ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

岩の下の住人達

皆さんこんにちは、この冬は寒いですね〜。日本海側では観測史上あまり例の無いほどの大雪に見舞われ、多くの方が被害に遭われたり現在も不便な生活を強いられているのを報道で知るたびに心が痛みます。以前島根県の出雲というところに従姉を訪ねて行った時に、関東の人間にとって中国地方というと九州の少し手前というイメージがあり、日本海側といえども少なくとも関東よりは温暖だろうと思っていたのですが、思いのほか雪深いのでビックリしたことが有ります。

さて話変わりまして今月の御題ですが、海底に転がっている岩をめくった下に棲んでいる生物をいくつかご紹介しましょう。この時期の海は透明度が良く西よりの風のお陰で特に東伊豆は海況が穏やかな日が多くなります。ただ如何せん水温が下がるので生物は正直なところだいぶ少なくなってしまいます。そんな時に有効なのがこの「岩めくり」です。海洋公園にはエントリーしてすぐのところにオクリダシと呼ばれている水深5m前後の入江があり、ダイバーは安全停止もかねて必ずと言っていいほど立ち寄ります。ここにちょうど人が片手で持ち上げられるほどの岩がゴロゴロ転がっているのですが、この岩の下がなかなかどうして侮れなくてこれまでも数々の掘り出し物を見つけたことがあります。今回はその中から最近見つけたものを3つ選んでご紹介しますが、この他にもまだまだ色々いますのでいつかまた同じテーマで第2弾・第3弾をやろうと思っています。

ウスハオウギガニ:甲が扇子を開いたような形をしているオウギガニの仲間には数多くの種類がいて、オクリダシでも種類数・個体数ともに多く見られます。これはその中でも甲の模様が綺麗でお気に入りの種類です。模様は個体によって微妙に違っていて色んなバリエーションを探すのも楽しいですよ。

ヤマトホンヤドカリ:岩の下はある意味ヤドカリの宝庫でこれまでにも伊豆では珍しいサンゴヤドカリ類の多くをオクリダシで見つけています。このヤドカリは浅場の転石下の代表的な種類で沢山います。ホンヤドカリ科の中では大きめであまり臆病ではないので観察・撮影には適しているでしょう。

オキナワハゼ属の1種:これはやや深い方の転石下で見つけたのですが掘り出し物中の掘り出し物ですね。ハゼ図鑑で見たことがあり「南の島に行ったら見てみたいな〜」と思っていたものが伊豆に出ちゃったんですからそれは驚きました。でも小さい上にすばしっこくて撮るのに苦労しました。

最後に皆さんにお願いします。岩をひっくり返して探したあとはそのままにせずに、必ずもとの状態に戻しておいて下さいね。岩の裏側の表面に付いているカイメンやコケムシなどの付着生物が生活出来なくなってしまいますから。


横田
横田 雅臣

1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身

ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。

伊豆半島・伊豆海洋公園

ダイビングサービス
GO TO THE SEA

〒413-0231
静岡県伊東市富戸912-29
Tel/Fax:0557-51-7878

www.gotothesea.sakura.ne.jp

携帯サイト:
katy.jp/gotothesea
QR