ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(10)

[勝手に名前をつけて楽しもう♪-和名テロを未然に防ぐ]

ここまで標準和名の存在するヘビギンポばかりを紹介してきたが、ヘビギンポの仲間の中には「未記載種」と言って、和名どころかまだ種類自体が確定していない不明種も数多い。

しかもその多くは、決して珍しい種類などではなく、地域によってはごくごく普通に見られるヘビギンポだったりするから面白い。ここからもヘビギンポの分類がまったく進んでいない事がよく分る。

こんなに沢山いるんだからきっと図鑑にも載っている種類だろう。。。そう思って調べてみると、全然載ってな〜い!そんな経験はないだろうか?ヘビギンポは特にそんな種類が多い。

更に「未記載種だ」とか「sp.(〜の一種)だ」とか「不明種(未同定種)だ」とか言われちゃうと、せっかくの興味も失われ、愛着も湧かない。。。ならば。。。すでに1つの種類として確定しているものに関しては勝手に名前をつけちゃおう!

ただ注意しなければならないのが、標準和名と混同されそうな名前は避ける事。少なくとも「〜ヘビギンポ」という仮称は避けた方がいい。あくまでも単なる仮称なので。数年前、不明なウミウシに好き勝手な名前をつけて混乱を招いた一件(「和名テロはあったのか」シリーズ/富戸の波参照)の二の舞になる可能性をヘビギンポは秘めていると思う。

明らかに
「こんなフザケた名前、正式な和名であるワケな〜いっ!」
ってな名前(仮称)をつけるのがコツだ。(笑)

【頭テンテン(ヘビギンポ属未同定種?)】

奄美&沖縄など南西諸島の各島々でごくごく普通に見られるヘビギンポの中に、僕らが仲間内で「頭テンテン」と勝手に呼んでいる和名の無いヘビギンポがいる。「頭テンテン」の名前の由来は、頭部に明瞭な黒い点々が散在している事からきている。

この点々は幼魚ステージで一番明瞭で、成長とともに薄く曖昧になってくる。

この「頭テンテン」の屋久島での生息数は決して多くはないのだが、だいたい-5m以浅にある岩の上(側面ではない)にチョコンと乗っかっていて、他のヘビギンポと比べて動きは鈍い。

それまであまり知られていなかったオスの婚姻色(下写真)を初めて見た時はかなり感動した。屋久島での繁殖期は春というにはちょっと早い初春の頃で、水温は1年のうちで最も低い2-3月。繁殖期のオスは他のヘビギンポ同様、ちょっとメスが通りかかっただけで日中いつでも簡単に婚姻色となるが、産卵自体は午前中に行っているようだ。

早く誰か僕に名前をつけてくれ〜!(笑)


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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