八ック謎ナゾ生命体 豪海倶楽部  

冬の虫、夏のキノコ

皆さんの家にカメラはありますか? 値段も手ごろだし、サイズも小さいし、お洒落なものが出回っているから、ごく普通の家庭にも1台どころか何台もあるかも知れませんね。じゃあ、皆さんの家に防湿庫はあるでしょうか?

どんなにカメラが普及しても、防湿庫まで持っている家は少ないんじゃないかと思います。実際、一眼レフを持っているフォト派のゲストからも、カメラは本棚の中にしまってありますだとか、ハウジングの入れっぱなし、なんて話を伺います。

例えば、住まいが東京都区内や近郊だったら、防湿庫なんて無くても良いかも知れません。冬の乾燥した季節には、部屋全体が防湿庫の中と変らない状態。一年を通じて平均湿度が65%前後だそうです。

八丈にいると、そうはいきません。カメラは持っていなくても、防湿庫は持っていたほうが良いかも知れない。ちょっと暖かくなってくると、すぐにジメジメ・ジトジト。梅雨にでもなれば、濡らした覚えのない床がびっしょり、ポテトチップは開封して10分以内にしっとり、しまっておいた皮のお財布はカビが生えて真っ白…。そう、八丈は日本で5本の指に入るほど多雨の島、平均湿度は75%以上にもなるのです。夏の天気予報では、連日湿度90%以上、洗濯物はいつまで経ってもしっとり、布団はじっとりです。

これって、カビには絶好の環境なんですよね!
だから、カビが生えてほしく無いものは、何でも防湿庫に入れておくのです。

ところで、こんな環境下はカビの仲間であるキノコも大好きです。このシリーズの第一回目で「光るキノコ」をご紹介しましたが、今回は「冬は虫のキノコ」、冬虫夏草。

あら、それって中国の漢方薬じゃないの?

そういうイメージが強いかも知れませんね。ネットで「冬虫夏草」を検索してみると、「ガン予防」、「滋養強壮」などの文字が躍る漢方薬の宣伝がいっぱい。売られているものは錠剤が多いようですが、本当は焼酎に漬け込んで飲むのです。レグルスにも何本か置いてありました。もう何度も焼酎を継ぎ足したので、出がらし状態ですけど。

で、結局「冬虫夏草」って何なの? と思ってる方に細かいこと抜きに簡単に説明しておくと、要は昆虫に寄生するキノコの総称です。生きた虫に寄生、虫の体内で養分を得ながら成長し、やがてその体を突き破ってキノコが出てくるのです。一口に「冬虫夏草」と言っても、日本国内だけで何百種もあるんですって。キノコの種類によって寄生する虫(ホスト)の種類が決まっていて、この組み合わせが違うものが見つかれば大発見。また、今までにないホストが見つかれば、これまた大発見。

私も詳しくは知らないんですが、八丈では珍しい冬虫夏草や、この大発見が少なくなく、冬虫夏草研究家にとっては訪れてみなくてはならない地の一つとなっているそうです。

だからと言って、普通に山を歩いていても、簡単に見られるものではありません。私もまだ生きているのは見たことがありません。写真は親方から拝借してまいりました。

こんな風に、1つのホストから2本のキノコが生えているのも、とても珍しいんですって。

昆虫が苦手な人には、ちょっとグロテスクですね。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

レグルスダイビング

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