ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

春ちゃんの夏休み

親方の末娘、春ちゃんは小学校5年生になりました。

そう、以前にも登場しましたね。去年学校で「生き物係」になり、気に入った生き物を片っ端から捕まえて学校で飼育していました。この春ちゃん、小学校5年生ながら既にダイビングの経験があります。初めて潜った時は、まだ体が小さくてタンクが背負えそうになかったため、スノーケリングの格好で親方のオクトパスをくわえて潜っていました。今年は一人前に、器材のセッティングの仕方を教えてもらっています。でも、まだ海の中では、首根っこつかまれた猫みたいに引っ張られていることの方が多いみたい。

この春ちゃんが、無謀にも「今年の夏休みの宿題には、自分で水中写真を撮って、お魚図鑑を作りたい!」と言い出したのです。しかし、子が子なら、親も親。「おう! じゃあ、パパのカメラ貸してあげるから、写真撮りな!」

パパのカメラって・・・一眼デジカメ、ニコンD80を特注のプルーフのハウジングに入れたもの。春ちゃんの顔より大きいカメラに、Sea&SeaのYS120が2灯。陸上ではとても持っていられないし、水中でもストロボの分が若干重め。こんなに重くてかさ張るものを持って、魚の写真が撮れるのでしょうか? ピントがオートで合いやすいようにと、選んだレンズは20mm。娘に一言。「レンズが20mmだから、魚に目いっぱい近づいて撮らないとダメだよ!」、素晴らしいアドバイスですな。

そして夏休みに入り、パパが暇になった平日。
いよいよ、この親子は水中撮影に出かけたのです。

私が先にエントリーしてカワハギの子供たちを撮っていると、親方が春ちゃんを引っ張って泳いできました。片手にカメラ、片手に春ちゃんを持ったまま、素早くカワハギの行く手に回りこみ、私が撮っている反対側へ。カワハギの目の前に春ちゃんをドーンと落とし、上から体を押さえつけ、目の前にカメラを出し・・・春ちゃんって、目の前に出てきたカメラをのぞいてシャッター押すだけ〜っ!?

こんなんで、本当に撮れるのか〜!? と思っていたら、意外と撮れていました。

これって、春ちゃんがすごいの? それとも親方がすごいの??

次は「ねぇ、カメが撮りたい」とのこと。カメはお魚じゃないけど、やっぱり外すわけにはいかないようで。カメ見る度に、カメちゃん・ダッシュ! しかし、所詮は小学生。しかも向かい潮なので、カメに追いつくどころか流されます。結局ダッシュするのは親方で、春ちゃん引っ張ったまま全力疾走。春ちゃん、カメラ抱えたまま脱力状態。

なんだか、ちょっとずるくない? ってくらい、ちゃんとカメが撮れました。

小学生の夏休みの宿題に、こんな写真、自分で撮ったって言って持ってくる子、他には絶対いないよなー!

春ちゃん、3本潜って34種類の生き物をバッチリ撮りました。中にはユウゼン玉の写真まで。この写真をプリントしてノートに貼り、いろいろ調べたことを書くのだそうです。「調べて」っていうのは、つまり「パパに聞いて」っていう意味みたいですが。

きっと先生も友達もビックリするだろうね。

島の子供たちは素潜りが得意なものだから、ダイビングしてみたいなんて考えないみたいだけど、春ちゃんの写真を見て、ちょっとでも興味を持ってくれるようになると良いな。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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