ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第十一話 青い曲がり角(中編)

さて、ダイビングの話題に移る過程で、今回の目的を確認しておきましょう。

僕は、ダイビングの旅に出る際、必ずある種のテーマを持って行きます。そんなものは、誰でも持っているでしょ?と思われるかも知れませんが、単なる願望や欲望の域を超えた「イマジネーション」と言ってもよいものです。

願望や欲望の範疇においては、その対象は「言葉」の領域を出ていません。「サ・メ」や「バ・ラ・ク・ー・ダ」のように文字の世界観にとどまります。んなら、君のテーマとは・・・?と思いますよねぇ。より具体的に、遭遇すると考えられるポイントの背景(状況)を加味した形で想像するのです。つまり、このような環境下で、この生き物は「こう出てくる」というような、ある種の思い込みです。(笑)

これは実際、自分のフィールドで行っている方法で、ガイドの組み立てをする際の「イメトレ」とも言えます。そのイメトレを、自分の旅行先にも適応するのが、テーマを超えたある種の必然性を伴った「創造」に他ならないのですけどね。しかし、僕はこの方法で、幾多の未記載種や新種と出逢っています。自分が、可能性を見いだせないモノは、結局は「無いものネダりに過ぎません」。明確なイメージやそのイメージに向かうプロセスを反芻することで、その領域に到達するのだと思っています。

「考え過ぎだよぉ」って言われる事もありますが、強い信念が対象物の輪郭を伴う事で、具現化する行程を幾つも見て来ていますので、これは重要を超えて必然のエリアの話しだと思っています。そしてこの感覚は、アスリートの世界では、当たり前のことなのです。相違点は、自分のイメージに自分自身を重ね合わすか、自然環境を重ねてしまうかですけど・・・。

自然環境すら重ねてしまう、ガイドのイマジネーションは、海環境とのシンクロシティと言えるのではないでしょうか?(笑)


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
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