ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

徹底比較:ノーマル vs アブノーマル

皆さん寒い日が続いちゃってますが如何お過ごしですか?朝起きるのツライですよね〜、夜明け前のまだ暗いうちから準備してダイビングに出かけよう、なんて気にはなかなかなれないかもしれませんが、勇気を奮い起こして来ちゃえばこっちのもんですよ〜。この時期は海は穏やかで透明度イイですし、ダン・ゴウオやスナビ・クニンなど噂の寒流スター、各種サメ類、深海からの来訪者などが登場する季節です。

さて今月の御題ですが下の写真をよく御覧下さい。昨年の暮れに見つけ黄色い体色からスミレナガハナダイの幼魚だと思い込んで当店のサイトでもその様に紹介しましたが、その後魚類分類学者の先生に問い合わせたところなんとキンギョハナダイの黄化個体でしょうとの御返事を頂きました。

キンギョハナダイといえば伊豆などの温帯海域から沖縄や海外のサンゴ礁域(果ては紅海)まで生息する大変分布の広い魚で、地域によって色彩が少しづつ違うというのは知っていました。しかし同じ場所でこんな色違いがいるとは恥ずかしながら思いも寄りませんでした。

「もしかして」「まさかな〜」と思い豪海クラブのバックナンバーを調べてみたら・・・なんと出てました!2005年12月号の八丈島・水谷さんの「ハンディキャップ」というタイトルのコラムに。豪海バックナンバー恐るべし、というか「ちゃんとチェックしとけよオッサン(=私)!」って感じですね。

水谷さんのが写真もコラムも素晴しい内容なのでテーマ変えようかと思いましたが、同じ素材でもアプローチを変えればそれはそれでまた面白いかな〜と思い直し、両者を徹底的に比較してみることにしました。専門的に見ると他にも両者の共通点やスミレナガハナダイとの相違点があるのでしょうが、あくまで見た目の判りやすい部分に絞って比較してみます。

と言うことでこちらがノーマルのキンギョハナダイです。尾鰭の一部が隠れていたり背鰭が寝てたりしてますが、ちょうど同じ様なアングルなので比較するには好都合です。

色の違いは歴然ですが全体的な体型や各鰭の長さの比率などは概ね一致すると言っていいでしょう。更に体の各部分を切り取って並べて比較してみました。左(または上)が普通のキンギョハナダイ、右(または下)が黄化個体です。まずは顔からいってみましょう。

眼の色は両者とも緑色っぽくほぼ同じですが、ノーマルにはある眼の上のピンク色の部分が黄化個体ではほとんど確認出来ません。眼の下から胸鰭の付け根にかけてのラインは同じ様にありますね。次は背鰭です。

軟条部分の先端が赤味を帯びているところは両者とも共通しています。ノーマルの方の背鰭が寝てますが立てればおそらく同じ様な形だろうと想像出来ます。続いて臀鰭です。

縁が青味がかっています。ノーマルの方は青というか薄紫に近いですが色の微妙な違いを抜きにすれば、色の入っている部分や鰭自体の大きさ・形などはほぼ同じと言っていいでしょう。最後は尾鰭です。

臀鰭と同様に多少の色の違いはあるものの鰭の上縁に色が入っています。こうやって比較してみると色の違いはあるものの、各部分の形や色の入っている箇所などには大きな違いは見当たりませんでした。

今回キンギョハナダイのようなごく普通にいる魚の中にもこれほど色の違う個体がいるのをあらためて知り、「普通種をなめてかかったらイカン!」ということを思い知らされました。

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では引き続きまして「今月の一枚」のコーナーにいきましょう(そんなコーナーいつから出来たの?しかもゆうすけさんのがトップページにあるし)。じゃじゃ〜ん!先月の末に遭遇したマンボウです。出遭っただけで霊験あらたかな気分になれる、不思議な魅力を持った魚です。


横田
横田 雅臣

1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身

ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。

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