ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第十話 3度目のカリブ(後編)

初めてカリブに訪れたコズメルでもこのボネールでも、ビーチエントリーが出来た事は、すべからくビーチに慣れ親しんでいる自分にとって、外国で旧知の友人に遭ったような感覚になり、大変リラックスしたダイビングが楽しめました。

案内人無しに次々と捲る秘密の青いベールは、刺激を通り越して官能的ですらありました。そしてこの地には、極親しい友人たちと近い将来、来てみたいと思わせる要素が多分にありました。その時は、ABCの全島制覇をしてみたいものです。

この島が、僕にとって凄く印象深いのは、何もダイビングが快適だっただけではありません。ダイビング人生で、初めてダイビング以外のアクティビティをしたのが、ボネールだったからなのです。それまでは、ダイビングを楽しむ事しか余裕がなく、他の遊びをする事を、ある意味恐れてすらいました。一種の病気みたいなもので、今考えれば他のマリンスポーツをすることは、ダイビングに対する裏切りと思うほど、ダイビングに固執していたのだと思います。

初めて、トライしたシーカヤックは、海というフィールドを一方的な偏見で縛っていた自分の殻を砕く良いキッカケとなりました。仰ぎ見る青さに酔っていた自分の、何と卑小なこと...。

多角的に海を評価するには、あまりに平面的だったと、マングローブの中をパドルでかき分けながら、種に擬態する10cmほどのバラクーダの幼魚やマングローブで羽を休めるペリカンを見ながら悟りました。青が海へ光の透過によって起こる現象だけではなく、透過と反射によって多彩な変化をもたらすものだと教えてくれた海が3度目に訪れたカリブの海、ボネールなのでした。

次回、新年2回目は...
シーズン真っ盛り!突入のパラオ編がスタートします。

本年もまた、新たな展開にご期待下さい。


鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

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