ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

普通種ウォッチングの勧め(1)

皆様、はじめまして! 屋久島海案内「森と海」の原崎と申します。今月からこの「海辺のエッセイ」に参加させて頂く事になりました。どうぞよろしくお願いします。

ゆうすけさんからは「何を書いてもいいぞぉ〜」と言われたので、魚以外の話題には乏しい僕としては、慣れるまではやはり好きな魚や屋久島の海について書かせてもらおうと思います。


小物探しの不得手な僕にとってライトなしのガイドは考えられないっ! 海に向かう途中、ライトを忘れた事に気づくと、ゲストには悪いが急いで取り帰らせて頂く。取りに帰れないような状況下でライトなしのガイドをする事になった場合、それはそれは頼りない、使えないガイドと化す。。。(笑)

ちなみにこのライト、小物を探すために持つわけではない。所詮ライトを持ったぐらいでは、僕の小物探しの腕はまったく上らない。。。悲しいことに。では何のためにライトを持つのかと言うと。。。僕の場合、「普通種」をライトアップするためにガイド・ライトを手放せない。

前に川奈日和の八木さんも書いておられましたが、「普通種」と呼ばれる生き物はその地域によって違うのだけど、ここでは、”その地域の割と浅い水深から普通に見られ、繁殖も行っているような種類”と定義する。そうした種類の生き物はたいていは地味だったり、風景の一部だったりして、じっくり見ることもなく通り過ぎる事が多いだろう。(例外あり)

そりゃそうだ! 出モノやレアモノと呼ばれる人気種や肉眼で見ても十分に美しい魚のように、存在自体がスター性を秘めていれば、ただ「見る」だけでも拍手喝采を浴びる。しかし、繁殖行動や捕食行動をしているわけでもない「普通種」を、ただ肉眼で「見る」だけだったら地味だし、な〜んも面白くないからね。。。

伊豆半島以南で普通に見られるムナテンベラという魚がいる。(って言っても伊豆には少ないのかな?)屋久島では-15m以浅でごくごく普通に見られ、1年中繁殖行動が見られるベラの仲間だ。

このメスは水中で肉眼で見る分には黄色い胸ビレがやや目立つ程度で、濃紺、もしくは黒っぽく見える、まさに地味な魚の代表のようなやつ。(失礼!)通常は当然のように無視して通り過ぎるのだが。。。

ところがライトをバシッと当てたり、ストロボをたいて撮影してみると。。。

あらら。。。本当はこんなに綺麗な魚だったのね!

照明さん(僕らダイバー)がライトアップしてやれば、彼女の隠された素質を引き出せる! こうして今日も僕は、地味な女の子の本当の素質を見出すかのような使命感に燃え、ごくごく普通に見られる魚に片っ端からライトを当てていくのであった。

実は自分の小物探しの不得手さを隠すためなんだけど。。。
えっ?もうバレてるって?!(笑)


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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