期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビカニガイドブックインサイドストーリー 第18回

梅雨の事などすっかり忘れたような陽射しを浴び、黒潮の恩恵に潤う海中景観、初夏の雰囲気が漂う久米島ですが、海が安定しているおかげで、この時期、甲殻類も今まで見つけられなかった種をよく見つけます。ガレ場などでもその傾向は強く、暇を見つけては、ガレ場探索に勤しんでます(笑)。今回は、本にも書けなかった・・・・マニアックすぎて誰も読まないからと言う理由で差し止められた(泣)甲殻類におけるガレ場探索の攻略法パートIを伝授しましょう!!

一口にガレ場と言っても、様々な環境があります。大別すると、

  1. 潮通しが悪く、砂地にサンゴ礫や小石が集まって、あまり環境の変化のなさそうな場所。
  2. 潮通しは良いがうねりの影響を受けやすく、岩自体もうねりの影響で付着制の生物が付かず、綺麗な岩肌のまんまののものがあつまっている場所。
  3. 潮通しがある程度以上あり、さほどうねりの影響も受けない為、サンゴ礫や小石に藻類やコケムシ系の付着物がたくさん付き、サンゴ礫や石の集まっただけじゃく、その下には砂地が少しあり、脇の方では泥質の砂もあるような、もう天国みたいなガレ場。

などなどさまざまです。但し、全てにおいて言える事は何処も多いなり少ないなりの差はあれど生物が生息してて、ダイバーが着く膝頭一つ、無意識にかくフィン一つ、めくる石一つ、どれをとっても環境を変える可能性がある訳ですから、出来うる限り自分が探している時も環境の変化がないようにめくる石以外は身体が触れぬよう、めくる時もゆっくり、めくった後もめくる前の状態に近いように戻す事に注意してください。そうすれば、その貴方の天国に成りうるガレ場は、台風などの影響を受けない限り、いろんな喜びや感動を与えてくれますから!!

さて、ではまず、ガレ場の選び方です。これは、パチンコの台選びに通じるものがあります(笑)。良いガレ場を探し選べるか選べないかは、その時の成果に格段の差がつきます。僕が幾筋にも連なるガレ場の前に立った時、ルーレットは回り始めてるのです!?でも、ただただ博打的要素が強いという訳でなく、上に書いたような環境の見方が出来、その見極めから入ると、探したいものをより効率的に探せるのです。

例えば、(1)のような環境なら、潮通しが悪いと言うことは、ゾエアやデカポデットなどの浮遊生活の幼正期を経たものが、その環境に流されてくる確率が低い訳ですから、当然、そこに生息する生物が少ない事が予想されますし、その可能性は甲殻類に留まらず、付着制の生物や魚類などにも考えられる訳です。ガレ場という環境も、ある食物連鎖の関係があって生物が生息している訳ですから、バリエーションの少ない生物層はその環境の貧弱さをも物語るのです。時間を掛けてじっくり探せば、ポピュラーなところでキンチャクガニやフリソデエビ、オタク系でオキナワホンヤドカリやテッポウエビ属のsp. C・D・E、クビナガアケウス・コブシガニ・アワツブガニの仲間・メイロケブカガニ・クボミオウギガニなどなども探せない事もありませんが、あまりお勧めできない環境です。


オキナワホンヤドカリのyg

(2)のような環境は、キンチャクガニなどはもちろん、人気種なら(売れないアイドルぐらいの人気ですが、僕個人はマニアックな方(笑)なのでかなり入れ込んでますが(泣)、ミゾヒメオオギガニ属の一種、シロスジベニオウギガニ、ヴィアデリアナ・タエニオラなどのカニ系や各種のテッポウエビ系が見られます。但し、数は多くありません。多いというか探しやすいのは、カニダマシ系で、ケブカカニダマシ、ペトロリステス・ヘテロクロウスなどで、コシオリエビの仲間で、ホクロコシオリエビやアマミコシオリエビ、スジテコシオリエビなども探し易いでしょう。


ミゾヒメオウギガニ属 sp.

(3)のような環境は、上記にも「天国のような」と形容した通り、ある意味オールマイティーで、尚且つ一般ダイバーが見たいガレ場の甲殻類が見白押しです。スベスベオトヒメエビの仲間から、サンゴヒメエビ、フリソデエビ、ヨコシマエビ、コガシラエビや綺麗系のテッポウエビの仲間やスナモグリの仲間、キンチャクガニやヒメキンチャクガニ、ケブカキンチャクガニや金太郎飴の模様のようなマルバガ二属sp.、ハイガザミやミゾヒメオオギガニ属sp.やシロスジベニオオギガニ、オガサワラコブシガニ、カニダマシ系で稀種なモルッカカニダマシなど、枚挙に暇がありません。


ハイガザミ

まず、大局のそのガレ場の環境の在り方を見極める事は甲殻類に留まらず、魚類・ウミウシなども含め、稀種・珍種と思われてる生物探索には欠かせない眼力なのです。少しごちゃごちゃに成ってきたでしょうから、この辺で一旦終わりでます・・・・っと言うか、僕も疲れたし(泣)。来月には余程不評でなければ(すごーく不安・・・泣)、攻略法パートII行きますから、それまでに海に足繁く通って環境の見極めを練習してください。もちろん、「自然に優しく、フィン先まで神経を尖らせて」です!!


Mumida sp.

川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部