ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

魚の顔

その人は、私がガソリンスタンドに自動車用エンジンオイルを卸売りする営業をしていた時の取引先の方です。自分自身が勤めていたのは外資系の会社で、男も女も分け隔てなかったのですが、取引先の会社では必ずしもそうではありませんでした。どちらかと言うと何代も受け継がれてきた古い同族会社が多く、「なんでうちのような老舗に女の営業なんぞ寄こすんだ」とへそを曲げる頑固そうな社長さんが少なくありませんでした。

そういう社長の下で働き、ガソリンスタンドで走り回っている血の気の多いお兄ちゃんや職人気質な整備士さんを束ねている中間管理職の部課長さんたちも、個性的な方が多かったようです。

その人も、統括課長さんだったかと思います。最初は「ジキルとハイド」みたいな人だと思いました。何もなければ、穏やかで礼儀正しい方なのですが、納品が遅れたり、何か支障をきたすと、それこそ烈火のごとく大声で怒鳴り散らすのです。その度にこちらは全ての仕事を放り出し、全力で「お詫び」と「事態の収拾」に努めることになります。もちろん、私一人に落ち度があったわけではありません。別の部署からの連絡が不十分であったり、配送システムに不備があったりなど、「なんで私が謝らなくちゃいけないの…」ということばかりでした。

その人とのお付き合いが、私にとって重荷だったことは言うまでもありません。しかし、何かの時に、その人が実に多才な人であるということを知ったのです。何軒ものガソリンスタンドを統括しているだけでも多忙だったはずなのに、自分自身でもビジネスを展開し、おまけに犬のブリーダーもやってるんだよ、と教えてくれたのです。家では3人の子供のお父さんでした。

昔は「地震・雷・火事・親父」などと言ったものですが、きっとこのお父さんも怒らせたらおっかないんだろうなあと思いました。でも、たくさんの仕事を手抜きせずにバリバリとこなす、スーパーすごい、尊敬できるお父さんだったに違いありません。今、一番必要なタイプのお父さんかも知れませんね。

それにしても、おっかない顔してたんですよね〜。
あんまりにもそっくりなんで、写真を撮っていて笑っちゃいました。

横顔のアップなんですけど、わかります〜??


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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