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エビカニガイドブックインサイドストーリー 第3回

さて、今回もイソギンチャクを防衛手段として利用するカニ達(キンチャクガニ・ヒメキンチャクガニ・ケブカキンチャクガニ)の話です。

前回は彼らのイソギンチャクの調達方法を少し紹介しましたが、もし、調達できない時、彼らはどうするのでしょうか?今まで色々見てきましたが、やはり「心の支え」みたいなものがないと不安(?)なようで、写真にあるような各種のウミウシを持つもの、藻類を持つもの、草類の幹の部分を持ち、人間の子供が棒を持って戦いごっこでもするように、武器として振り回しているキンチャクガニもいました。それに、本来イワホリイソギンチャクを持つはずのケブカキンチャクガニがキンチャクガニやヒメキンチャクガニの持つカニハサミイソギンチャクを左右に持っている場面を見かけ、その後その片方を食べる光景を目撃した時は、感心する前に「おまえら、何でもありかい!?」と水中で叫んでしまいました(笑)。

話を戻してここで問題なのが、イソギンチャクでないそれらの別の生き物が武器となるか?という事です。答えは「NO!!」で、毒性のあるイソギンチャクのように、魚類を撃退させる事は出来ません・・・多分。でもとりあえず何か持たないと落ち着かない(?)悲しい性を感じさせてくれます(笑)。笑い事でないのは、ハサミにはさまれたウミウシ達です。当然拘束されている訳ですから、身動きがとれないし、食事も取れないし、交接行動も行えないし、何も出来ない。キンチャクガニがイソギンチャクを調達するか、これでは武器にならないと理解して(もともと理解してると思うんだけど!?)解放されるのを、ただただ待つか、それよりも先に我が身が朽ち果てるか!?そんな状況下での精神状態は考えただけでも身の毛がよだちます。

たいがいは、何時間かで解放されるようですが(?、今まで解放したウミウシを全部確認してないので食べたかも!?そんな事はないと思うけど前回のイソギンチャクの場合もあるので)、中には一週間近くその状態でそのまま死んでしまったウミウシもいました。「じゃあ、助けてやれよ!!」とお思いでしょうが、ハサミには、棘があり、それで串刺し状態にしてはさんでいるものですから、無理に取ろうとすると、逆にウミウシ達を傷つけてしまうのです(と言うか、小さすぎて出来ないですよ!?)。見守っている一人類としては、ただその現実を直視するのみなのです。


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

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BY 編集部