ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

親方のピンチヒッター 悪徳夕暮れ商法の誘い

カメラを持っているはずか、手ぶらでやって来るみいさん。
何かを見つけたらしく、それを見せたいらしい。

そうかぁ〜、場所が分からなくなるから、カメラを目印に置いてあるんだと、勝手に思ってその場所へ行くと、目印となるカメラはありません。 ???

ハウジング内にたっぷんたっぷんに入るほどの大水没です。入ってすぐに大水没になったため、カメラを置いて手ぶらでダイビングしていたのでした。まぁ保険で新しいカメラになるけど、当分写真は撮れないね。

なので8月の豪海倶楽部はナシです。でもコツコツ休まず書いていたのを知っているし、たくさんの読者が楽しみにしているのも知っている。やっぱり穴を開けては申し訳ない。

ってことで急遽ピンチヒッターの登場なのです。

ネタはたくさんありますが、読者が喜ぶかどうかは分かりませんので打率は悪いです。

さて皆さんは「悪徳夕暮れ商法」ご存じでしょうか。

ゲストが午前と午後に2本のダイビングを済ませ、のんびりしているところへ「えへっ、夕方になるといろいろな魚たちの産卵が始まるんですが、見に行きませんか」と誘い込み、ガイド代をせしめ、知らず知らずのうちにゲストの財布を空にする商法です。

そう言えば海洋公園でも今年、夕暮れが二日間だけ解禁になったそうです。その夕暮れでヤマドリの産卵を見るために20人ものダイバーが集り、こんな大勢いたんでは、ヤマドリは恥ずかしがって産卵なんてするわけがありません。でも海洋公園は大繁盛ですね。

一方、レグルスの悪徳夕暮れ商法、産卵が見られる確率99%という高確率なのにも関わらず、集まるダイバーは0に限りなく近い閑古鳥状態なんです。

その産卵なんですが、八丈島ではヒメテグリ・サンゴハナビヌメリ・ミヤケテグリ・セソコテグリ・コウワンテグリ・コブヌメリ・ミナミコブヌメリ・チビヌメリ・イズヌメリと9種類もの産卵が季節に応じて次々に見られるのです。このネズッポの仲間たち、産卵前にオスが大きな背ビレを広げて求愛するという共通の儀式があります。

一番はやっぱりミヤケテグリでしょ♪ この大きなヒレと目玉模様が特徴だね。

このミヤケテグリとよく間違えられるセソコテグリ。確かに背ビレを広げない日中に見るとよく似ていますが、求愛時のセソコテグリのオスを見れば、まず間違えることはないでしょう。

だって、背ビレは小さいし、目玉模様はないんです。

ネズッポの仲間たちのオスは、この背ビレの形や大きさ、模様などで見分けることができるんですが、背ビレを広げる夕方でないと見ることはできないでしょう。だから図鑑にも、ヒレを広げたカットの写真ってなかなか載っていないんですよね。

悪徳夕暮れ商法案内続行中・・・。

ここでひとつ、八丈島にたくさんいるけど他ではなかなか見られないヒメテグリのオスの背ビレをご覧下さい。

炎が燃えるような模様。おうおう、にくいねぇ、この千両役者。

でもこれ、図鑑にヒレ広げた写真が載っていたね。

じゃあ種すら載っていない幻のサンゴハナビヌメリはどうでしょう。

金ラメ入りのすだれ模様。こりゃなかなか見られない代物だね。

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どうだい、凄いだろう!

でもまだ産卵見ていないネズッポくんもいるんですよね。それがこちらです。

セソコテグリによく似ているので、セソコテグリと間違われているようですが、実はまったくの別種で、名前の付いていない未記載種です。

写真はメスだろうと思っています。このオスの求愛時のヒレを確認すれば正体が分かるんですよね。

見たいなぁ〜。

でも無理。彼らがいる水深は40m以深のちょー深場なんです。こんな場所へ夕暮れに行くのはあまりにも無謀すぎます。無理なこと、分からないことがあってこそ、夕暮れがマンネリにならないってことですかね。

どうです?みなさん、悪徳夕暮れ商法に引っかかってみたくなりました?


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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