ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

オシドリ夫婦

オシドリ夫婦、言葉は皆さんご存知だと思うんですが、オシドリって実際にどんな鳥だか知ってますか?私はすごく単純に、あまり鳴かないおとなしい鳥で、ペアはさぞかし仲むつまじく一生添い遂げるタイプなんだろうなあと思っていました。何となく、オスもメスも同じくらいのサイズと色・柄で、静かに仲良く暮らす小柄な鳥。いわゆる、人間界でオシドリ夫婦と言われている人達をそのまま鳥にしたようなイメージを持ってたんですねぇ。

本当の「オシドリ夫婦」という言葉の意味の中には、「静か」とか「小柄」という意味は入っていないので、その時点で私の勝手なイメージは間違っていたのですが、それにしても実際のオシドリのオスはずいぶん派手な色彩をしています。土産物屋のカモの置物がそのまま生き物になったみたい。そして、メスはオスと全く違って、とても地味。少なくとも似た者夫婦ではありません。さらに驚いたことに、ペアになるのは繁殖期だけで、相手を変えることも珍しくないんですって。その場合、相手を選ぶ権利はメスにあるのだそうです。 なんで、そんな鳥から「オシドリ夫婦」なんて言葉が生まれたんでしょうね?

それはともかく、オスが派手な色彩をしているところや、メスにオスを選ぶ権利があるところなどは、海の中の生き物たちにも似たようなのがいっぱいいます。ベラやヘビギンポの仲間は、オスが派手な色彩でメスに求愛する種類がたくさんいますものね。鳥の求愛シーンはテレビでよく見かけますが、魚の求愛シーンは、あまり紹介されてないように感じるのは気のせい??

産卵しているメスの周りで、くるくる飛び回っているヨゴレヘビギンポなんて、結構面白いと思うんだけどな。写真では1対1で産卵していますが、実際はオス1対メス複数が珍しくありませんから、とてもオシドリ夫婦とは言えません。

言葉の意味から考えると、水中のオシドリ夫婦NO.1は、やっぱりクマノミでしょうか? 夫婦で産卵床を掃除して、産卵して、卵の世話をして、また掃除して…と、子供大好きの熱愛夫婦に見えます。

まあ、そう見えるだけで、実は夫婦間でも激しい生存競争があるようですが。。。

こんな風に魚たちのオシドリぶりを見るのはとても楽しいんですが、実際はほとんどが行きずりの愛(?)。産卵・放精したらサヨウナラ、親はなくとも子は育つ。

そんな親から生まれた子供たちは、とてもたくましく、夢をいっぱい背負っているように見えませんか?


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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