潜るコピーライターのアンダーウオーターズポエム 豪海倶楽部  

Mother's beacon 〜ぱいぱい塔〜 第一話

とっぷん、とっぷん、さらりららん、波がきれいな絵を描いてるね。しまもようかな?柔らかい線・・。ちょっと違うな、輪っかの欠片?たぶん宇宙の上から見たら、まぁるい地球のまるい模様だ。
海の中にある白砂は、優しい気持ちがあつまるところ、日向の匂いにくるまれながら、イルカがじーっと目を閉じている。お空にいった“泡ん子”が、帰ってくるのを待ってるんだね。光にほっぺをなでなでされて、そのまま景色にとけちゃいそうだ。。

泡ん子は、いのちの息をはこんでくれる、ピュアでとうめいな空気の精。いつも一緒の友達さ。生き物みんなの頭の上にぽっかり浮かんでいるんだよ。この時代、イルカも人もたいていの生き物は海でくらしてる。“海時代”っていわれてるんだ。むかーしむかしは西暦とかゆう、日の数え方があったらしいけど、それから数えきれないほどの、時間がたっているんだよ。そうだな、えっと、たとえばこんな、サラサラの砂を両手にすくい、一粒一粒ならべていって、つなげたら、いったいどこまで続くんだろう?そんなにう〜んとなが〜い時。うんとながいね。ながすぎるよね。とても、とても、ながかったんだ。。

あ・お空から泡ん子が帰ってきた。ニコッってするみたいに小さく光って、それから頭の上にある空気孔に入っていったね。イルカはくすぐったそうに、ちょっともじもじして、それからくすくす笑ったりキュュッキュゥってうなずいたりしてる。そうなんだ、泡ん子は酸素を持って身体の中を旅するけど、なかでいろんなお話をするんだよ。お空を飛んで感じたことや、仲間に会って話したこと、その日の気持ち、いろんなことをさ。

話すといっても、この時代は言葉で会話をしないんだ。生き物同士もなんでも雰囲気で伝えあうんだよ。どんなに遠くに離れていても、その子のことを想って心を集中すれば伝わるし、近くにいる時は、泡ん子同士をつんつんくっつけると考えていることを交換しあえる。雰囲気は正直なので、好き同士はすぐに分かっちゃって照れくさいんだけど、ウソとかがないから結婚はほのぼのと一生つづくよ。大切な約束をする時には、泡ん子同士も合体して、一緒にくるくる踊って、うなずきあって、それからわける。夫婦も、親友も、それをするよ。

やや!向こうから耳ヒレをパタパタさせてジュンペチが泳いできたね。海時代になっても相変わらず泳ぎはへたっぴだ。ジュンペチは、生まれ変わる前はJUN-Pっていう名前だったよ。その頃から海は好きだったんだぁ。ふわふわ浮かんでいると海にだっこされているみたいだもの。でも、まだ人が陸に住んでいた“科学の時代”だったので、いろんな器材をくっつけて海に潜っていたよ。沈む時にはキィーンって音の矢が脳みそにささって痛くなって、がまんしてると頭を一周してブッって鼻から出てきたりする。耳抜きというのがうまく出来なかったんだね。うん、ダイビングはちがう世界に入ってゆく冒険だったから、楽しいけど約束事はたくさんあったよ。

でもそれよりもっとずっと後の時代、海での生活を始めるためにご先祖様達がされた苦労を知れば、そんなのは全然くらべものにならない。科学の時代には、地球が少し病気になったり、それに気付けなかった人達が大きな喧嘩をしたりで、とにかくいろんなものがなくなっちゃったんだ。陸も薄ぺったく小さくなって住めなくなった、だから身体だけを持って海での生活を始めようとされたんだよ。おおくの人がたいへんな努力をなさった。陸で生活していた他の生き物も、そう・・。その時にも、いのちはとても少なくなった・・・。かなしい事がたくさんたくさんあって、今の海時代があるんだ。忘れてはいけないことだ。

ジュンペチはそんな事を考えながら、ピヨピヨ泳いで白砂のとこまで来たよ。まーぁっしろな砂に泳いでる影がゆらゆらして、光と波も白砂もすべてが自分を海の仲間として包み込んでくれるような嬉しい気持ちがした。そんな時はいつも「ありがとう」って想うんだよ。ぴ〜よぴーよ、ふぅらう〜。。ぴーよよふぅらう〜。。泡ん子と気持ちいいときの歌をするんだ。あ・あそこ、ちょっとこんもりしたところがあるねっ。いたいた、友達が。ジュンペチは「あ〜そぼ〜」と、雰囲気を飛ばしたよ。すると白い砂がさわさわ〜っ。「うん!」と元気な雰囲気が跳ね返ってきて、イルカがピョコンと浮き上がった!

青に突然のような白。

胸がトクンとした。

こんなこと前にも・・・?いつ見てもハッとする。遠い遠い昔から何度もくり返される約束に、丸い丸い時間の珠を想った。ずっとずっと強く想うことで約束は叶うのかな?それでも叶わない時もあるけれど、やっぱりそんな時も出会っていて。逃げてたり、追いかけてたり、すれ違い?衝突!手を伸ばしたり、離したり、場面はそれぞれ違っていても、いろんなかたちで生命はくり返されている、くるくると廻りながら・・。約束を叶えるために、生まれ変わりはあるのかもしれないなぁ。。。なんて、マシロに見とれながら、思い出していた。

マシロとは、科学の時代ある工場で出会った。その頃は鯉という種族で、お池という場所に住んでいた。マシロも昔から自分がマシロだった事を覚えているよ。風が噂を伝えてくれる“海”にとても憧れていたんだ。見たこともなくて色も知らない海に恋をしていたんだって。いまは両想いだね。

ジュンペチはJUN-Pだったその時代、いっしょの工場にいたんだ。海が大好きだったけど、あまり行けなかったので、いつもマシロに会いに行き、その青い瞳に海を感じていたんだ。そしてマシロも海に憧れていると知った。瞳の色を見てわかったんだよ。きっとずっと前からの約束の色だったんだと思う。でもはっきりと前世を思い出せるようになったのは、もっと後の時代だからよくはわかならないんだ・・。

難しい科学の頃には、“何世代もかけて遺伝子の中へ刷り込まれていた情報(データ)が、何かのきっかけで表面化することがあり、実にありありと記憶のように脳裏に浮かび、それが如何にも前世を思い出したような気になるんだ!生まれ変わりなんて所謂一種の錯覚だぜ!”なんて片付けられそうになっていたんだよ。だからみんなも、そんなもんなのかなぁ?って、思い出そうともしていなかったのかもしれないね。

でも海時代にはりっぱに輪廻が信じられている。夢があっていいやん!という理由だよ。そしてそれ以上は誰も追及しようとしない。身体は生ものだし、環境の変化に順応?するために進化もしなきゃいけないので、いつまでもは使えない、だから変わるけど、命はぐるぐる廻っている。死んでも死なないと、死んでから気付いて、又、生まれたら忘れる時代は終わっているんだ。本当は、悪かった事もきちんと覚えていないと、あやまちというのをくり返すからじゃないのかなぁ?って、ジュンペチはたま〜に考えたりするんだけどね。

海時代には魚も人も生き物は酸素で生きているよ。でも空気が少なくなっちゃったので、身体はとても省エネになったんだ(だから、のんびり屋さんにもなった?)。気が向いた時に泡ん子に空気を運んできてもらって呼吸するんだよ。でもねマシロとジュンペチは呼吸以外でも泡ん子と遊ぶ事が大好きなんだ。泡ん子がお空で聴いてきた話を一緒に話題に出来るからね。“2プク”はとても仲良しさんだよ。“2プク”っていうのはマシロとジュンペチのこと。海時代には数の考え方が変わっていたので、一匹と一人とは言わないんだよ。プクという単位で2プクと言うよ。プク単位ができたのは、生きているものみーんな(植物でも虫でも)の頭の上に泡ん子がいるようになってから。それほどまでに泡ん子は、いきとしいけるものと“にプクいち”なんだ。(※ニコイチのこと)

Blueの中でぽやぽやしているマシロから、「あのね〜」の雰囲気がぽやゃぁんと伝わってきた。ジュンペチが「なに〜?」と、もこもこはてなの雰囲気を出すと。「“ぱいぱい塔”が、春の雰囲気を飛ばしてるよ〜。『陸さくらが咲いた』らしいんだ、見にいきたいなぁぁ」って、ついさっき呼吸にお空へ飛んだ泡ん子が、風が運ぶ“ぱいぱい塔“の雰囲気をキャッチしてきたらしく、マシロは青い瞳をキラキラさせたんだ。

つづく


仲
JUN-P(仲 純子)

大阪在住ファンダイバー
職業:コピーライターとか

1994年サイパンでOWのライセンスを取得。

宝物はログブック。頁を開くたび、虹のような光線がでるくらいにキラキラがつまっています。

海に潜って感じたこと、海で出会った人達からもらった想いを、自分のなりの色や言葉で表現して、みんなにも伝えたいなぁ。。。と思っていました。そんな時、友人の紹介で雄輔さんと出会い、豪海倶楽部に参加させていただくことになりました。縁というのは不思議な綾で、ウニャウニャとやっぱりどこかで繋がっているんだなぁ・・って感動しています。どの頁がたった一枚欠けても、今の私じゃないし、まだもっと見えてない糸もあるかもしれない。いままでは、ログブックの中にしまっていたこと・・少しずつだけど、みなさんと共有してゆきたいです。そして新しい頁を、一緒につくってゆけたら嬉しいです。