八ック謎ナゾ生命体 豪海倶楽部  

初めの一歩

私が八丈に初めて来たのは、ちょうど西暦2000年でした。今年が2009年ですから、八丈に来て丸9年。ついに10年目に突入です。

八丈へ来る前は、いつも東伊豆のIOPで遊んでいました。まだそれほどカメラが普及していなくて、値段も高いし、死ぬほど重たくてかさばっていました。今のように整備されていなかったゴロタのエントリー・エキジットのことを考えると、手ぶらが一番。泳ぎ回っているのが一番楽しかったのですが、「貸してあげるから、たまにはダイビングスタイル変えたら?」と言われ、無理矢理持たされたのがニコンのF4。もちろん、モードもフォーカスも全てオート。被写体は何かのカエルアンコウ。私は構えてシャッター押すだけ。わーい!多分、撮れたよ、で終わり。うーん…別に面白くないよ…、って感じでした。その時はフィルムでしたから、撮った写真を見られるのは数日後でした。

それが八丈へ来てから、ガイドやるんだったら、ある程度写真も撮れないとダメでしょ?と言われ、本音では面倒くさいなあと思いながら、またカメラと向き合うことになったのです。デジカメだったら、例えば絞り値を変えたらどうなるか、なんて言うのは撮ってみればすぐにわかります。絞り値はそのままでシャッタースピードを変えたらどうなるか、というのも、考えるよりまず撮って比べてみれば良いのです。ところがフィルムだと、そうはいきません。数日間の間が入りますから、まず撮る時に「一枚目は絞りが○○、シャッタースピードが○○、二枚目は絞りが…」とメモをしながら撮影し、現像が終わったフィルムが返って来たときに、そのメモと照らし合わせながら見て「なるほど…こんな風に変わるのか」と確認しなくてはならないのです。そんなことを水中撮影で練習していたら、36枚の中で、いつまで経っても気に入った写真が残らず、現像代ばかりが嵩んで頭にきます。

だったら、まず陸上で何か撮ってみれば?と、近所の方が連れ出してくれた先が「馬路」でした。「馬路」には、その昔流人が積み上げて作ったとされる玉石垣が残る小道です。ところどころ、海と八丈小島の姿が見え隠れ。

古民家を保存した「ふるさと村」と、「民族資料館」を結ぶ徒歩15分程度の道のり。道の両側には古い民家、途中、お墓がたくさん並んでいて、まるでお墓街道です。私が八丈へ来たばかりの頃には、もう少し風情があったのですが、今では新築の家が建ち、お墓の周りの石垣や墓石がところどころ新しく建て変えられてしまいました。

ここで私の最初の練習台になってくれたのがお地蔵さんたち。

古いお墓の中に立つ、古いお地蔵さん。

それぞれ独特の表情があって、撮り方によってもずいぶんと変化します。

中には、まるでマリア様像のように見えるお地蔵さんもいました。

お供えの花と、周りを取り囲むように咲くイズノシマダイモンジソウ。

ここだけでなく、島内のどこのお墓を見ても、みんなよく手入れが行き届き、お供えの花を欠くことがないようです。

あまりにも古くて、お顔が欠けてしまったのでしょうか。セメントで丸く整形され、落書きのような顔が彫られているお地蔵さんも。これはこれで、親近感の湧くたたずまい。

約10年の間に開発が進んでずいぶんと変わってしまいましたが、ここが私の初めの1歩だったわけです。そう言えばフィルムでは撮ったことがあるけど、カメラをデジタルに変えてからは撮ったことがなかったなあと思うものがたくさんあります。お地蔵さんもその一つでした。もう一度初めから全部撮りなおしてみても、以前とは全く違った写真が撮れそうです。

10年目を迎えたら、振り出しに戻ってみても良いかなぁ。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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