ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第二話 トライ&エラー(中後編)

ところが、いくら海が好きでも、人が好きでも、生物が好きでも、悲しいかな?適正というものがあります。

どんな職業にも向き不向きがあるように、ガイドの世界にも「なる人」と「なれない人」がいます。よく、カメラマンの世界で聞く、一体どこをもってして「プロカメラマン」なのか?という有名な話しに通ずるものがあります。プロの方々は言います。「宣言」した時点で、プロなのだと。しかし、プロフェッショナルの解釈として、専門的にその業を行う人と言う意味合いと、その業を生業とする...つまり、それで生計を立てる事ができると言う考え方があります。

昔の芸術家はパトロンに養ってもらう事で、生活を成り立たせていた経緯があるので、自分の作品が売れようと売れまいと、それはそれで良いのだ!とおっしゃる方もいます。写真にしても、音楽にしても、絵画にしても、ある種の生産を伴っているから、作品が生み出される事で、一つのクリエーターとしての成立が考えられますが、ガイドは自分が潜っただけでは、何も生み出す事はありません。どんな有名な指揮者がオーケストラを伴わずにタクトを振っても、最終的な目的の達成ではない事に似ています。しかしその行為が経験という、ある種の「プラクティス」であれば、必要性があります。

演奏者のいない指揮者のベクトルは、本番を完璧に近づける為の尊いシュミレーションであり、イマジネーションを伴うことで、更に高みを目指しているのであれば、単にタクトは空を切っている訳ではないのです。非生産的自己探求の為のダイビング(つまりガイドの勝手潜り)が、次の成功の為のものであるのならば、単にタンクの空気を放出しているだけの行為ではなくなります。(笑)もしも、そう言ったトレーニングを積んでいる人が居るのなら、近い将来プロのガイドとして脚光を浴びるかも知れません。

画像は、あまり文章と関係がありませんが、前号と同じ場所で撮影したアンギラのカットです。前号は、順光でビーチで犬と遊ぶ白人の女の子でしたが、今回は逆光で撮影した桟橋で遊ぶ現地の子たちです。光と影とまでは言いませんが、ほんの90度の振れ角で、ここまで景色が変化してしまう恐さは、ベクトルの方向の違いの恐さに似たモノを感じます。これは、当時フイルムで撮影したものなので、同じスリーブにこのカットを見つけた時、そう感じたのでスキャンしました。


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

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