期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビカニガイドブックインサイドストーリー 第6回

皆さん、こんにちは。今回はチュウコシオリエビ属の仲間を紹介しましょう。(1)のミヤビチュウコシオリエビ(Munida kawamotoi)は学名の種名が示す通り、世界で初めて見つかった種です。以前、学術論文での新種記載の際の工程を少しお話しましたが、これらの新種は(発表された時点で新種ではありませんが)、分類学上でそれまでに発表された種と比較対照され既存の種との相違点が見つけられ、その部分を論文中に記載しながら進めていく訳です。僕らから見れば、一目瞭然「これ!絶対、別種!!」と、断言出来るほど思っていても、後世に混乱を起こさぬように、色々な角度から熟考され、話を進めていく訳です。以前から「kawamotoiの候補はまだまだ沢山ある!?」と言われながら、なかなか発表されない現状を見れば押して知るべしなのです。

閑話休題、小難しい話はこれくらいにして話を進めましょう。(1)を初めて見つけた時、高倍率のレンズから見える美しさに心奪われ、撮影中「何て雅な奴!!」と感動しながら撮り続けたものでした。新種記載の際、そのままお願いして和名を付けさせて貰った訳です。もっと良い名前があったのかもしれませんが、「カワモトチュウコシオリエビ」などと、夢も希望も身も蓋もない和名を付けるより(ちょっと憧れだけど)遥かに良かったと思ってます。僕が「英名に弱い!?」せいもあるのでしょうが(笑)、英名を聞くと何故か夢を感じてしまうのはそんな部分が反映された名前が多いからなのでしょう。。オオテン(黄点)ハナゴイがプリンセス・アンティアスとなったりするのを、「そうか、王女様か・・・!?」などと胸ときめかせてしまうのです。もちろん、英名でも「マンマじゃねえか!?」と思える名前も沢山ありますが・・・・(笑)。

(2)のクメジマチュウコシオリエビ(Munida leptosyne)の和名こそ、ある意味では「マンマ」です。だって、国内で初めて見つかったから、お願いして久米島の冠する和名を付けて貰った訳ですから。まあ、ちょっとスケールが違うど「イリオモテヤマネコ」の路線ですね。この子は「パッと見」、アナモリチュウコシオリエビ(ロボコン)に似ていますが、甲やハサミ脚の模様も若干違いがありますし、第一にハサミ脚の長さがアナモリより長いのです・・・って、「よっぽど、解りづれえじゃねえか!!」という声が聞こえそう・・・(笑)。まあ、物事これ全て慣れです(キッパリ)。

(3)のチュウコシオリエビ属の1種は、標本を採っていなかったため、他の種との比較対照が出来ませんが、多分新種と思われる種です。先程も言いましたが、分類における視認では、第一に重要なのが、他の種との区別を付ける事が出来る個人の力量・・・色々な種の模様やプロポーション・生息環境などなど・・・つまりは「慣れ」です。その為には、実物を見てない種でも、図鑑などで常に写真を見、頭に叩き込まないまでも、憶える事です。その為うちのスタッフには、それこそトイレに入る時でも図鑑を持って行かせる始末です(笑)。

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さて次回は、・・・・まだ全然考えてませんが、興味があれば又覗いてみてください。それでは、皆様、雨がちな日が続きますが、自愛してバンバン海に出かけてくださいね。特に久米島なんか、空梅雨でいいですよ〜!!


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部