南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

シーズンが終わって

僕が主幹しているペリリューステーションの今期の営業が終わった。大きなトラブルもなく無事に終わることができで、ほっと安堵している。2期目にあたる今期のペリステには大きく3つの課題を持って挑んだ。1つは営業に関わる内容で、後の2つは直接的に自分達のガイドに関わること。もちろん3つとも大事だが、1つ目はここに書いても大して楽しくない話題なので割愛しよう。後の2つは「ペリリューという場所の認知度を上げる」ことと、「この海の更なる可能性の模索」ということ。これを僕はシーズン前にペリステに課していた。

今期もたくさんのゲストがペリリュー島を訪れてくれた。リピーターゲストが多いかと思っていたら意外とそうでもなく、ペリリュー初めて方や、中にはパラオが初めてなんて方もいて面白かった。中でも多くの友人、知人が訪れてくれたことは僕にとって嬉しい事だった。前期と大きく変わったところに、複数の媒体から取材を受けることができたこともある。まだ2期目ということで、目新しさもあるのだろう。知名度の低いペリステとしてはこれはありがたいことだった。そんな中で、この豪海に肩を並べている肇や八木ちゃん、親分の雄輔さんが来てくれたことは嬉しい誤算、いや、とてもウェルカムな出来事だった。

2006年末から太平洋でエルニーニョが起き始めて、その影響か、ここペリリューでも水温上昇が見られた。現在収束したといわれているが、この原稿を書いている2007年5月末の段階でペリリューエクスプレスの水面で31度も水温がある。あり得ない水温だと思う。この水温のせいなのか断定はできないが今年は流れが弱いことが多かった。そのためペリリューの最難所といわれるペリリューコーナー、エクスプレスでは心地よい流れの中でダイビングできることが多かった。難所と言われながらも今期だけは別だったようだ。訪れた人はずいぶんと良い思いをされたのではないかと思う。

以前は1発ギャンブルで「居るか居ないか」と言われていたロウニンアジの群れ。これも莫大な窒素の蓄積と、毎日のダイビングデータによってある程度定番とすることができるようになった。これは今期のペリステの大きな成果だと自負している。後半は大型のサメとの遭遇もかなりの確立で上がった。ブルシャーク、ハビレ、クロトガリザメなどどれも通常のダイビング域では会えないサメ達だ。もちろん一発限りならシュモクザメやジンベエザメ、イタチザメなどもあるのだが、一発限りなら誰でも狙える。僕はあえて訪れてくれるゲスト皆が見られる可能性を上げることの方を重用視した。

今まで「一発ギャンブル」「All or Nothing」と言われていたペリリューの海。確かに何が出てくるか分からない面白さは大切だ。でもそれだけでは弱い。この海にどこにも負けない「定番」を作りたかった。それを探すという意味でも今期は良いダイビングができたと思っている。

このシーズンも無事に終わることができた。皆にお礼を言いたい。来て頂いた全てのゲストの皆さん。そして激励と話題、そしてチャンスを持って駆けつけてくれた知人、友人の皆さん。最後に毎日安全に潜らせてくれたペリリューの海。感謝をしてもしきれないのだが、その思いを持って僕らは来期に望みたいと思っている。厳しく、激しく、そして最高にエキサイティングなここの海に。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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