ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

三保にオジャマしてきました

皆さんこんにちは。掲示板にもお知らせがありましたが11月25日(土)に行われました「三保水中生物研究会第6回講演会」にゲスト講演者として行って参りましたので、(講演者が自分でレポートするのもヘンですが)感想などを綴ってみたいと思います。ホントは講演前に掲示板に予告編というかさわりだけでもご案内したかったのですが、何せ私・横田はこういうことの準備が結局ギリギリまで掛かってしまう(時間はタップリ過ぎる程頂いていました)という特異体質を持っておりましてプレゼンが前日にようやく出来上がったという次第で、事後のレポートという形になってしまったことをお許しください。

当日のお天気は快晴で空気はきれいに澄んでいて、朝私用で車で出かけた時に珍しく真っ白に雪を被った富士山が見えました。そう言えば前日の晩に鉄さんから「講演前に三保で潜りません?」と言われかなりその気になりながら迷っていたのですが「三保から見る富士山はまた格別だろうな〜」と思い、ちょっと早めに出発して午後のダイビングに参加することにしました。

約2時間電車に揺られ駅に着くとお迎えの車が・・・中から出てきたのは学生時代からの知り合いであるスタッフのTさんでした。「お互い長いね〜」などと昔話をしながらお店に到着すると大勢のゲストで大盛況。みんなボクの講演を聴きに来てくれたんだ〜などと自惚れたことはこれっぽっちも思わず大人しくしているとなんと川奈の八木さんと遭遇。もちろんお客様とダイビングにいらしたのですが講演も聴いてくださるとのこと、他のゲストの方からも「講演楽しみにしてます」と声を掛けられ、嬉しい気分になりながら間もなく出発の時間になりました。

車で10分ほど走って真崎海岸に着くと目の前が富士山という絶景、普段潜っている海洋公園とはかなり環境が違うであろう水中に期待を胸を膨らませながらエントリーすると黒っぽい砂地にシロアザミヤギの群生の中にアオヤガラが「う〜ん、なかなか美しい光景だ」と感心しながら鉄さんに付いて進むと、エダアザミというソフトコーラルの卵が透けて見えるのとか、色んな種類のキサンゴの仲間、実は日本で真面目に見たのは多分これが初めてというアカオビハナダイなどを詳しい解説付きで見せてもらいながら浅場に移動しつつ、後半はヤドカリ探しに没頭しました。

重そうな古タイヤをひっくり返してもらったりしながら探したのですが残念ながら見つからず、でもこれはこれで何故見つからなかったかを考えるいいきっかけになりました。ボク的には海洋公園では同じ場所で見られることはまず考えられないマダコとスナダコがすぐ近くの巣穴でほぼ同時に見られたのが新鮮な驚きでした。写真は浅場でのヤドカリ捜索の副産物であるベラギンポとコケギンポの顔です。

夕方はいよいよ講演です。会場は清水駅のすぐ近くにある清水テルサという立派なところでした。いやが上にも緊張は高まってきます。徐々に人が集まってきますが、昼間アイアンでお会いしたダイバーの皆さん(八木さん含む)達のほかにおそらくお近くにお住まいと思われる御年配の女性やお子さん連れのお母さん、聴く気満々で最前列に陣取る学生さん風情の若者達(多分近くにある東海大学海洋学部の学生さんでしょう)などもいらっしゃいます。こうやって自分がほとんど初めて訪れる町の方達とふれ合えるというのはナンカいいですね〜。

やがて開演の時間になり鉄さんの進行で会が進みます。まずは「三保水中生物研究会」の会長である鉄芳松さん(鉄さんのお父上)の開会のご挨拶、ボクにとってはダイビング業界の大先輩である方に仮にも「先生」などと呼ばれ大いにてれました。そして会の事務局長である鉄さんによる第一部が始まります。定点観測というテーマに沿ってフィールドである三保の生物達がスライドで紹介されます。トビヌメリの産卵、サビハゼやクツワハゼが卵を守る様子、昼間見せていただいたエダアザミの卵、近くの興津川のアユの産卵などいずれも腰を据えてじっくり粘らないとものに出来ないテーマばかりです。

続いてのビデオ上映は幻想的な雰囲気で始まりました。特にスライドで解説のあったトビヌメリの産卵は、ペアリングから産卵のフィニッシュまでを1カットで撮りきるという労作でした。こういう映像の価値というか撮影に至るまでのリサーチを含めた時間と労力の掛け方というのは、一般の人にはあまり判らないものですが、見る人が見ると判るんですよね〜。

第一部が無事終了し、休憩を挟んで第二部が始まりました。伊豆海洋公園のヤドカリ達を紹介しながら種類によって好みの環境が様々であることを他の場所との比較を交えてお話し、ヤドカリが環境を読み解く手掛かりとして有効なのではないか、みたいなお話をさせていただきました。講演後に多くの方からご質問を受けたり感想を頂いたりし、参加者の皆さんの意欲を強く感じました。

では最後に参加者のお一人から「ボクこれ気に入りました、名前覚えて帰ります」と言われたフルセゼブラヤドカリをご紹介して報告を締めたいと思います。

最後にこのような機会を作って頂いた鉄さんはじめダイバーズプロ・アイアンの皆様、聴きにいらして下さった皆様、本当にありがとうございました。


横田
横田 雅臣

1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身

ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。

伊豆半島・伊豆海洋公園

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