ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(27)

[一番美味しい部分]

ヘビギンポの仲間のオスはメスへの求愛時、その種類独特の「婚姻色」を示すとされている。

つまりヘビギンポは似たような種類でも、オスの婚姻色を見れば、そいつが何者であるか判明するという事になる。

だから産卵期に時間をかけてじっくり観察すれば、僕ら素人でもその種類を採取する事なく、ある程度は種類を特定することができる。

じっくり時間をかけて観察しなければならないから、スグには名前や種類は判明しないけど、まさに生態観察と分類が結びついたフィッシュウォッチングの醍醐味が味わえる。

でも、大抵は今スグに名前を知りたいから、もしくはそんな観察をする時間も機会もないからと、初めて見た魚(とか他の生き物も)は速攻で学者さんに写真を送ったりして「結果」を求めたがるのが普通かもしれない。

でも、それは「生態を観察して種類を特定する」という一番美味しい部分(面白い部分)をみすみす逃しているのではないだろうか?

むしろ生時の体色が重要なヘビギンポは、実際にフィールドで生きた姿を見られる僕らダイバーが解明のカギを握っていると言っても過言ではないと思う。

【縄ヘビ(ヘビギンポ属の一種7)】

このヘビギンポも国立科学博物館の「魚類写真資料データベース」によるとクレナイヘビギンポとして分類されているヘビギンポだ。


通常体色? / 石垣島

このヘビギンポの観察者によると、周りには以前この場でも紹介させて頂いたクレナイヘビギンポとされる写真のような体色のような子は一切見られず、普段の体色も上のような感じらしい。。。なのでフィールドでの実際の観察のみを重視する「ヘビベース!」では、ひとまずクレナイヘビギンポとは別種として扱っている。(通称:縄ヘビ)

この種類に関しては産卵やオスの婚姻色も観察されている。


産卵中のオス&メス / 石垣島

一時はこれが(⇒クレナイヘビギンポ)、この縄ヘビの婚姻色である可能性も考えたが、こうしてキッチリ産卵&婚姻色を押さえてもらうと、やはりクレナイヘビギンポとされる種類とは別種ではないか?と思ってしまう。。。

写真提供:友江さん、yukiさん

参考:ヘビベース! - Triple-Fins Photo DataBase


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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