ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

子供たちの戦い

八丈では5月に入ると海開きが行われ、島の子供たちは平気で海に飛び込んで遊ぶようになります。まだまだ肌寒い日が少なくなく、島外の人や大人たちには、海水浴をするのはためらわれるような水温。そんな時期から、毎年暇さえあれば海で遊んでいるのですから、さぞかし泳ぐのが上手なんだろうね・・・と思いますが、意外とダメなんです。子供たちは、ひたすら飛び込んで潜ってあがる、また飛び込んで潜りこんであがる、の繰り返し。たいして泳いでないんですね。たまに島の子にダイビングを教える機会があるのですが、マスク外そうが、レギュレーター外そうが、何をしても平気、だけど泳ぐフォームは犬かきみたい。そのかわり、飛び込みはすごいです。今では禁止されていますが、昔は台風の大シケの日にも防波堤で遊んでいる子供たちがいました。波の高さは5m以上。防波堤にかぶる高波に合わせて海へ。絶体絶命!!という状況なのですが、次の大波に乗って防波堤にヒョイっと戻ってくるのです。それを何度も繰り返す。

小さな子供たちは、そんな荒海で遊ぶわけにはいかないので、穏やかなタイドプールで遊びます。四方を岩壁やテトラポットなどで囲まれ、満潮時には外海とつながりますが、干潮時には完全なプールです。プールみたいとは言っても、海は海。

潜ってみれば、人間だけではなく、いろんな魚の子供たちもいっぱいです。

つい先日潜ってみたら、まだ人間の子供たちはいないけど、ボラの仲間の子供たちがいっぱい。

嬉しくなってキラキラ光る小さな群れを追いかけてたら、さらにキラッと光るものが水底に向かって吸い込まれていきました。

あれれ!? と思って、その方向に目をやると・・・
子供たちの世界も、そんなに甘くはなかったのです。

これって、きっと私のせいなんですよね。私は遊んでるつもりでも、魚たちは必死で逃げていたのです。外適に対する注意力を全て私に向けていたところを、狙われてしまったんですね。

とても、あっと言う間の出来事でした。

このプールにはそのうち人間の子供たちも大勢やってきます。
魚たちにとって、平穏な日はないんですね。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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