ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第四話 深海からの使者

マッドバイバーズの暴投(失礼!冒頭です)でも紹介いたしましたが、三保には以前チョウチンアンコウが出ました。その他にも、アンコウ、キアンコウ、アカグツ、フリソデウオの幼魚、テンガイハタの幼魚、ミズウオ、サギフエなどなど、思いのほか深海系の魚がやってきます。これは、駿河湾の奥に位置する三保の地形によるもので、冬型の気圧配置になると西風が駿河湾に吹き付け、表面温度が下がって対流が生じて湧昇流(温度が高い水隗が軽いので浅い方に移動する)となるので、これに乗って深海の生物が上がって来易くなるのだとも言われています。

諸説では、深海には幼魚が育成するには、深海の状態はあまりに栄養が少なく、餌が乏しいために子孫繁栄の摂理から、あえて浅い水深で産卵しているとも言われています。その深海のプリンス達ですが、水面際のすごく厄介なところに漂っています。多分、意図的に波間を漂う幼魚は、人間の目をもってしても認識が難しいはずです。幾多の困難を乗り越えて、再び深海へ降りる生物達は、駿河湾のダウンスポットへ手に入れた遊泳力と風の力で辿り着き、外敵の少ない故郷へと戻るのでしょうね?

一般的には、夏季到来魚(死滅回遊魚と呼ばれています)がクローズアップされ、ダイバーの人気を集めていますが、この横軸方向の来遊生物だけではなく、深海からの縦軸方向の冬期到来魚にも、今後は注目して欲しいと思います。深海からの使者は天女の「舞い降りる」に対する逆説的な訪問者として、三保に現れ続けているのかも知れませんね。

えっ!舞い上がっているのは、お前だけだって?失礼しました。


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

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