デジタル談義 その20 豪海倶楽部  

【こ】

新機種

ニコン・キヤノンの両社から、水中写真では現実的な価格帯のミドルクラスのカメラがそれぞれ発表になりました。

キヤノンの40Dは8月末発売ですが、ニコンのD300は11月発売予定としばらく先です。ニコンはハイエンドのD3も同時発表です。

【ゆ】

30D、もう古くなりました。

やっと使えるようになったのに。ま、そんな世界ですね〜

【こ】

両機とも位置づけ的には「ミドルクラス」ですが、実売価格は40Dが148,000円、D300が228,000円(ヨドバシドットコムより)と、実際には1クラス程度の価格に開きがあり、カメラとしての機能も少々開きがありますね。価格的にはD300は富士フィルムのS5Proあたりと同クラスに近いです。

実際に水中写真で使われているのを見るとニコンの場合、D100→D200のラインではなく、D70・80クラスが圧倒的でしたから、あまり気にする人はいないかもですけどね。

【ゆ】

そうですね。ハウジングまで考えたら、そう簡単に買い替えできないですからね。我々の世界は、

【こ】

で、気になるのが、お互いに使っている後継機、「40D」ですけど・・・

本当にモデルチェンジが早いですねぇ。

【ゆ】

いずれにしても、40Dのハウジングが出ないと買えないわけですが、後ろ蓋の透明なアクリル部分の交換で使えないかと期待してましたが、後ろのボタンの位置が変わりました。

ハウジングメーカーもこの辺の許容範囲を広く作ってくれるといいですが・・・。

【こ】

まったくですね。

で、水中写真を撮る上での大きな機能的変更点は、

  • 画素数
  • AFセンサー
  • ライブビュー
  • センサーダスト対策
  • ファインダー倍率のアップとスクリーンの交換が可能に

の5つでしょうか。本質とも言える「画質」に関してはまだなんとも言えないですが、ネット上にすでに出ているサンプルからの評判は・・・「悪くはない」というところでしょうか。

画素数はとうとう1000万画素を超えました。画素数イコール画質、ではないことは以前から訴えてきていることですが、今回は高画素化の画質面での弊害はさほど出ていないようですが、副次的には「大容量メディアが必要になる」「パソコンの高性能化が必要になる」という2点があります。

前者は今やメディアが冗談のように安くなっていますので、あまり影響ないですが、後者の場合、かなりの人に深刻な問題かと思うんですよ。

【ゆ】

そうですよね。今でもかなり画質ありますから、2回の進化に1回買うぐらいがいいかもね。

ファインダーがよくなるのはいいね。

【こ】

パソコンのOSとしての問題なんですが、ウィンドウズの64ビット化が進まないということは、最大限にメモリーを積んでも現実的には3GB程度しか有効に使えない。これは1000万画素のデータを大量に処理しようと思うと、かなり控えめなメモリー容量です。

64ビット化が進まない大きな理由は「それを必要としている人があまりに少数で、ソフトの対応が進んでいないから」なんですけど、逆に言うとデジタルカメラの画像処理がそれだけ特殊とも言える大きな負荷がかかる作業になっている、ということです。その一番の原因は高画素化であることは間違いないですし・・・コンパクトデジカメで1000万画素超なんてもうナンセンスの極みなんですけどね。

【ゆ】

そうね。カタログデータにみんな弱いし、しかし作り手の立場ではそうするしかないかも。

僕も昨日、山と渓谷社のハンディーな図鑑の写真選択とレイアウトを終えたとこなんですが、持ち運び用の図鑑なのに、1,300種弱、500ページになってしまいました。

1,300種って、大きな5,400円のドカベンシリーズと生態写真の種数は同じか上です。出てない種を100種入れました。こんなに必要ないだろうとも思うんですが、ま〜最終的な値段は?ですが、3,000円程度です。コストパフォーマンスはいいですね。

ドカベンから北とか深くてきれいじゃない魚、淡水魚をのぞいて、新しく和名がついたとことか、みんなの感心のありそうな所を重点的に入れましたが、矢野のハゼ図鑑と同じ厚さですね。

ダイバー向けに徹したのですが、なんかだんだん大きくなっちゃうんですよね。

それと一緒なんだろうね〜。これは来年夏前にはでそうです。幼魚図鑑とちがって・・・

【こ】

欲張るとキリがない(笑)。でも、その図鑑は楽しみですね。「ドカベン」は海に持って行く大きさ、重さを超えていますから。

AFセンサーに関しては、(まあ今も少数ながらマクロでもAFという人もいますが)ワイド撮影時のピント合わせに少し正確性が増しますね。いままで中央のみが「クロスセンサー」でしたが、全てのAFポイントがクロスセンサーになりました。

【ゆ】

もっとよくなんないとAFは使えないな。TTLのが使えそう。

この件書かなきゃなんですが、来月にします。忙しくて・・・

【こ】

AFの使い方もちょっとしたコツで、良く合うようになりますよ。要はコントラストのはっきりした部分で合わせることです。「無地」では決して合いません。

あと、あってはならないことなんですが、ボディとレンズの組み合わせによっては「常に前(or後)ピン」となる場合もあります。そういう場合はサービスセンターでの調整が必要です。

で、ライブビューです。コンデジを経験している自分としては「腕を伸ばして撮る」という撮影方法に特別な違和感はないんですが・・・。

【ゆ】

ピント見られるんですか?

ハウジングを頭でおさえても撮るんで、僕にはあんまり関係ないけど、近づきにくいときに,その分寄れるかもですね。

【こ】

実際には液晶画面では厳密な(マニュアル)フォーカシングがどこまでできるか、というと結構難しいでしょうし、「拡大機能」なんて魚を撮っている限りありえないですから・・・ただ「山をつかむ」程度はできますね。

またワイドにおいては「カメラを振り回しやすい」という利点や、ファインダー外に全く目が行かなくなる、という弊害からちょっと逃れられるかも、ですね。

当然(手)ぶれはしやすくなりますし、「これでコンデジからの移行がスムースに」なんて思わないほうがいいかと思います。そもそも被写界深度が全く違いますから。

【ゆ】

ま、害にならないなら上記の特殊な状況で使えるわけだから、あっていいですね。

ニコノス風の撮影も乱暴で素敵な写真も撮れるんじゃないかな、

【こ】

イルカの撮影なんかにはもってこいかもしれないですね。

センサーのごみ対策がとうとうされました。超音波における物理的な除去と、ソフト上での対策です。前者はオリンパスが、後者はニコンなどがすでに実用化していましたから、いまさらという感じがしますし、レンズ交換が少なく比較的いい環境で交換ができる水中撮影の場合は、大きなメリットとは言えないでしょう。

【ゆ】

ま、これもないよりあったほうがいいです。今の所あんまりホコリが目立つのないけど。

15,000枚撮ってそれほど問題なく感じてます。

【こ】

もともとゴミ・浮遊物が多い環境で撮っていますから気付きにくいんですよね。ある日突然気がついて、全てに写り込んでいるのに愕然としますよ・・・もちろん体験談ですが(笑)。

最後のファインダー倍率のアップとスクリーンの交換が可能に、というところですが、ヘビーユーザーにとっては一番気になるかもです。

ファインダー倍率は0.9→0.95と僅かですし、ハウジンク側の改善が最近は大きいですけど、ピントの山のつかみやすい「スーパープレジジョンマット」が使えるようになったのはマクロ撮影には大きな武器かも、です。まぁ、ファインダーが暗くなってしまう弊害も同時にありますが。

【ゆ】

このマット、僕には暗くなるのでむきませんでした。水中では。

5Dの話ですが、確かにピント山はつかみやすい。若干。昔のカメラは暗くてつかみやすかったので、人によるので、安いし個人で試す価値はありますね。

【こ】

あと細かなところでは、内部処理が12bitから14bitになっています。RAWで撮れば14bitで現像ソフト(一般的に16bit処理)に渡すことができ、階調の再現では有利になりますね。

そして「高輝度側・階調優先機能」というのが付いています。今までの「暗部の階調は豊富だったが、ハイライト域は足りない」という状況を改善するもので、これ、意図通りにちゃんと働いてくれれば、ワイドにおいてかなり状況が変わってくるかもしれません・・・

実際使ってみないとわからないですが。

【ゆ】

そうだね。その部分は進化してほしい所ですもんね。

【こ】

どの程度の効果があるのかは、使ってみないとわからないですが・・・。

残念ながらボディは幅が15mmほど大きくなっているので、ハウジングは流用はムリでしょうね(15mmではなく1.5mmの間違いです。次号にてこの部分もう一度取り上げます。2007.9.4)

今のところイノン、アンティス、S&SともD40に関してはなんの情報も公開されてないようです。

【ゆ】

つらいっす・・・

とりあえず買い替えるつもりないですが、上に書いた図鑑で、デジタルがどの程度のもんか試します。

1番の感心は失敗撮影のデータがどうなるか、1段アンダーで自分で手を入れたものとか、多分平気でしょう。見開きじゃないから、で、撮影がいいかげんになるではないか!という批判もありますが、なんか攻められるのがデジタルかな。

数は撮れるし、失敗覚悟で攻められるから、結果的によりいいものになっていく気がしてます。余談ばかりですいません。

【こ】

商業印刷の場合、印刷オペレーターの手も入りますから、「言われてわかる」から「言われてもわからない」レベルに収まると思いますよ。

数を撮ると1枚1枚がいいかげんになる、というのはちょっと短絡的ですよね。そういう部分があることもわかりますが、要は撮る人の気持ちの持ちようですし。

【ゆ】

まとめ

ま〜実際問題として、買い替える人は少ないだろうけど、速すぎる進化なので追いかけててもしょうがない。

うちは、だいたいデジタル用に変わったレンズは新しくしましたけど。イノンの240Zを30DのハウジングでTTLでとってみたのですが、結果がかなりいいので、来月書こうかな。

キャノンだとETTL-2になるわけで、精度がいいのにびっくり。俺と同じぐらいの精度カナ、ハハ

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