ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第九話 それでも、僕らは生きてゆく

海の生物達のかかわり合いの中にも「共生」ってありますよね?で、人間と地球とのかかわり合いをこの「共生」に例える説もあります。地球って言ってしまうと、あまりにも規模が大きすぎて曖昧になってしまうので「海」に置き換えた方が限定されて分かり易いかも知れませんね?

では、海と人間は果たして「共生」に適っているのでしょうか。偏利共生と言う一方だけが利益を得ている共生の方法(仕方)がありますが、これは本来的に「共生」ではないのではないでしょうか?(ややこしい表現だな?)

寄生という言葉を当てはめたくないために、逃げ口上として用いられているケースが多くみられます。例えば、人間は海に寄生していると聞くと、ちょっと嫌な感じがします。依存している...これも同じ生き物として、主体性の見えない表現であります。ズバッと!一緒に生きているって言えない時に「偏利共生」って言葉が便利に使われていますねぇ。「え?共存共栄しているんじゃないの?」って思った人...いらっしゃいますか?仮にいたとしても、極少数の方々だと思います。何故ゆえ「偏利共生」なのでしょうか?簡単です。人間は、海から施しを受けることはあっても、恩恵を与えることは無いからです。一見、海に対してケアしているように感じる行為は、すべてリターンを得るがためのものか、あるいは空いた穴を修復するためのものでしかありません。具体例は割愛しますが、思い当たる恩恵行為が見あたら無くて、情けなくなってしまいます。(泣)

しかし、直立護岸だろうが、海岸浸食対策工事だろうが、海の生物達は力強く生きている。中でも「つ、つえぇえ!」って一番感じたのは、海岸浸食の代表的な工事とされている「ヘッドランド」の張り石の下にカマキリ(アユカケとも言う)が産卵していたことです。淡水魚であるカマキリが、河口から20kmも離れたこの場所で産卵して、しかも卵は無事ハッチアウトして、更に春には真崎の海岸に稚魚が溢れかえっている様は、何とも感動的なシーンでした。細かいメカニズムは省略しちゃいますけど、ヘッドランドのお陰じゃん!って思ったらアキまへんでぇ。特に!期待どころか、存在すら知りもせずに設計して、結果論の超!後付けで...「共生」ですね?なぁんて言おうと思っている人は、棺桶の中までその言葉を持って行って下さい。そんな人は、この文章を読んでいないと思いますけどね。いつまでも生き物の「逞しさ」に寄りかかってばかりでは恥ずかしいですよ。(汗)


海へ降りる前のカマキリ 9cm

鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

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