウンカレントの中を浮上するために十分なエアーを残し、さらに減圧+安全停止を十二分にして水面に出るためにはこの時間が限界。いろいろと制約の多い場所なのだ。

流れは速かったが海には恵まれたと思う。ロウニンの群れは今日も居た。目の前で群れが崩れる。左へ群れが移動して行くなかで、いい感じでアプローチできた。後ろを振り返ると肇と八木ちゃん2人とも嬉しそうにカメラを構えていた。



見せたいものは山ほどある。撮ってほしいものも山ほどある。でも時間だけは限られている。そのジレンマ、その“もどかしさ”さえも楽しく感じてしまう。とにかく楽しかった。これ以上の表現の言葉を僕は知らない。

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(秋野 大=DayDream PALAU