ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヤドカリに夢中 2

皆さんこんにちは、いかがお過ごしですか? 私は先日の春一番以来お鼻が大変な事になっていまして、今も膝の上にティッシュの箱を抱えパソコンの周りにかんだティッシュを散らかしながら原稿書いてます。なんてのっけから汚い話でゴメンナサイ。

さて今月のテーマは、昨年の12月号にも登場したヤドカリです。以前チラッと触れました伊豆海洋公園のヤドカリ調査ですが、昨年10月の本調査の後に私が単独で追加調査を行うという形で現在も続いていまして、やればやるほどヤドカリ道の奥深さにとりつかれ、最近は寝ても覚めても、もちろん潜ってもヤドカリのことが頭から離れないという毎日を送っております。

そしてこの魅力を出来るだけ多くの方にお伝えしたくて、ご来店のゲストの皆さんをヤドカリ責めにするだけでは飽き足らず、どこに行くにも自作のヤドカリ・ファイルを持ち歩き、ある時は株式会社ヤドカリ・コーポレーションの営業マン、ある時は国立ヤドカリ研究所の研究員、ある時はNPO法人・ヤドカリ友の会の事務局長として、日夜ヤドカリ普及活動に精を出しているという訳です。ちなみに他にもヤドカリ民主主義共和国の駐日大使館員、ヤドカリ問題専門の弁護士、ヤドカリダンス教室のインストラクターなどの肩書きも持っております(言うまでもありませんがフィクションですので団体名等は架空のものです)。

ところで皆さんヤドカリってどんなイメージをお持ちですか? 浅いところにゴロゴロいるのはわかっているけどすぐに貝殻の中に隠れちゃうし、図鑑で調べてもイマイチよくわからないのでとりあえずパスかな〜なんて思っている方が多分多いんでしょうね。確かに同じ甲殻類でも、例えばカクレエビ類のようなうっとりする様な美しさやカニ類の護身術の多才・多芸ぶりに比べたら見劣りするかもしれませんが、これまであまり注目されていなかったぶんあらためてじっくり眺めてみると意外にキレイだったりしぐさが面白かったりします。一度騙されたと思って安全停止中の浅場で貝殻ひっくり返してみましょう。うまくすれば5〜6種類は見つけられると思いますよ。

しかしながらダイバーが潜って普通に見られる種類の中にも図鑑に載っていないものがあるのも否めない事実です。これは特に伊豆などの温帯海域のヤドカリ類が数十年前に研究されて以来、最近まであまり手が付けられていなかったことや、当時の研究対象が磯で採集される潮間帯のものやさし網などに引っ掛かる深場のものに限られていたことなどの理由があるのですが、このところ続々とこれらのヤドカリの分類が整理されたり新たに和名が付けられたりしています。今回はこれらの中からホンヤドカリ科ホンヤドカリ属の2種類をご紹介しましょう。


ホシゾラホンヤドカリ

これまでケアシホンヤドカリと混同されていた種で、1996年に別種である事がわかり新種として記載されました。第一触角(目と目の間の短い触角)第二触角(目の外側の長い触角)がともに鮮やかな赤であることはケアシと共通なのですが、体色はケアシが薄い緑褐色に黒い斑点模様であるのに対し、こちらは濃い緑褐色に薄いブルーの斑点である事が大きな違いです。和名のホシゾラはこの模様に因んだものですが、なんとこの名前、昨年の12月に付いたばかりのホヤホヤです。


アオヒゲヒラホンヤドカリ

こちらもホシゾラと同じく昨年の12月に和名が付けられた種で、2001年に新種として記載されました。第一触角に青が入ることとホンヤドカリ属の中では特別に体が平べったいことからこの名が付けられました。伊豆海洋公園では5〜20m程度のちょうどダイバーが潜る水深にたくさん見られます。小型種が多いホンヤドカリの仲間の中でも小さい方(1cm程度)ですので観察にはルーペが必要かもしれません。触角の青が見えたときには感動ですよ。


横田
横田 雅臣

1961年11月生まれ
神奈川県横浜市出身

ダイビングとの出会いは学生時代。在学中に伊豆海洋公園ダイビングセンターにアルバイトに来たのがきっかけで卒業後同センターに就職、インストラクター・ガイドとして10年の勤務の後、1994年に独立しGO TO THE SEAを開業、現在に至る。

伊豆半島・伊豆海洋公園

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