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八丈ロケ

八丈島をテレビや映画でご覧になったことがありますか?

八丈島だけでなく、観光資源が乏しい田舎に人を呼び寄せようと思ったら、テレビや映画のロケ地に選んでもらうのが手っ取り早い方法の1つです。NHKの大河ドラマにでも出られれば一躍有名になれるのですが、タレントさんが来て旅のレポートをしてくれるだけでも、それなりの効果が期待できるようです。

レグルスでも以前から何度か映画やテレビの撮影協力をしています。

その度にいつも苦労していたのは、どこだったら思い描いているようなシーンが撮れるのか、その場所の撮影許可は誰にもらえば良いか、などを事前に調べることでした。この作業があまりにも煩雑だと、映画やテレビ番組の制作会社から敬遠されかねません。もっとメディアに出て八丈島をアピールしなくては、と考えた島の人たちは、こんなサイトを立ち上げました。

八丈フィルムコミッション。まだ準備中のページが多いようですが、この中の「撮影・ロケ実績」を見ると、八丈島をロケ地にした映画がずらっと一覧で出てきます。私も知らなかったのがいっぱいありました。このサイトは、映画やテレビの制作会社向けに作られていますが、内容を充実させてロケ地巡りが好きな観光客にとっても便利なサイトに仕上げれば面白いだろうなあと思います。島に来て、レンタカーを借りて、ぐるっと島を一周して、さぁその後はどこへ行ったら良いかわからない、と嘆いている観光客が少なくありません。観光客がみんな温泉や史跡が好きとは限りませんし。

挙げられている映画一覧の中から1つを挙げてみましょうか。

3年前に公開された「トリック2」。

八丈島という地名は出さず、房総沖の離れ小島という設定になっていたと記憶しています。阿部寛さんと仲間由紀恵さんのコンビが、新興宗教の信者たちに誘拐された女性を救出するため、海を渡ってゴムボートで乗りつけます。ちょうど宗教団体のアジトの目の前に静かなタイドプールがあり、そこへゴムボートを隠しておきます。どんなに外洋が大シケでも、岩壁に囲まれているので、そこだけは池のように静か。これがレグルスからすぐ近くにある「あら池」という場所で撮影されました。

私が撮った時には潮位が低かったので本当に池のようでしたが、潮位が高くなると外海とつながります。ですから、こんな狭い所にも魚がいっぱい。しかも海岸沿いに真水が湧き出しているので、八丈では珍しく、サツキハゼのような汽水域の魚が見られます。

足場が悪いので滅多に行くことはありませんが、タンクを背負って崖を降りていくと潜ることができます。漂流物もたまりやすいので流木を拾うこともできるし、夏には子供が磯遊びをしています。

そして、振り返ると、そこには白い巨大な建物。これが教祖のアジトということになっていました。ユートピアの皆さんが、この建物の前で「よろしくね!」と言いながら「こまわり君」のポーズをとっていましたっけ。

この建物、本当はホテルでした。私が生まれたくらいの頃でしょうか、当時八丈島は「東洋のハワイ」と呼ばれ「新婚旅行で行くのが夢」と言われていた場所だったのだそうです。そんな憧れの離島に来ることができたのはセレブな方々だけ。きっと、このお城のようなホテルで優雅に休暇を過ごしていたのでしょう。そんなバブリーな時代に、このホテルでバーテンをやっていたという知り合いがいます。チップがたいてい万札で、一ヶ月の合計金額が月給を超えていたそうです。残念ながら、今では廃墟。敷地内は立ち入り禁止です。

さて、映画では「あら池」に係留しておいたゴムボートが水底に沈んでしまうというアクシデントが生じるのですが、阿部寛さんが素潜りで引き上げ、また海を渡って無事に本土に帰ります。

普通に考えると、ゴムボートで海を渡るなんて、無理です。

そういう非現実的なところは、「だって、映画だから…」ということになるのですが、江戸時代に遡ると、本当にそんなことをやろうとしていた人たちがいました。当時はゴムボートなんてものはありませんでしたが、小さな木造船に乗って島を脱出しようとした人たち。八丈島に流刑になってしまった流人と呼ばれた人たちの島抜けです。

ちょうど、この「あら池」のすぐそばに「抜け船の碑」が建っています。この場所に昔から漁港があって、漁船が盗み出しやすかったこと、江戸の方角である北東に面していたことなどから、ここから島を抜け出そうとする人たちが多かったそうです。

この碑のそばに、抜け船に使用したと思われる木造船が置いてあります。

こんな船に乗って東京まで行こうとしたのかぁ。
東海汽船に乗っても10時間かかる距離。
行くも地獄、帰るも地獄って思いだったんだろうなぁ。

そんな感想を島の人に話したら、
「ばっかじゃない!?」
と言われました…。
「そんな江戸時代に使ってた漁船が野ざらしで現存してるわけないじゃん!」
そう言われれば、そうですけど。。。
「だいたい抜け船なんて、ほとんど失敗して転覆したり漂流したりしているんだから、それが八丈に残ってるわけないでしょ!!」
確かに…。
「僕が子供の時のと比べたって、少なくとも1回は取り替えてるよ。」
そんなぁ。

あたしは映画のお話を信じている子供と同じってこと?

抜け船の碑の横に置いてある、廃船。これが実際に抜け船に使われたって思う人、私だけじゃないと思うけどなぁ。

どぉ?
見てみたくなったでしょ??


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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