ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

普通種の魅力

例えばの話、フォト派のゲストで「私はハナダイが好きです」と言うゲストに限って、ハナダイなら何でも撮ってくれるのかと思うと、そうでもなかったりする。「好きなハナダイ」というのがかなり限定されていて、よく雑誌で紹介されている人気種だったり、最近和名がついたレア物だったり、深い場所でないと出てないハナダイであることが多い。これはハゼでも同じことが言える。

最近ラジオから流れてくるCFのデート・シーンの会話。
「ねえ、今夜、何が食べたい?」
「え〜、私、何でもいいなあ。決めて♪」
「そっかぁ。じゃあ、中華なんてどお?」
「え〜っ(怒)!? ちゅうかあああっ!?」
ナレーション:女の「何でも良い」はアテにならない・・・

なんとなく、これと似ている。

ガイド「ハナダイがお好きなんですか。どんなの撮ります?」
ゲスト「うーん。ハナダイだったら何でも良いなあ。お任せします。」
ガイド「そうですか。八丈はキンギョハナダイがとっても多いんですよ。撮ってみます?」
ゲスト「あー・・・。キンギョハナダイですか・・・。」

これがフチドリハナダイだのマダラハナダイだのとなると、ものすごーく反応が変わる。目の色も変わる。八丈は本当にキンギョハナダイが多い。ほとんど全てのポイントで見ることができるし、潮通しの良いところであれば、何百匹ものハーレムを形成している。もちろんワイドの被写体としてもお勧めなのだが、何百匹もいればマクロの被写体としても絵作りするうえで大変有利だと思う。大きさ、性格、背景など、いっぱいいるサカナだと、いろんな組み合わせが選択できる。

それなのに、キンギョハナダイを勧めるとガッカリした顔をするのはどーしてなの?

あまりにもいっぱいいると、優先順位がどんどん下がっちゃうんでしょうか? いつでも撮れると思いながら、結局撮ったことがないままになっていたりして。レア物ばかり追い過ぎて、身近にいるサカナ達の美しさに気が付かないでいるのは、もったいないですよ。たまには一度、キンギョハナダイ・オンリーで1本撮ってみませんか?


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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