八ック謎ナゾ生命体 豪海倶楽部  

陸のエビ・カニ(1)

親方が「エビ・カニ ガイドブック」を出版するために甲殻類の写真を撮り集めていた頃の話です。暇さえあればスタッフを総動員し、新しい甲殻類の捜索をしていました。そんなある日「今夜、皆で出かけよう!!」と、嬉しそうに言うのです。てっきりナイトダイビングに出かけるのかと思っていました。そしたら「タンクも器材もいらないよ〜」とのこと。どうするんだろう??と思っていたら、とにかく車に乗り込んで、走ってる最中に「見つけたら叫んでよ〜っ!!」ですって。

当時の私は全然わかっていなかったのですが、その日の狙いはオカガニだったのです。オカガニは普段は内陸で過ごし、大潮の日の夜に産卵のために海辺は降りてくるのだそうです。私達の目的は、その移動中のオカガニ。建物が少ない海岸沿いの道路上を探します。 しかし、こんな真夜中に走ってる車の中からどうやって見つけるんじゃい?と、私は全くの役立たず。親方は「うぉーっ!!」と何度も叫んで急ブレーキ、車から飛び降りて走り回っていました。

でも、予想していたよりもオカガニは少なかったらしく、捕まえることができたのはたった1匹。「まあ、1匹だけでも、これでガイドブックに載せるカニが1種増えたぞー♪」と大喜びでした。

「あれ? でも、エビ・カニ ガイドブックにオカガニ載ってないよね??」

あはっ。

せっかく捕まえたのに、帰りの車中、オカガニは脱走してしまったのです。店に帰り着いた時には全くの行方知らず。いくら探しても見つかりませんでした。そしてオカガニとの出会いもそれっきり。ガイドブックの出版に間に合わず、載せることができなかったのです。

代わりに…というわけではないのですが、オカヤドカリが1種載りました。

このオカヤドカリについても、ちょっとしたエピソードがあります。

最初親方は、八丈で見つかるのはナキオカヤドカリばかりだと思っていたのだそうです。できればナキオカヤドカリそっくりのムラサキオカヤドカリを見つけたいと、一生懸命探していました。この2種はソックリで、眼の下に黒い線があるか、ないか。でも、そんなのよく見えないんですよ。あると思えばあるように見えるし、ないと言えばないのかも知れないし。そこで片っ端から捕まえて、いくつかを同定してもらいました。結果を聞いてビックリ! なんと、全部がムラサキオカヤドカリで、ナキオカヤドカリは1匹もいなかったのです。八丈ではナキオカヤドカリの方が珍しかったようです。

最近、店の花壇でこんなヤドカリも見つかりました。あの頃見つかっていれば、ガイドブックにもう1種増えていたのにね。

オカガニやオカヤドカリのその後の話は、また来月。

お楽しみにぃ〜。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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