ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

まなみちゃん

IOPで遊んでいた頃の話です。

私がお世話になっていたダイビングショップにまなみちゃんという女の子がやってきました。ちょっとふっくらした感じの女の子で、まん丸な顔に、まん丸の大きな目を2つくっつけたような元気な女の子でした。私はまだ50本程度しか潜っていない頃だったので、彼女がダイブマスターだと聞いて、私よりもずっと年下でしたが、それはそれは頼もしく感じたものです。最初はお客さんとして来ていたのですが、すぐにお手伝いという立場に変りました。

そのショップに週末やってくるゲストは、私を含めてリピーターばかり。彼女は私たちに道案内されながら、その大きな目で次から次へと生き物を見つけてくれました。もちろん、しばらくするとコースもすぐに覚えましたが、とにかく見つけにくそうなものを見つけるのが得意でした。ところが、魚でもエビ・カニでも人が喜びそうなものをどんどん見つけるくせに、自分自身はそれに全く興味が無いらしく、名前が全然わからないと言うのです。だから、普通のガイドと違い、ただ指すだけでスレートに名前を書いたりはしませんでした。逆に後で私たちに「さっきの何でした〜??」と聞く始末。

そんな彼女がダイビングをしている理由はただ1つ。
ウミウシを見たいから。

当時、私たちが簡単に手にすることができたウミウシに関する資料は「海辺の生き物」と「サンゴ礁の生き物」くらい。まなみちゃんは、その2冊からウミウシが載っているページだけをていねいに切り取り、1冊にまとめて持ち歩いていました。それ以外のページは捨ててしまったのです。

残念ながら、ウミウシはまだブームになる前。ショップに集まってくるリピーター達の中にはウミウシ好きがいませんでした。仕方なく、彼女は一人でガイドの合間に小さなウミウシを見つけて喜んでいたのです。そんな彼女のことをからかうと、

「だって、ウミウシって宝石のように美しいじゃないですか!!」

と、むきになって反論するのが、とても可愛かったです。

あれからもう15年くらい…!?

この間にウミウシはすっかりブームになって、Cカードを取りにくるノンダイバーの人でさえ知っている生き物になりました。今ではウミウシの本がいっぱい出版されているけど、買ったのかしら?

今、八丈でシーズンを迎えている貝を持つウミウシたち。「海辺の生き物」と「サンゴ礁の生き物」にも載っていない、こんなウミウシを当時のまなみちゃんが見たら、きっと大喜びしただろうなあ。

まなみちゃん、今では良いお母さんになっていると思います。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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