ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

間違いだらけのコンデジ選び(1)

きっかけは海外ツアーでした。

レグルスでは、2月に海外ツアーへ出かけたあと、ツアー通信なるものを作成します。いわゆるログなんですが、このためにカメラを持参していたゲストのデーターを全て頂戴します。ゲストはいろんなメーカー・機種のコンデジを持っています。普段は撮った写真の全データーを拝見する機会はなかなかないのですが、この時だけは、良いものも悪いものも、全部編集前の状態で見て、比較することができるわけです。

昔は、と言ってもたった数年前ですが、コンデジで良い写真を撮るには、まずダイビングそのものが上手、あるいは撮り方が上手であることが必須でした。さらに、カメラも一番安いやつ、ではなく、ちょっと良いクラスのもの。さらに欲を言えば、外部ストロボだの、ワイコンだのマクロレンズだのと創意工夫とお金が必要でした。ですから、軽い気持ちで安いコンデジを買ってしまったビギナー・ダイバーは、いつまで経っても良い写真が撮れず飽きてしまっていたのです。

ところが、今は違います。

まず、コンデジ+ハウジングのセットが、家電の量販店で良いものが安く買えるようになりました。最近では、全くダイビングなどしたことがない、体験ダイビングのゲストが「これ、持って行っても良いですか〜?」と、持参してくることがあります。「初めてだと良い写真を撮るのは難しいかもしれませんよ。」と言いながらカサゴやウツボなどを見せてあげると、バッチリ撮れているのです。一体これはどういうこと??と不思議に思っていたのですが、海外ツアー参加者の写真を見比べてみて、はっきり感じました。ダイバーが良い写真を撮るために一番大事なことは、まず水中写真が綺麗に撮れるコンデジを買うことだ!!ということです。

最初から結論を言ってしまうと、今年の海外ツアー参加者が持ってきたコンデジの中で、一番撮れている写真が多かったのはFujiとCasioでした。そこで、親方がFuji、私がCasioのコンデジを試しに買ってみたのです。

ですから、今回はCasioのお話。
私が購入したのは、Casio Exilim EX-Z1080。

ここで大事なのは、1,000万画素もあれば、最新機種でなくても構わないこと。デジタルズームは使わないので必要はないこと。光学ズームもあまり必要ありません。撮影可能距離の最短が短いこと。使用中にレンズがあまり前に飛び出ないタイプが良いこと。液晶画面が見えやすいこと。そして、撮った時に赤い色が強めに出ること。

購入した機種は1〜2つ前のモデルで、薄型のカードタイプ。ハウジングと合わせて3万5千円程度でした。有効画素数は1,010万画素。最短撮影可能距離はマクロモードで約10cmと仕様書に書かれています。

実際に使い始めてみて面白いな、と思ったのは、このカメラにはベストショット機能というものがあるのです。この機能を呼び出すと、そこに「夜景」、「ポートレート」、「風景」、そして「水中」などの撮影モードが登録されています。ここまでは、どこのメーカーのコンデジにもある機能ですが、このカメラの場合、さらに自分で気に入った撮影モードを登録しておくことができるのです。

例えば、「水中モード」を選択します。

近寄ることができない大きな魚を撮る時には、このモードを呼び出します。今回は、その状態からストロボを発光禁止にして撮りました。

ストロボは発光していないのでハレーション(ゴミの写りこみ)はありませんが、写真全体が青かぶりしています。これは、このカメラの弱点。ストロボの光が届かないと、急に青かぶりが強くなります。

この「水中モード」のまま、ストロボを強制発光に変え、マクロモードにします。

この状態でベストショットに登録しておけば、いつでもすぐに自分で作成した「水中マクロモード」を呼び出すことができるのです。

ちなみにこのカメラの撮影距離は、マクロモードの場合約10cm〜50cm、オートフォーカスモードの場合には約40cm〜です。もし被写体から40cm以内に近づけるのなら、マクロモードにした方が綺麗に撮れます。強制発光にするのは、その方が色を綺麗に出せるから。それと、動いている魚でも、ぶれずに撮れる可能性が高いから。

ここで、またまた弱点。そうやって撮っても、実はぶれることが少なくありません。特に浅い明るい場所で撮ると、ピントは合っていても、ぶれが入ってピントが合っていないように見える写真ができてしまいます。シャッタースピードを速くすることができれば良いのですが、操作できるようになっていないのです。

ところで、小さい被写体を撮る時にはマクロレンズが必要だと思っている方が多いようですが、どの程度小さなものが撮りたいのでしょうか? 今のカメラは、解像度が上がったおかげで、かなり小さなウミウシにも対応できますよ。ウミウシしか撮らないというのであれば話は別ですが、そうでないなら、水中で落としてなくしやすいマクロレンズは最初から無い方が良いかもしれません。

さて、私はこの「水中モード」、「水中マクロモード」の他に、もう一つベストショットに自作のモードを登録しています。それは「白い被写体用マクロモード」。ウミウシ、エビ・カニ、魚、どれを見ても、人気の被写体って、白や黄色のものが多いと思いませんか?

このような色合いの被写体を撮ると、そのままの状態では被写体が白飛び(真っ白に塗りつぶしたような状態)して、質感や微妙な色合いがわからなくなってしまいます。そうならないようにするため、白い被写体を撮る時にはマイナス補正をしておく必要があります。そこで「水中マクロモード」の状態からマイナス補正をし、測光方式もスポットに変え、ストロボはソフト発光にして登録してあるのです。

もちろんコンデジにはコンデジの限界があります。何でも簡単に撮れるというわけではありません。またメーカーによって、一長一短の特徴があります。

私の購入したカメラの場合、最大の長所は必要な撮影モードをすぐに呼び出せること。短所はシャッタースピードが遅くなりがちなこと、距離が離れると若干青かぶりしやすいこと。皆さんのカメラはいかがでしょう?

来月は親方の購入したFujiのコンデジを検証してみまーす。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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