ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

第六話 デジカメ

あっ!前号からの悪ノリだ!?と思った方、正解です。

別メニューでも書いています(あの場合は、会話している?)が、最近ダイビングに限らず、デジタルカメラの話題は尽きません。一番の理由は、コンパクトだと言うことと「撮り直しがキク!&余分な画像は捨てる!」ではないでしょうか? また、携帯電話世代やそれを内在してしまった世代にとっては、付属するデジカメが使用の助長をしているのでしょうね。

さて、この話しが何処をどうやったら「天女の舞降りた海」に繋がるのでしょうか? いささか自信が無くなってきました。(苦笑)けど、オチに向かって突き進みます。(何か、主旨が違うような?)

デジタルで撮るメリットとして、撮り直しがキク!あるいは、撮った画像を簡単に捨てることができると言うことは先に挙げました。水中で画像を確認して、ストロボが上手く当たっていなければ、角度を調整して撮り直し、ストロボ光が強ければ、光を一段落とすか、カメラの絞りを調整して納得のいく写真が撮れます。失敗した画像は捨ててしまいますから、ある意味で「失敗がありません!」非常に便利です。

そして...またしてもここで「ふ」と思ってしまうのです。松にかけられた羽衣を盗り、更にそれを盾にとって(あるいは天に帰れないので結果的に)天女を妻とすることができたはずの三保村に住む漁師の伯梁(一説には白龍)は、アナログ(銀塩)な人間だったのではないか?です。

もちろん、デジタルなんぞは遠い未来のこの時代ですから、アナログ上等!何が悪いんじゃ!?って言われちゃいますが、もしも彼が羽衣でなく天女に執着していたのならば、天女は二度と天に戻らなかった...戻れなかったでしょう。それは、下界の男に魅了されると言う天女側の話しではなく、男が戻れなくするための手段(つまり羽衣を抹消する)を講じれば良かったのです。

ところが、伯梁はよりによって天女よりも羽衣に心を奪われていたのでした。それ故、捨る訳がありませんでした。しかし、全部を捨てないまでも、天女が帰れない程度に捨てておけば...。この後悔は、徹底的なチャンスに“Full”になったメディアを抱えたデジカメダイバーの心境に似ています。捨てる勇気と機転は、デジカメダイバーと漁師伯梁になくてはならない物だったのかも知れません。(ふぅ、やっと繋がったぜ!)

ここ三保の松原に限らず「羽衣伝説」は各地にありますが、唯一天女ではなく羽衣に心を奪われた変わり者?は三保の伯梁だけだったそうです。えっ?三保に降りた天女は大したこと無かったんじゃないのって?

何をおっしゃいます!民俗学的伝承において、天女が登場する場合は往々にして、表現に窮するほどの美女の例えとして使われます。つまり「この世のものとは思えない」って表現です。だから、伝承に登場する下界の男の誰しもが、天女を引留める手段として、羽衣を離さないのです。しかし、何故に伯梁だけは...。羽衣の伝説は現代に至っても人々の興味も離さないのでした。あれ?海の中の話しは...。(笑)


空雀鯛幼魚2cm弱 デジカメで連写すれば、こんな小さな被写体でもピントが合います。
BY 下手な鉄砲

鉄
鉄 多加志

1965年生まれ
清水出身

生まれ育った環境が、都市部?の港湾地域に近く、マッドな環境には滅法強く、泥地に生息する生物を中心に指標軸が組み立てられている(笑)この業界では、数少ない芸術系の大学出身で写真やビデオによって、生物の同定や生態観察を行う。

通称「視界不良の魔術師」
静岡・三保

ダイバーズ・プロ
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